意欲、やる気、モチベーションといったものに対しての定量的な評価、検査方法は様々です。
今回はこの意欲の指標(Vitality Index)という一つの評価方法、基準の…
- 構成する項目
- 判定の基準
- 点数やカットオフ値
- 寝たきり高齢者に対して行う目的
…などについて解説します。
意欲の指標(Vitality Index)とは?
“意欲の指標” (Vitality lndex) は,鳥羽らによって開発された国内独自の指標になります.
評価項目について
Vitality Indexの評価項目についてですが、次の5つで構成されています。
- 起床(wake up)
- 意思疎通(communication)
- 食事(feeding)
- 排池(on and off toilet)
- リハビリテーション・活動(rehabilitation・activity)
この項目のように、要介護者の生活の順番に沿って家族・介護者が自然に想起できるようになっている点が特徴とも言えます。
以下に各項目の点数と一緒に詳しく解説します。
起床(wake up)
- いつも定時に起床している:2点
- 起こさないと起床しないことがある:1点
- 自分から起床するととがない:0点
意思疎通(communication)
- 自分から挨拶する,話しかける:2点
- 挨拶,呼びかけに対し返答や笑顔がみられる:1
- 反応がない:0点
食事(feeding)
- 自分から進んで食べようとする:2点
- 促されると食べようとする:1点
- 食事に関心力ない,まったく食べようとしない:0点
排池(on and off toilet)
- いつも自ら便意,尿意を伝える,あるいは自分で排尿、排便を行う:2点
- ときどき尿意、便意を伝える:1点
- 排泄にまったく関心がない:0点
リハビリテーション・活動(rehabilitation・activity)
- 自らリハビリテーションに向かう、活動を求める:2点
- 促されて向かう:1点
- 拒否,無関心:0点
点数とカットオフ値について
Vitality Indexは10点満点であり、カットオフ値は7点とされています。
除外規定について
Vitality Indexでクライアントの意欲を評価する際…
- 意識障害
- 高度の臓器障害
- 急性疾患(肺炎などの発熱)
…といった状態の場合は対象外とされます。
Vitality Indexの注意点
また、Vitality Indexでクライアントの意欲を評価する際の注意点を以下にまとめます。
内服の影響について
薬物の影響(睡眠薬など)は除外されます。
起座できない場合、開眼し覚醒していれば2点とします
失語症がある場合
失語の合併がある場合,言語以外の表現で判断します
消化器疾患がある場合
器質的消化器疾患は除外されます。
食事に関して
麻痩で食事の介助が必要な場合、介助により摂取意欲があれば2点とします。
また、口まで運んだ場合も積極的に食べようとすれば2点とします。
失禁、尿意について
失禁の有無は問われません。
尿意不明の場合,失禁後にいつも不快を伝えれば2点とします。
リハ、活動について
リハビリテーションでなくとも散歩やレクリエーション、テレビなどでも問題ありません。
寝たきりの場合,受動的理学運動に対する反応で判定します。
他の評価との相関について
Vitality IndexはGDSやモラールスケールが測定できる症例における相闘が検討されて妥当性が実証されています。
また、リハビリテーション介入による他の指標であるSDS(selfratingdepression scale)、NMスケール、HDS-Rなどとの感度比較の結果、最も感度がよいことも判明しています。
寝たきり高齢者に対して
Vitality Indexは寝たきり高齢者の生命予後と最も強い相聞を示しています。
これはコミュニケーションが困難なことが多い場合の観察法によるQOLの指標となり得ます。