脳卒中の重症度をきちんと数値化することができるスケールである“脳卒中重症度スケール(Japan Stroke Scale:JSS)”。
重症度を程度ではなく数字化して判断できることは「統計的な処理にも使える」ということになります。
そこで今回はこのJSSの評価項目や使用方法について解説します。
脳卒中重症度スケール(JSS)とは?
日本脳卒中学会が1997年に発表したスケールで、脳卒中患者の経過観察や治療効果判定の上で脳卒中の重症度を客観的、かつ定量的に評価する目的でつくられました。
JSSの評価項目について
このJSSにおける評価項目は…
- 意識
- 言語
- 無視
- 視野欠損または半盲
- 眼球運動障害
- 瞳孔異常
- 顔面麻痺
- 足底反射
- 感覚系
- 運動系(手,腕,下肢)
…になります。
脳卒中重症度スケール(JSS)の使用方法
このJSSの使用方法についてですが、
- 各項目の該当カテゴリーを選択する
- 各項目ごと、A, B, Cのいずれかを選択肢、評価用紙右側にある該当の枠にチェックを入れる
- チェックの入った枠の右側に示されているスコアを合計する
- 最後にCONSTANTの値である“-14.71”を加え、重症度スコアを算出する
…になります。
脳卒中重症度スケール(JSS)による重症度について
上記のJSSの使用方法によってクライアントの重症度スコアを算出すると、
- 最軽症:-0.38
- 最重症:26.95
…となります。
脳卒中重症度スケール(JSS)の注意点
JSSの“意識”の評価項目において、原則として“Glasgow Coma Scale”を使用しますが、やむを得ない場合は、“JCS(Japan Coma Scale)”で代用しても問題ないようです。
脳卒中重症度スケール(JSS)のエビデンスグレードについて
日本理学療法士協会が発表している『推奨グレードの決定およびエビデンスレベルの分類』によれば、JSSは推奨グレードAであり、信頼性、妥当性のあるものとして決定されています。
脳卒中重症度スケール(JSS)は統計学的処理にもぴったり!
脳卒中重症度スケール(JSS)は,脳卒中の重症度を定量的に評価することが可能であり、算出されたスコアは“軽度”や“重度”といった“程度”ではなく、はっきりとした数値として扱えることができます。
そのため,平均値や標準偏差を求めて比較することや,パラメトリックな手法によって統計処理をすることが可能になります。
脳卒中重症度スケール(jss)の評価用紙(PDF)は?
評価用紙は日本脳卒中学会ホームページよりPDFでダウンロードできます。
Japan Stroke Scale(JSS)
多様性に富むものをきちんと数値化する…という試みは、エビデンスを追求するためにも必要なプロセスなんだろうね!
そのためには”医工連携“の視点も必要になってくるでしょうね!