なにかしらの病気やケガをしてしまっても、仕事を辞めずに働き続ける事は経済面だけでなく心理面や社会参加という観点からも非常に重要なことになります。
そこで今回は、治療をしながらでも仕事を辞めずに働き続けることができるために利用できる「両立支援制度」について解説します。
治療に関する両立支援制度の概要
治療に関する両立支援制度の概要としては次の通りになります。
- 時間単位の年次有給休暇
- 傷病休暇、病気休暇
- 時差出勤制度
- 短時間勤務制度
- 在宅勤務(テレワーク)
- 試し出勤制度
以下に詳しく解説します。
時間単位の年次有給休暇
労働基準法に基づく年次有給休暇は、1日単位で利用することが原則になっています。
しかし、事業主と労使協定を結ぶことで、1時間単位で利用が可能になります(上限は1年で5日分まで)。
そのため通院や治療のために会社を一日まるまる休む必要がなくなります。
傷病休暇、病気休暇
傷病休暇や病気休暇は、事業者が自主的に設ける法定外の休暇になります。
つまり、入院治療や通院のためにとるような年次有給休暇とは別の休暇とされます。
取得条件や取得中の処遇(賃金の支払いの有無等)等は事業場ごとで異なりますが、退院直後の職場復帰が困難な場合には非常に役立つ休暇の制度になります。
時差出勤制度
“時差出勤制度”は事業者が自主的に設ける勤務制度です。
始業時間や終業時間の時刻を変更することにより、身体に負担のかかる通勤時間帯を避けて通勤するといった対応が可能となります。
短時間勤務制度
“短時間勤務制度”も事業者が自主的に設ける勤務制度です。
療養中・療養後の負担を軽減すること等を目的としていて、所定労働時間を短縮する制度になります。
在宅勤務(テレワーク)
コロナ禍で一般的にもなった“在宅勤務(テレワーク)”は、パソコンなどの情報通信機器を活用した場所にとらわれない柔軟な働き方のひとつになります。
自宅で勤務することにより、通勤による身体への負担を軽減することが可能となります。
試し出勤制度
“試し出勤制度”は長期間にわたり休業していた労働者に対し、円滑な復職を支援するために、勤務時間や勤務日数を短縮した試し出勤等を行うものになります。
復職や治療を受けながら就労することに不安を感じている労働者や、受入れに不安を感じている職場の関係者にとっては、この試し出勤制度があることで不安を解消し、円滑な就労に向けて具体的な準備を行うことが可能となります。
治療と就労の両立は何より事業主による配慮が必須?
このような制度をみると、治療をしながら仕事を続けるためには非常に事業主の配慮は必須になってくるように感じます。
とはいっても、いくら両立支援とはいえ事業主にとってデメリットがある働き方をされたら元も子もありません。
事業主の配慮に甘えるだけでなく、いかに治療と仕事を両立し、求められている以上の結果をだすようにするか?という支援を受ける側の努力も必要なのではないかと思います。
まとめ
今回は、治療をしながらでも仕事を辞めずに働き続けることができるために利用できる「両立支援制度」について解説しました。
病気の治療をしながら働くということは、体力面だけでなく入院や通院、検査といった時間的な拘束も発生するため、なかなか両立が難しく結果として離職せざるを得ない状況になる…なんてケースが多いようです。
治療における両立支援には何より事業主による配慮が必要不可欠ですが、支援される側もその配慮に甘えずしっかりとした結果を出すような努力が必要と言えます。