呼吸不全とは? – 定義、病態の分類について

リハビリ対象の患者でもよくみられる”呼吸不全”。
本記事では…

  • 呼吸不全の定義
  • 呼吸不全の分類
  • 呼吸不全の症状

…について解説します。

呼吸不全とは?

呼吸不全(こきゅうふぜん)は、肺や呼吸器系の機能が低下し、酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が不適切に行われる状態を指します。
正常な呼吸では、酸素が吸気によって肺に取り込まれ、肺胞で血液中の酸素と二酸化炭素とのガス交換が行われます。
その後、二酸化炭素は呼気によって体外に排出されます。

呼吸不全では、このガス交換が適切に機能しなくなります。

>呼吸不全の定義

呼吸不全は室内気吸入時の動脈血酸素分圧(PaO2)が60torr以下となる状態…と定義されています。

呼吸不全の分類

呼吸不全はさらに細かく分類されますが、ここでは…

  • 動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)
  • 発症起点
  • 期間

…による分類について解説します。

動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)による分類

呼吸不全は動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)によって…

  • Ⅰ型呼吸不全
  • Ⅱ型呼吸不全

…に分類されます。
以下にそれぞれ解説します。

Ⅰ型呼吸不全

Ⅰ型呼吸不全は、動脈血炭酸ガス分圧(Paco2)が45torr以下の状態を指します。
この状態では、身体は酸素の取り込みができずに低酸素状態に陥っています。
しかし二酸化炭素の排出は正常に行われています。

代表的な疾患に、肺炎、間質性配線、肺水腫、AIDSがあげられます。

Ⅱ型呼吸不全

Ⅱ型呼吸不全は、動脈血炭酸ガス分圧(Paco2)が45torr以上の状態を指します。
この状態では、酸素の取り込みもできず、二酸化炭素の排出もできていない状態です。

代表的な疾患としては、COPD,気管支喘息、肺結核後後遺症、神経・肺疾患などがあげられます。

発症起点による分類

呼吸不全の病態は発症起点から…

  • 肺不全
  • 換気不全

…に分類されます。

肺不全

肺不全とは、肺の機能が低下し、酸素を取り込むことができなくなる状態を指します。
つまり、肺そのものの障害になります。

主に肺胞と毛細血管とのガス交換障害のために低酸素血症となるものがあげられます。

換気不全

換気不全とは、肺の換気機能が低下し、二酸化炭素を排出できなくなる状態を指します。
高度の肺胞低換気のためにガス交換が不十分となり高炭酸ガス血症と低酸素血症が合併した病態が特徴です。

期間による分類

呼吸不全はその状態である期間によっても分類されます。

  • 慢性呼吸不全
  • 急性呼吸不全

慢性呼吸不全

呼吸不全の状態が1か月以上持続するものを指します。
慢性呼吸不全に陥る主な疾患としては。慢性閉塞性肺疾患(COPD)と結核後遺症が原因の多くを占めています。

また、そのほかに気管支拡張症、間質性肺炎(肺線維症)、肺癌などの肺疾患、脊椎後側彎症などの胸郭疾患、神経筋疾患などが原因とされています。

急性呼吸不全

急性呼吸不全は、呼吸器系の疾患や心臓疾患、脳疾患、肺塞栓症などが原因で、1か月未満のものを指します。
急性呼吸不全の原因としては、重症肺炎、急性肺血栓塞栓症、自然気胸、そして急性呼吸窮迫症候群などが挙げられます。

呼吸不全といっても細かく分類されるってことを知っておかないといけないね!
その呼吸不全の種類によって、背景疾患も対処法も異なってきますからね!

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