生活をしていく上で、範囲はどうであれ“対人関係”というものはつきまとってくる課題です。
逆に言えば、この対人関係の課題をクリアすることで、非常に“生きやすさ”や“生活しやすさ”を得る事にもなります。
そこで今回はアドラー心理学を基に“対人関係の作法”から、人間関係を円滑にするコツを解説します。
- 人間関係がいつもうまくいかない
- 人と付き合うのがなんだか疲れた
…なんて方は必見です。
対人関係の作法
ここでは、対人関係の作法についてアドラー心理学を基に、次の14のポイントにまとめてみました。
- ほめること=良いこととは限らない
- 感謝の言葉で勇気づけを行う
- 批判されても感謝を返す
- “ダメだし”はしない
- 比較はしない
- 失敗した人に「なぜ?」と問わない
- 大げさな思い込みで他者と向き合わない
- 「不安は感じて当たり前」と捉えること
- 周りの役にたって、孤独感を解放すること
- 短所に隠れた長所をみること
- 自分の意思を相手に主張すること
- 断れない時は一部を受け入れる
- 挑発されたら逆質問で返す
- 人を注意するには信頼関係が大切
それぞれ、解説してみます。
ほめること=良いこととは限らない
よくよく考えると、“ほめること”というのは、“相手を評価すること”の一つになります。
つまり、目上の人から目下の人への行為になります。
そこで、ほめるよりも“勇気づけ”を行うことをアドラー心理学では勧めています。
勇気づけでしたら、相手との上下の関係性を気にする必要はありません。
また“ほめること”は、相手の依存性を高めてしまう傾向がありますが、“勇気づけ”は相手の自律性を高めることになります。
表に見える結果だけを評価するのではなく、そのための行為や過程のよいところを認め、伝えることが重要になります。
感謝の言葉で勇気づけを行う
「ありがとう」という感謝の言葉は非常に効果的な勇気づけになります。
感謝することは、相手の行為を受け止めている印です。
また、形として残すとさらに効果のようです。
批判されても感謝を返す
批判に反論はマイナス効果でしかありません。
自分を励ます“セルフトーク”でしっかり自分を支え、批判に対する抵抗力をつけることが必要です。
“ダメだし”はしない
相手の欠点や間違いを徹底的に指摘する…いわゆる“ダメだし”は、“勇気くじき”の行為とされています。
このダメだしという行為は人間関係を一気に壊してしまう危険性もあります。
ちなみにこのダメだしを頻繁にする人は、自分に勇気がない傾向が強いと…解釈されるようです。
アドラー心理学では「他者を評価しないこと」が概念としてありますので、特に相手を悪いように評価することは避けるべきなのかもしれませんね!
比較はしない
“比較する人”は“人間関係を築けない人”とアドラー心理学では解釈できます。
この比較する対象も様々ですが、多いのは“過去”であったり、“他者”であったりします。
また、最近では“理想”との比較をしがちな方も多い印象を受けます。
「自分の過去と今の比較、他者と自分との比較に悩む」ことがきっかけで生きづらさが生まれる…ということでしょうね。
失敗した人に「なぜ?」と問わない
失敗した人こそ勇気づけが必要です。
知らず知らずに相手にしてしまっている「なぜ?」「どうして?」という問いは、未来に目を向けず、過去の原因を探るもので、勇気くじきの典型ともいえます。
大げさな思い込みで他者と向き合わない
「みんなそうだから」と思いこむのはすぐにやめるべきです!
小さな物事を大げさに考えて、自分自身で悩みを広げ、勝手に“苦手意識”を持たないように注意することも必要です。
ちなみに、この苦手意識を増大させるものとしては…
- 誇張:1のものを10にとらえてしまう心の動き
- 決めつけ:可能性にしか過ぎないものを断定すること
- 過度の一般化:ある部分の問題を全部の問題と捉えること
- 誤った価値観:自滅的、破壊的な価値観でものごとをとらえること
…の4つがあげられます。
不安は感じて当たり前と捉えること
劣等感同様、あれこれと心配する“不安感”も個人を成長させる力になります。
誰しも先のことを想像すれば不安になるのは当然です。
ただし不安になるだけで終わらせるのではなく、この不安感を減らすことを目標に努力すればよいと考えるほうが建設的と言えます。
周りの役にたって、孤独感を解放すること
よく「居場所がない」と悩んだり嘆いたりすることが多いかもしれませんが、この居場所は自然にできるものです。
孤独とは、自分に不安を感じ、自分の居場所が不確かで周りからの信頼感を得られないときに生じる感情です。
この感情を解消するには、まずは「与えよ、さらば求められん」の精神で他者貢献に励むことが近道かもしれませんね!
短所に隠れた長所をみること
だれしも短所は目についてしまうものです。
そしておおよそ、短所というものは悪い意味で過大視されてしまいます。
相手の短所ばかりに目を光らせるのではなく、その短所の中に隠された長所にこそ目を配る必要があります。
自分の意思を相手に主張すること
主張することは大切なことです。
自分の意思表示をしっかりすることで、はじめてその人との関係性が構築されることにもなります。
ただし、対人関係の作法には自分の主張を押し通すのではなく、相手の主張を受け入れあう必用性があることも忘れてはいけません。
断れない時は一部を受け入れる
相手から何かをお願いされたり依頼を受けたりすると、自分がどんな状況でも断れない場合があります。
その場合、自分の時間的にも精神的にも余裕があれば問題はないのかもしれませんが、そうではない場合は非常に自分にとって負担になってしまいます。
全てを断るのが難しい場合は、一部を受け入れ一部を断るということも必要かもしれません。
この相手からの依頼を断るパターンとしては…
- 傷つけずに断る:自分の事情を説明してやわらかく断りの意思を伝える
- 部分的に受け入れる:相手の事情を尊重するなら、妥協できる部分を提案する
- きっぱりと断る:お願いが互いのためにならない場合、理由なしで断るのも手
…があげられます。
ちなみにNGは…
-
復讐的な断り方:人間関係を壊す要因
…になります。
挑発されたら逆質問で返す
どんなことに対しても批判的で、すぐに挑発するような人がいます。
この“挑発する人”は“自分の意見を話したい人”と解釈できます。
つまりその欲求を解消したいという衝動が、そこには内在しているということです。
そうなれば、どんどん相手に話をさせてしまうように促して、その欲求の解消を手助けするくらいの気持ちで接すれば、逆に相手からの信頼を得たり、好印象をもたせる事ができると言えます。
人を注意するには信頼関係が大切
家族や友人であったり、職場の同僚や部下、時には上司に対して何かしら注意する必用がある場合、注意の仕方や内容の前に、なによりも“信頼関係”が前提とされています。
そしてこの相手を注意する際のポイントをまとめると…
- 信頼関係を確かめる
- 注意する目的を確認
- 1対1で注意する
- 良い点と問題点をセットで
- 相手の目的を確かめる
…があげられます。
ポイントさえ押えれば、人間関係は円滑にできる
対人関係の作法という観点でポイントをまとめてみましたが、なにかしらヒントになったでしょうか?
どんな仕事にせよ、どんな生活場面にせよ、人間関係はどの場面にもつきまとうものです。
今回ご紹介したポイントに注意するだけでも、対人関係を円滑にするヒントになるのかと思います。