識別感覚の一つである”皮膚書字覚”。
本記事では、皮膚書字覚の定義や検査方法について解説します。
皮膚書字覚とは?
“皮膚書字感覚”とは、皮膚に書かれた数字や文字を感じる感覚です。
皮膚への連続的な刺激を感じることもできます。
皮膚書字覚を初めて発表した人は?
この皮膚書字覚は1885年にHallとDonaldsonによって、初めて皮膚に描かれた図や数字の知覚についての記載が行われました1)。
その後、1920年代にはSpillerが「皮膚書字覚」という用語を提唱し、この分野の研究が進展してきたようです。
皮膚書字覚を英語で何という?
皮膚書字覚は英語で”Graphesthesia”と呼ばれます。
この名前はギリシャ語の「graphē」(「書く」)と「aisthēsis」(「認識」)から派生しているようです。
皮膚書字覚障害が及ぼす日常生活への影響は?
皮膚で書かれたものを感じる感覚である”皮膚書字覚”の障害によって、想定される日常生活への影響としては…
- 書字に影響がある
- 動いている感じがしない
- 自分の腕がどこにあるのか見ないとわからない
- 動作を行う際に腕や足を忘れてしまう
…などが考えられます。
以下にそれぞれ解説します。
書字に影響がある
皮膚書字覚の障害がある場合、書字にも影響が及ぶ可能性があります。
通常、手の感覚は筆記活動に重要ですが、この感覚が損なわれると、文字を正確に書くことが難しくなります。
文字の形状や筆圧の調整が困難になり、書字の正確性や読みやすさに影響を及ぼす可能性があります。
動いている感じがしない
皮膚書字覚の障害によって、患者は動いている感覚を持たなくなりる可能性があります。
通常、皮膚は動作や接触に対する感覚情報を提供します。
しかし、この感覚が欠如すると、日常生活での運動の調整が難しくなります。
例えば、物を持つ力や物体の形状を感じ取ることができず、安定した動きができなくなるかもしれません。
自分の腕がどこにあるのか見ないとわからない
また、皮膚書字覚の障害によって、患者は自身の腕や手の位置を把握することが難しくなるかもしれません。
通常、我々は触覚情報を通じて自分の身体の位置を認識していますが、この感覚が損なわれると、手や腕の位置を正確に把握できなくなり、日常的な動作が困難になります。
例えば、物をつかむ際に手の位置を見ないと、手が適切な位置にならず、物を落としてしまう可能性があります。
これは運動覚や位置覚の障害でもみられる影響です。
偏った動作になり、関節や筋肉に負担がかかってしまう
加えて皮膚書字覚の障害によって、患者は動作が偏ったり、不安定なものになる可能性があります。
通常、触覚情報は適切な筋肉の収縮や関節の動きを調整するのに役立ちます。
しかし、この感覚が失われると、動作が不安定になり、関節や筋肉に過度の負担がかかる可能性があります。
例えば、正確な力加減が難しくなり、物を握りつぶしてしまったり、筋肉に無理な負荷をかけてしまうかもしれません。