運転適性検査の対象になった場合、きちんと免許センターで適性相談にいくことが義務になっています。
そこで今回は障害…特に脳卒中の後遺症を持つ人が自動車運転を再開するまでの基本的な流れについて解説します。
自動車運転までの流れ
脳卒中による片麻痺などの中途障害を持つ方の自動車運転までの流れは、おおまかには次のようになります。
- 自動車運転再開を希望
- 自動車運転に関する相談(医療機関)
- 自動車運転に関する評価(医療機関)
- 結果の説明・運転の危険性などの説明(医療機関)
- 適性相談(臨時適性検査)(運転免許センター)
以下にそれぞれ解説します。
自動車運転再開を希望
クライアントの自動車運転再開の希望の有無を聴取します。
この聴取はクライアントが入院中の場合はその病院の相談室のMSWや、作業療法士が担当することが多いです。
また在宅生活をしているクライアントの場合は、本人や家族から病院の相談室に連絡がくるか、ケアマネージャーを通して…という場合が多いようですね。
自動車運転に関する相談(医療機関)
クライアントが入院中の場合は、その医療機関の作業療法士に自動車運転の再開を希望し、評価につなげられると思います。
しかし、すでに退院し在宅生活をしている場合ですと、外来リハでの評価になるため、対応してくれる医療機関を探す必要があります。
自動車運転に関する評価(医療機関)
医療機関にて、神経心理学検査、ドライビングシミュレータ、教習所での実車評価などを行います。
結果の説明・運転の危険性などの説明(医療機関)
評価の結果を踏まえて、主治医が診断書を作成します。
しかしこの診断書の用紙自体は、各都道府県の公安委員会で用意されているため、運転免許センターか特定の警察署で入手する必要があります。
また、この診断書は疾患ごとに内容が異なっているため用紙を入手する際はその疾患も伝えると間違いがなくなります。
適性相談(臨時適性検査)(運転免許センター)
その後医師からの診断書を持ち、運転免許センターにて臨時適正検査を行います。
条件変更なしで運転再開
脳卒中などの病気を発症しても、幸い大きな障害が残らなかった場合など、臨時適正検査の結果によっては、条件変更なしで運転再開可能と判断される場合もあります。
条件変更で運転再開
障害や症状によっては、条件付きでの運転再開可能と判断される場合もあります。
自動車の改造などもこの条件に入ります。
不適格で免許取り消し
障害や症状が重く、自動車運転に適さないと判断されれば、運転免許取り消しという判断がされます。
運転可能の判断は“医師”と“公安委員会”の両方が必要!
上記の自動車運転再開の流れをみるとわかるように、発症後の自動車運転再開可否の判断は、
- 医師
- 公安委員会
の2つの判断によります。
“最終的には公安委員会の判断”にはなりますが、公安委員会も医師の診断で「運転不可」の診断を無視することはできません。
つまり医師は「運転不可」とは言えますが、「運転可能」とは言えない…ということになります!
まとめ
今回は障害…特に脳卒中の後遺症を持つ人が自動車運転を再開するまでの基本的な流れについて解説しました。
大きな病院や自動車運転支援に力を入れているリハビリ科でしたら、このような自動車運転再開までの基本的なプロセスは把握していると思います。
ただ、小さなクリニックなどではまだまだしっかりとした認知がされていないようですね。
その症状やクライアントの状況によって多少の違いはあるでしょうが、基本的な流れはほぼ変わらないと思います。
移動手段を支援する作業療法士としてはしっかりと把握しておく必要があるでしょうね。