GATB(厚生労働省偏一般職業適性検査)- 目的・対象・所要時間・適性能について

検査

対象者がどのような能力を持ち、どういった職業に適しているのかの参考にするための検査の一つに“GATB(厚生労働省偏一般職業適性検査)”があげられます。
今回はこのGATBの目的や対象年齢、測定される適性能と検査方法について解説します。


GATB(厚生労働省偏一般職業適性検査)とは?

厚生労働省偏一般職業適性検査(General Aptitude Test Battery: GATB)は、米国労働省が開発したGATBをもとに、その後40年以上にわたり研究・改訂が重ねられて現在の形になりました。

目的について

GATBは対象者個人が持つ様々な能力と職業との適合性を客観的に測定することが目的になります。
このことで、企業による採用や配属、教育訓練や能力開発、配置転換などの参考に使用することができます。

対象年齢について

中学生~成人(45歳程度)

所要時間

紙筆検査(45~50分)
器具検査(12~15分)

測定される適性能について

GATBによって認知機能、知覚機能、運動機能の3領域を…

  • G-知的能力
  • V-言語能力
  • N-数理能力
  • Q-書記的知覚
  • S-空間判断力
  • P-形態知覚
  • K-運動能力
  • F-指先の器用さ
  • M-手腕の器用さ

…の9つに細分化した得点から被験者のプロフィールを得ることができます。
以下にそれぞれ解説します。

G-知的能力

認知機能の一つであり、説明・教示や諸原理・諸概念を理解したり、推理したり判断するといった一般的な学習能力になります。

V-言語能力

認知機能の一つで、言語の意味およびそれに関連した概念を理解し、それを有効に使いこなす能力を指します。
言語相互の関係および文章や句の意味を理解する能力になります。

N-数理能力

認知機能の一つで、計算を正確に速く行うとともに、応用問題を推理し、解く能力になります。

Q-書記的知覚

認知機能の一つで言語や印刷物、伝票類を細部まで正しく知覚する能力になります。
文字や数字を直感的に比較弁別し、違いをみつけ、あるいは構成する能力があてはまります。
また、文字や数字に限らず、対象を素早く知覚する能力も当てはまります。

S-空間判断力

知覚機能の一つで、立体形を理解したり、平面図から立体形を想像したり、考えたりする能力になります。
物体間の一関係とその変化を正しく理解すしたり、青写真を読んだり、幾何学の問題を解いたりする能力が当てはまります。

P-形態知覚

知覚機能の一つで、実物あるいは図解されたものを細部まで正しく知覚する能力です。
図形を見比べてその形や陰影、線の太さや長さなどの細かい差異を弁別する能力とされています。

K-運動共応

運動機能の一つで、眼と手または指を共応させて、迅速かつ正確に作業を遂行する能力です。
眼でみながら、手の迅速な運動を正しくコントロールする能力といえます。

F-指先の器用さ

運動機能の一つで、速く、しかも性格に指を動かし、小さいものを巧みに取り扱う能力です。

M-手腕の器用さ

運動機能の一つで、手腕を思うままに巧みに動かす能力です。
手を取り上げたり、置いたり、持ち替えたり、裏返したりするなどの手腕や手首を巧みに動かす能力といえます。

検査方法について

GATBの下位検査は、

  • 紙筆検査(11種)
  • 器具検査(4種)

…で構成されています。

紙筆検査

紙筆検査 内容 問題数 制限時間
①円打点検査 円の中に点を打つ検査 180個 40秒
②記号記入検査 記号を記入する検査 90個 40秒
③形態照合検査 形と大きさの同じ図形を探し出す検査 36個 1分30秒
④名詞比較検査 文字・数字の違いを見つける検査 70個 3分
⑤図柄照合検査 同じ図柄を見つけだす検査 24個 1分30秒
⑥平面図判断検査 置き方をかえた図形を見つけだす検査 24個 1分30秒
⑦計算検査 加減乗除の計算を行う検査 30個 2分
⑧語意検査 同意語かまたは反意語を見つけだす検査 40個 1分30秒
⑨立体図判断検査 展開図で表された立体形をさがしだす検査 28個 1分30秒
⑩文章完成検査 文章を完成する検査 24個 3分
⑪算数応用検査 応用問題を解く検査 20個 3分

器具検査

器具検査 内容 制限時間
①さし込み検査 棒(ペグ)をさし込む(2個ずつ移動)検査 48個 15秒 3回
②さし替え検査 棒(ペグ)を上下逆にさし替える検査 48個 30秒 3回
③組み合わせ検査 丸びょうと座金を組み合わせる検査 50個 1分30秒
④分解検査 丸びょうと座金を分解する検査 50個 1分

自分の長けている能力、長けていない能力を客観的に把握することで、自分に合った職業を探すことって重要だと思うんだ!
この発想は非常に作業療法的でもあるので、働き方や仕事の選び方などに作業療法士が支援するような形があってもいいでしょうね!

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