Pain Catastrophizing Scale(PCS)は、痛みに関する破局的思考の程度を測る心理学的尺度で、13項目から成ります。
本記事ではこのPCSについて解説します。
PCS(破局的認知尺度)とは?
Pain Catastrophizing Scale(PCS)とは、痛みに対する個人の認知的反応を測定するために使用される心理学的尺度です。
このPCSは痛みに関連する破局的な思考の程度を評価するために設計されています。
PCSの13の質問項目
PCSは13の質問項目で構成されています。
- 痛みが消えるかどうか、ずっと気にしている
- もう何もできないと感じる
- 痛みはひどく、決してよくならないと感じる
- 痛みは恐ろしく、痛みに圧倒されると思う
- これ以上耐えられないと感じる
- 痛みがひどくなるのではないかと怖くなる
- 他の痛みについて考える
- 痛みが消えることを強く望んでいる
- 痛みについて考えないようにすることはできない
- どれほど痛むかということばかり考えてしまう
- 痛みが止まってほしいということばかりを考えてしまう
- 痛みを弱めるために私ができることは何もない
- 何かひどいことが起こるのではないかと思う
PCSの採点方法
これらの項目は、通常5点リッカート尺度で評価され、回答者は各ステートメントが自分にどの程度当てはまるかを0から4の範囲で評価します。
0は「全く当てはまらない」、4は「非常によく当てはまる」を意味します。
PCSのスコアは、これらの質問に対する回答を合計して算出され、痛みに対する破局的な思考の程度を反映します。
PCSの3つのサブスケール
PCSに含まれる13の質問項目は上記の通りです。
これらの質問は…
- 反復思考(Rumination)
- 無力感(Helplessness)
- 拡大視(Magnification)
…の3つのサブスケールに分類されます。
以下にそれぞれ解説します。
反復思考(Rumination)
反復思考(Rumination)はPCSの一部で、痛みに関する思考の持続的かつ反復的な性質を指します。
このサブスケールは、個人が痛みに焦点を当て、それに関する否定的な思考や懸念を何度も反復する傾向を捉えます。
反復思考は、痛みの体験をさらに悪化させる可能性があり、ストレスや不安を増大させることが知られています。
この過程は、痛みに関する過剰な注意と思考を通じて、その人の感情的および認知的なウェルビーイングに負の影響を与えることがあります。
このサブスケールは、痛みの管理や治療において重要な側面を表しており、反復思考の軽減は痛みの経験の改善に寄与する可能性があります。
無力感(Helplessness)
無力感(Helplessness)は、PCSの中で痛みに対する個人の感じる無力感や制御不能感を評価します。
このサブスケールは、痛みに直面した際に個人が自分自身を無力であると感じ、痛みに対処するための有効な方法がないと感じる程度を反映します。
無力感は、痛みに関連するストレスや不安を高め、長期的な痛み管理において否定的な結果を招く可能性があります。
この感覚は、痛みの持続や治療への参加意欲の低下を引き起こすことがあり、痛みの経験における個人の感情的および心理的な課題を示します。
無力感を減少させることは、痛みの管理や治療において重要な要素となります。
拡大視(Magnification)
拡大視(Magnification)は、PCSのサブスケールで、痛みの潜在的な脅威や影響を過大評価する傾向を捉えます。
このサブスケールは、痛みに関連する恐怖や最悪のシナリオを想像することに焦点を当て、痛みの経験を非現実的かつ過剰に否定的に解釈する程度を評価します。
拡大視は、痛みに対する過敏な反応や、痛みに伴う可能性のある極端な結果への過度の懸念を示します。
この過程は、不必要な不安やストレスを引き起こし、痛みの体験をより困難なものにすることがあります。
拡大視の軽減は、痛みに対するより現実的な認識を促し、痛みの管理と治療におけるより良い成果を支援することができます。