痛覚の検査・測定 – 目的・方法・注意点

臨床で痛覚の検査・測定はどのように行うのが効果的なのでしょうか?
本記事では、痛覚の検査・測定の目的、方法、注意点について解説します。

痛覚の検査・測定の目的

痛覚の検査・測定の目的としては…

  • 疾患や障害の診断と評価
  • 神経障害のモニタリング
  • 治療効果の評価
  • 研究と臨床試験
  • 痛みの理解と機構の解明

…があげられます。
それぞれ以下に解説します。

疾患や障害の診断と評価

痛覚の検査は、神経系の異常や病気、外傷、疾患の影響を評価するために行われます。
痛覚の感覚異常や鈍麻、過敏などは、特定の神経病変や病態の指標となることがあります。

神経障害のモニタリング

神経系の状態を追跡するために痛覚の変化を観察することで、神経障害の進行や回復の程度を評価できます。
これによって治療法の効果を評価し、適切な調整が可能になります。

治療効果の評価

鎮痛治療やその他の治療法の効果を客観的に評価するために、痛覚の変化を測定することがあります。
痛みの軽減や感覚の改善が確認されるかどうかを確認するためです。

研究と臨床試験

新しい治療法や薬の効果を評価する際にも、痛覚の変化を検査・測定することがあります。
これによって治療法の有効性や安全性を客観的に評価できます。

痛みの理解と機構の解明

痛覚の検査によって、痛みの感覚やその機構に関する理解を深めることができます。
神経系の痛覚伝達経路や中枢神経系の関与を解明し、痛みの治療法の開発に寄与します。

つまり、痛覚の検査・測定は、医療診断や治療の一環として重要な役割を果たすだけでなく、患者の状態評価や治療計画の策定に貢献することになります。

痛覚の検査・測定の方法

では、痛覚の検査・測定の方法とはどのように行うのでしょうか?
ここでは…

  1. 痛覚の検査の準備
  2. Wartenbergのpin-wheelによるスクリーニング
  3. 正常な領域との境界を調べる
  4. 痛覚閾値を測定する
  5. 記録、評価を行う

…というステップで解説します。

痛覚の検査の準備

痛覚検査を行う前に、患者の病歴を収集し、検査の目的や手順を説明します。
これにより患者の理解と協力が得られ、検査の信頼性が高まります。
患者がリラックスし、不安を軽減するためにコミュニケーションが重要です。

Wartenbergのpin-wheelによるスクリーニング

Wartenbergのpin-wheelを大腿部→下腿部→足部の順に移動させて、痛覚鈍麻領域の境界を確認します。
この手法は刺激を均一に与えるために用いられます。

これにより、異常な感覚や鈍麻を特定しやすくなります。

正常な領域との境界を調べる

Wartenbergのpin-wheelによるスクリーニング後、痛覚が正常な部位と比較しながら、針や爪楊枝を使用して刺激します。
異常な感覚や痛みの閾値の変化を検出し、正常な領域との境界を特定します。

痛覚閾値を測定する

必要に応じて、痛覚閾値を測定します。
痛覚計を使用して、患者が痛みを感じる刺激の強さを測定します。
痛覚閾値が低い場合、痛覚過敏性が示唆される可能性があります。

記録、評価を行う

検査結果を適切なフォームに記録します。
異常な痛覚感覚や感受性、痛みの強さなどを詳細に記述します。
これにより、患者の状態評価や治療計画の策定に役立ちます。
また、これらのデータは治療効果の評価や研究にも使用されます。

これらのステップを適切に実施することによって、痛覚の検査・測定は患者の状態評価や治療プランの決定に貢献し、痛みに関する重要な情報を提供します。

痛覚の検査・測定での注意

痛覚の検査・測定を行う際には、いくつかの点に気をつける必要があります。
ここでは…

  • 個別の適切な手法の選択
  • 患者のコミュニケーションとリラックス
  • 適切な環境の提供
  • 患者の合意と同意の確認
  • 適切な刺激の使用
  • 個人差の考慮
  • 記録の詳細化
  • 倫理的配慮
  • 検査の制約の説明

…について解説します。

個別の適切な手法の選択

患者の状態や症状に応じて適切な痛覚検査法を選択することが重要です。
痛みの種類や部位によって最適な方法が異なることがあります。

患者のコミュニケーションとリラックス

検査の目的や手順を患者に説明し、不安を軽減させることが大切です。
リラックスした状態で検査を受けることで、正確な結果が得られる可能性が高まります。

適切な環境の提供

静かで落ち着いた環境を提供することで、患者の注意力を集中させ、刺激に対する感受性を正確に測定することができます。

患者の合意と同意の確認

検査の内容や目的を理解し、同意した上で行うことが重要です。
患者の了解を得ることで、信頼関係が築かれ、検査の協力度が高まります。

適切な刺激の使用

刺激の強さや種類を慎重に選択し、患者に適切な刺激を与えるよう注意してください。
過度な刺激は患者に不快感や痛みを引き起こす可能性があります。

個人差の考慮

痛覚の感受性は個人差があります。
患者ごとに異なる感覚や感受性を考慮し、結果の解釈に注意を払う必要があります。

記録の詳細化

検査結果を詳細かつ正確に記録することが大切です。
感覚の変化や境界の特定などを適切に記述し、後の評価や治療計画に活用できるようにします。

倫理的配慮

患者の安全と尊厳を守るために、適切な倫理的ガイドラインに従って検査を行うことが必要です。
特に研究や臨床試験の場合には、倫理委員会の承認を得ることが重要です。

検査の制約の説明

検査の限界や制約を患者に説明することが大切です。
すべての痛みや感覚の側面を評価することは難しい場合もあり、その点を理解させることが重要です。

これらの注意点を考慮しながら、痛覚の検査・測定を行うことは、信頼性のある結果を得ることにつながります。

痛覚は患者さんにとっては侵害刺激だから、できるだけ最短で最小限の検査にするべきだろうね!
事前の説明や声がけ、雰囲気づくりなどの配慮も必要でしょうね!

タイトルとURLをコピーしました