二点識別覚の伝達メカニズム

識別感覚である二点識別覚はどのような経路で感知されるのでしょうか?
本記事では二点識別覚の伝達メカニズムについて解説します。

二点識別覚の伝達メカニズム

二点識別覚は受容器から脳に伝達され認識されるまでどのような経路を辿るのでしょうか?
ここでは…

  1. 皮膚刺激の受容器への入力
  2. 感覚受容器から神経信号の生成
  3. 神経信号の伝達
  4. 脊髄内での情報処理
  5. 上行路の伝達
  6. 視床内での情報処理
  7. 第一次体性感覚野(S1)への投射
  8. 第二次体性感覚野(S2)や他の領域への投射
  9. 高次の情報処理と識別

…のステップで解説します。

皮膚刺激の受容器への入力

皮膚上に二点同時に刺激が加えられると、それぞれの刺激が特定の受容器、つまり…

  • メルケル細胞
  • マイナー小体
  • パチニ小体
  • ルフィニ小体

…などに作用します。
これらの受容器は、機械的な刺激に対して感受性があります。

感覚受容器から神経信号の生成

機械的な刺激を感知したメルケル細胞、マイスナー小体、パチニ小体、ルフィニ小体などの受容器は、それぞれの刺激に反応し、神経信号が生成されます。

神経信号の伝達

生成された神経信号は”Aβ線維”と呼ばれる太くて髄鞘化された神経線維を通じて脊髄後角に伝達されます(一次ニューロン)。
Aβ線維は高速で伝導されるため、刺激情報が迅速に到達します。

脊髄内での情報処理

脊髄後角で受容された信号は、脊髄内で一時的に情報が処理されます。

上行路の伝達

脊髄で処理された情報は、脊髄後索前角路と呼ばれる上行路を辿りながら、脊髄から脳の視床に向かって伝達されます。
この経路を通じて、感覚情報が脳の上位の領域に送られます(二次ニューロン)。

視床内での情報処理

信号は脊髄後索前角路を上昇し、視床でさらに情報処理が行われます。
脊髄後索前角路は、脊髄から延髄まで上昇し、延髄で交差して視床の内側毛帯核に投射します。

視床は脳の中で情報の中継や統合が行われる重要な領域です。

第一次体性感覚野(S1)への投射

内側毛帯核で処理された信号は、大脳皮質の第一次体性感覚野(S1)に投射されます(三次ニューロン)。
ここで、刺激の位置や性質に関する初期の情報処理が行われます。

第二次体性感覚野(S2)や他の領域への投射

S1からの信号はさらに第二次体性感覚野(S2)や他の脳の領域に投射されます。
これにより、高次の情報処理や刺激の意味や特性に関する情報が統合されます。

高次の情報処理と識別

S2や他の関連領域での情報処理により、刺激の位置、距離、時間的な間隔などの情報が複雑に分析され、最終的に刺激が二点として識別される能力が形成されます。

二点識別覚の伝達メカニズムは、皮膚の受容器から神経系を経て脳の異なる領域での情報処理によって成り立っているんだね!
そういった意味からも、二点識別覚は高次の知覚機能と言われる所以かもしれませんね!

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