社会生活を送り、人間関係を築いていく上で自分の感情をコントロールすることは非常に重要なスキルになってきます。
それも自分を殺し感情を押さえつけるといった方法ではなく、上手にコントロールすることが必要です。
今回はこの他者への感情をコントロールするために必要な7つのルールについて、アドラー心理学とコミュニケーションを扱うセラピストの視点で考えてみました。
他者への感情をコントロールするために必要な7つのこと
自分自身の他人への感情…主に負の感情をコントロールするために必要なことですが、結論から言えば次の7つがあげられます。
- 嫉妬を感じる相手と信頼関係をおくこと
- 神経質な自分から抜け出すこと
- 比較や競争から抜け出すこと
- 自分が世界の中心ではないこと
- 不幸自慢に気づくこと
- 自分と他者とは違うと知ること
- 共同の課題を設けて人間関係を築くこと
以下、それぞれ詳しく解説します。
嫉妬を感じる相手と信頼関係をおくこと
なにかしら他人に対して「いいなー」「あんな風になりたいな」と思う感情は誰でもあると思います。
でもこの感情が“嫉妬”になるか“羨望(せんぼう)”になるかの違いはどこにあるのでしょうか?
実は“嫉妬”という感情を分析していくと、主に「自分の権利を奪おうとする他者を遠ざけたいと思ったときに生まれる感情」とされています。
また逆の“羨望”という感情は「相手と同じようになりたい」という自分と相手との関係から生まれてくる感情になります。
この違いですが、“嫉妬”には“疑惑”が伴われている…とアドラーは分析しています。
この“疑惑”があるかないかだけで相手への感情は“嫉妬”になるか“羨望”になるか大きく変化するのです。
できる限り“嫉妬”ではなく“羨望”の感情に近づけるには、相手との信頼関係を再確認する必要があります。
単純に「妬ましい」と思うのではなく、その感情の根源に結びつく自分とその対象との関係性に着目すると解決する手立てになるはずです。
神経質な自分から抜け出すこと
些細なことに敏感になり、一喜一憂する感情では生きていく上で非常にくたびれてしまいます。
自身のことを“神経質”と思う部分が多少でもある場合、周囲の気持ちを憶測するより、まず自分の“目的”を意識することを優先するとよいかもしれません。
憶測は大抵の場合思い過ごしでもありますし、何より“目的論”の考え方で物事を進めたほうが一時の感情に振り回されることもなくなります。
比較や競争から抜け出すこと
相手と比較すること、これは非常に“勇気くじき”になってしまいます。
この“相手”とは決して他者だけではなく、時間軸における自分自身にも当てはまります。
過去との比較、他者との比較、理想との比較…
この比較を行うことで自分自身でやる気をなくしてしまうことがほとんどです。
こういった“勇気くじき”になることを避けるには、“競争”することよりも“協力”や“貢献”することに意識を向けたほうがよいとされています。
自分が世界の中心ではないこと
良質なコミュニケーションを図るには、その状況によって“聞く”と“話す”とを使い分ける必用があります。
「自分のことをわかってほしい」と思う前に、相手に関心をもち「相手のことをわかろう」と思うことが大切です。
また会話をするときは相手の立場にたち、“共通感覚”をもつようにし、“聴く”と“話す”のバランスを保つことが重要です。
不幸自慢に気づくこと
何かと人は自虐的な発言をしてしまいがちです。
ただ、“目的論”から言っても不幸であることを言い訳にするよりは、前に進むことを考えることがよっぽ建設的です。
ではなぜ自虐的に“不幸自慢”をするのでしょうか?
その大半の理由としては、“自分を正当化するため”と言えます。
不幸を自慢し、成長を止めてしまうよりは、より建設的な人を目指して自分も周りも勇気づけることを考えたほうが他者との関係性を築く上でも重要になってくると考えられます。
自分と他者とは違うと知ること
他者が自分の考えに同意しないと多少なりとも憤慨してしまうのが一般的かと思います。
しかし、他人には他人の事情があることを忘れてはいけません。
アドラー心理学では、自分の事情と相手の事情は違うと分けて考えることを“課題分け”と呼んでいます。
何かしらの課題にぶち当たったときには、まずその課題が誰の課題なのかを考える“課題分け”のプロセスを踏み、その課題を見極めた上で自分が取り組むべき課題を明確にしていく必要があります。
共同の課題を設けて人間関係を築くこと
前述した“課題分け”のように、相手の課題と自分の課題とをしっかり分けて考えることは非常に必用なことです。
またその課題分けのプロセスを踏んだ上で、“共同の課題”を設けることは、人間関係の構築において大切なこと言えます。
これは一つの作業療法の考えに近い部分だとも思います。
ただし、共同の課題を設けるときに注意すべきこととしては、“お互いが心地よいと思える課題にすること”です。
お互いがwin-winの関係でいられるような共同の課題の設置が必要になってきます。
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