ストレングスモデルとは? 【概要・メリット・種類などについて】

用語

どんな種類でも働くことには様々な能力が必要になります。
とは言っても、人には向き不向きが必ずあります。
それなのに…

  • 仕事なんだからなんでもできないとダメだ
  • 苦手なことは克服しないといけない

…と自分を追い詰めてしまうことが多い気がします。

でも、実はこの考え方って就労支援や職業リハビリの世界では間違いとされています。
「できないこと」「苦手なこと」を解決しようとするばかりだと、本来その人が持っている強みを活かしきれないことがはっきりわかっているんです。

そこで今回は、就労支援において本人の強みや環境に注目することを前提としたアプローチである“ストレングスモデル”について解説します。

本記事が少しでも自分の欠点ばかり目について、仕事に対しての意欲もやる気もやりがいも見いだせない…と悩んでいる方、その支援者の一助になれれば幸いです。




ストレングスとは?

まず、そもそも“ストレングス(strength)”とは…
本人と本人を取り巻く環境が持っている長所・強み
…のことを言います。

体力や力が強いという意味のストレングスではなく、あくまで“長所”という意味になります。

従来の就労支援は医学モデル?

従来の就労支援や職業リハビリテーションは、当事者の問題点やできないことに注目し、解決するアプローチが主でした。

  • 復職や就労を希望する当事者の仕事をする上での問題や障害をどうなくすか?
  • できないことをできるようにするにはどう訓練したらよいか?

こういった言わば“医学モデル”に依拠したアプローチが多かったようです。

医学モデルの弊害

しかし、就労支援や職業リハビリテーションにおいて、医学モデルに依拠したアプローチである“問題点をなくすアプローチ”では限界がありました。
「できないことをなくす」という考えが軸にあると、どうしても…

  • 支援を受ける側である当事者自身は、「○○すらできない自分が働くことなんて…」と感じる
  • 支援する側は「○○ができないなら働けないのでは…」という見方をしてしまう

こんな弊害が生まれやすくなってしまいます。

こういった“内なる偏見”に陥ってしまうと、支援する側もされる側も“就労”という目標達成が難しくなってしまいます。
支援する側も当事者も、この内なる偏見に陥りやすくなってしまうのが医学モデルの弊害とも言えます。

ストレングスモデルのメリット

就労支援においては、支援する側も受ける側も“ストレングスモデル”に依拠したアプローチを主とすることが必要です。
できないことに注目するのではなく、その当事者自身が

  • 現段階で持っている長所
  • 置かれた環境の利点や強さ

…などに注目し、その能力を伸ばしていくこと。

そして…

  • どんな環境(職場)であれば働けるのか?
  • どのような支援があれば働けるのか?

…をアセスメントしつつ本人や本人を取り巻く環境のストレングスを伸ばしていくアプローチが必要になります。

こうすることで、就労支援を通し“成功”や“満足”すること、“自立心”、“質の高い生活”を実現することができます。
このストレングスモデルによるアプローチで、自分自身の働くための強みを見つけ、明確化していくことは非常に自尊心の向上やストレス耐性の向上といったメリットも生むことができます。

ストレングスの種類について

ここでは個人、そして環境それぞれのストレングスの種類について解説します。

当事者自身の個人的ストレングス

   
願望 生活がうまくいっている人は、目標と夢がある
能力 生活がうまくいっている人は、彼等の願望を達成するために、彼等の得意なことを用いている
自信 生活がうまくいっている人は、目標にむかって次のステップに移る自信をもっている

本人が生活している環境のストレングス

   
アクセス 生活がうまくいっている人は、目標を達成するために必要な資源にアクセスできる
人間関系 生活がうまくいっている人は、少なくとも一人とは意味のある人間関係を構築している
チャンス 生活がうまくいっている人は、目標達成のチャンスがある
相互作用 生活がうまくいっている人は、目標達成に関する資源と人間関係が相互に響き合う機会に恵まれている

これらの項目を参考に、なにがその人にとっての強み、長所であるのかを念頭に支援を行っていく必要がありますね。

まとめ

今回は、就労支援におけるストレングスモデルについて解説しました。

「できないことをみんなできるようにしましょう」の考え方って、組織全体の能力の底上げにはなるけど革新的なものは生みにくくなると思うんです。
これからの時代は各々が持つ個性をうまく活用していくことが必要とされます。
ということは、従来の方法では解決策としては不十分という見解にも頷けます。

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