感覚障害の原因は様々ですし、それに対しての治療法も様々です。
本記事では感覚障害の診断と治療法について解説します。
感覚障害の診断
感覚障害の診断は、主に臨床的な評価が行われます。
ここでは…
- CT/MRI検査
- 血液検査
- 生化学検査
- 神経伝導検査
- 筋電図
- 受動的感覚トレーニング(電気刺激など)
- 能動的感覚トレーニング(手指で物体や道具を探索するなど)
髄液検査
…があげられます。
以下にそれぞれについて解説します。
CT/MRI検査
CT(Computed Tomography)およびMRI(Magnetic Resonance Imaging)は、脳や脊髄の構造を非常に詳細に観察するための画像診断手法です。
これらの検査は、腫瘍、出血、炎症、神経変性疾患などの構造的な問題を確認する際に使用されます。
異常がある脳領域や神経経路を特定し、感覚障害の原因を明らかにするのに役立ちます。
血液検査・生化学検査
血液検査と生化学検査は、患者の血液中の特定の物質やマーカーを評価することで、感染症、炎症、代謝異常、腎臓や肝臓の機能障害などを検出するのに使われます。
これにより、全身的な問題が感覚障害の原因となっているかどうかを評価できます。
神経伝導検査
神経伝導検査は、神経系の機能を評価するための検査です。
主に末梢神経の機能や障害を評価し、感覚信号が適切に伝達されているかどうかを調べます。
感覚障害の原因が神経伝導にある場合、神経伝導検査は非常に有用です。
筋電図
筋電図は、筋肉の電気活動を記録する検査です。
神経が筋肉に正常に信号を送るかどうかを評価します。
神経-筋肉の連携に問題がある場合、筋電図は異常を示し、感覚障害の原因を特定する手助けをします。
髄液検査
髄液検査は、脳脊髄液(脳や脊髄を包む液体)を調べる検査です。
髄液に含まれる細胞、蛋白質、グルコース、細菌などの異常を検出し、炎症性疾患や感染症、出血などを診断するのに役立ちます。
髄液検査は、中枢神経系に関する深刻な問題を明らかにするのに重要です。
治療法
そして感覚障害の治療法ですが、原因や部位、程度によって異なります。
一般的にはリハビリテーションが行われますが、このリハビリテーションには…
…が含まれます。
また、感覚障害を補償するための機器やその使用訓練も行われることがあります。
これによって、感覚障害による日常生活の制約を軽減することが可能です。
感覚障害のリハビリテーションとサポート
感覚障害のリハビリテーションとサポートについては、様々な方法がありますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
感覚モダリティを装具で補う
感覚機能の欠損した部位に対して、他の感覚モダリティ(例えば音や光)を用いて感覚入力を提供する装具を使用する方法です。
例えば、足底圧感覚を音に変換して歩行時に聴覚フィードバックを与える『Auditory Foot』という装具が開発されています1)。
感覚刺激を行う
感覚障害のある部位に対して、温度や振動などの刺激を与えることで、感覚神経の活性化や再組織化を促す方法です。
例えば、脳卒中後の体性感覚障害に対して、温冷パックや電気刺激などを用いた治療が行われています。
感覚情報に注意を向ける
感覚障害のある部位に対して、自分で触ったり見たりすることで、感覚情報に意識的に注意を向けることで、運動と感覚の連関を強化する方法です。
例えば、脳性麻痺児の手の感覚障害に対して、手で物を掴んだり触ったりするトレーニングが行われています。
これらの方法は、感覚障害の原因や程度、影響する運動機能などによって適切に選択される必要があります。
また、感覚障害は運動障害だけでなく、日常生活や社会参加にも大きく影響する可能性があるため、サポートする際には患者のニーズや目標に応じた介入が必要です。
参考
1)モデルベーストリハビリテーションの基盤となる ロボティクス技術

