クライアントに対して就労支援を行う場合、支援側とクライアント側の両者が同じ方向を向いていないと、支援プログラムを提供していく上で温度差が生まれてしまいます。
そこで今回は就労支援が成立するために必要な4つの前提条件についてまとめてみました。
この記事が、クライアントの就労がうまくいかない、上手につなげることができない…と悩んでいる支援者の一助になれば幸いです。
就労支援が成立する4つ前提条件とは?
クライアントに対しての就労支援の介入を行う際、なによりも必要な前提条件があります。
この前提条件がないと、就労支援として成立しなくなってしまいます。
その条件とは…
- 個別性としての支援であること
- 就労に対しての訓練であることへの同意を得ること
- 訓練プログラムへの参加・不参加への自由性を確保すること
- 就労訓練での価値の本人への還元すること
…になります。
これらの4つの前提条件があってはじめて、クライアントへの就労支援が成立すると言えます。
では、それぞれ解説します。
個別性としての支援であること
なにより就労支援のプログラムにおいては、一人一人のクライアントに合わせた内容でないといけません。
「障害」や「症状」で 区分けして判断するような内容では、個別性を障害というカテゴリーに当てはめて判断することになります。
- クライアント個人の生活状況や性格、価値観といった特性に焦点を当てる
- その特性(個性)を軸にした上で、障害像や症状をそのクライアントの特徴の一つとして捉える
…という順番が就労支援の前提条件がぶれないためにも必要なプロセスと言えます。。
就労に対しての訓練であることへの同意を得る事
いくら就労支援のための介入やプログラムを提供しても、クライアント本人に就労への意欲がない場合は高い効果が期待できなくなってしまいます。
就労への意欲の問題ですね。
そうなると、なによりクライアント本人が今現在、本当に就労したいのかどうかを確認する必要があります。
その上で、提供するプログラムを変更したり、タイミングを待つことも必要かもしれません。
就労支援を受けることが目的になってはいけないということですね。
訓練プログラムへの参加・不参加への自由性を確保すること
強制的に就労支援を受けるという状況は、仮に支援機関による支援が終了し、就労につながったとしても定着には繋がらない場合が多いようです。
あくまでクライアント自身が就労に向けて意欲的に支援を受けるという状況下が前提条件になります。
そのためには訓練プログラムへの参加・不参加の自由性を確保しておく必要がありますしその雰囲気をつくっておくことも必要です。
そうすることで支援側はクライアントの就労への意欲と心理状況の変化をプログラムへの取り組みという状況を通して評価できます。
就労訓練での価値の本人への還元すること
当たり前のことですが、誰のための就労支援プログラムかということを支援側もクライアント側も理解していないといけません。
クライアントは就労支援プログラムの一つ一つが、自分にとってメリットをもたらすものであるという認識が必要です。
そして支援側もそれをはっきりと示す介入が必要と言えます。
その為にもきちんとした目標を設定し、その目標を見据えたうえでトップダウンで訓練を行っていく「目標思考的アプローチ」が必要なんですね!
まとめ
本記事では、就労支援がしっかりと成立するためには4つの前提条件が必要なんだぞってことについて解説しました。
就労支援のプログラムを提供するにあたって、クライアントも支援側もこれらの前提条件をしっかりと理解していないといけません。
また作業療法士をはじめとする支援側にも、クライアントと一緒に「いつまでにどんな就労生活をしたいのか?」という目標を定める必要があります。
そして、それに対して必要な支援を組み立て提供していくというトップダウンアプローチが必要になります。
目標達成に向けてクライアントと支援側が一緒にどのような訓練が必要になるかの確認…という作業をきちんと踏むことで、「何のためにこれを行っているんだろう?」という疑問符がつくことを避けることができるのではないでしょうか。