マクギル疼痛質問表 (MPQ) – 目的・方法・結果の解釈について

検査

痛みの評価の一つとしてマクギル疼痛質問表 (MPQ)があげられます。
本記事ではこの検査の目的や方法、注意点について解説します。


マクギル疼痛質問表 (MPQ)とは?

マクギル疼痛質問表(McGill Pain Questionnaire, MPQ)は、痛みの強さや特徴を評価するための質問表です。
1975年にカナダのマクギル大学のMelzackらによってによって開発されました。

MPQは痛みの部位、性質、時間的変化、強さに関する4つの質問から構成されています。
第2の質問には、痛みの言語表現が含まれており、20の小区分に分かれています。

この自己表記式の質問票は、痛みの評価において心理的な影響を考慮して作成され、現在では様々な国の言語に翻訳され広く使用されています。

マクギル疼痛質問表 (MPQ)の目的

マクギル疼痛質問表(MPQ)の目的は、痛みの評価を行うことです。
具体的には…

  • 痛みの強さや特徴の評価
  • 心理的な要因の考慮
  • 言語を通じた痛みの表現

…という点が目的になります。
それぞれ解説します。

痛みの強さや特徴の評価

マクギル疼痛質問表は、痛みの強さと特徴を詳細に評価することを目的としています。
この評価には、痛みの程度(軽い、中程度、強いなど)、痛みの質(鋭い、鈍い、燃焼感など)、痛みの持続時間、そして痛みが発生する条件(動作時、安静時など)が含まれます。

これにより、患者が経験する痛みの正確な特性を捉えることができ、治療計画の策定や痛みの管理に役立てられます。

心理的な要因の考慮

痛みの体験は、単に身体的な側面だけではなく、心理的な要因にも大きく影響されます。
マクギル疼痛質問表では、患者の感情的反応や痛みに関連するストレスのレベルも評価します。
例えば、痛みが不安やうつ状態を引き起こしているかどうか、痛みが日常生活に与える影響などが考慮されます。

これにより、痛みの管理において、心理的アプローチの重要性を理解し、それを治療計画に組み込むことができます。

言語を通じた痛みの表現

マクギル疼痛質問表は、患者が言語を通じて痛みをどのように表現しているかにも焦点を当てています。
患者は、痛みを説明するためにさまざまな言葉やフレーズを使用します。
この質問表では、患者が使う言葉を分析することで、痛みの性質や強度をより深く理解することが可能になります。

これは、セラピストが患者の痛みをより具体的に理解し、効果的なコミュニケーションと治療法を提供するのに役立ちます。

痛みの有無や場所だけでなく、患者さんの表現で評価していくという点が特徴かもしれないね!
その痛みに対しての苦痛に対して共有する意識をもつって姿勢も重要でしょうね!

マクギル疼痛質問表 (MPQ)の使用方法

マクギル疼痛質問表(MPQ)の使用方法ですが…

  1. 痛みの部位を特定する
  2. 痛みの性質を選択する
  3. 痛みの時間的変化を選択する
  4. 痛みの強さを選択する

…というステップで行います。
これらについてもそれぞれ解説します。

痛みの部位を特定する

被験者はMPQを用いて、痛みがどの部位に局在しているかを特定します。
このステップでは、痛みが発生している具体的な身体の領域を指定することにより、セラピストは痛みの原因や影響範囲を理解できます。

例えば、特定の関節、筋肉、または臓器に関連する痛みがどれほどの頻度や強度で発生しているかを具体的に把握することが可能です。

痛みの性質を選択する

被験者は20の小区分から、自身の痛みに最も適した性質を選択します。
このステップでは、痛みの感覚や特徴を言葉で表現することが求められます。

例えば、鋭い、ずきずきする、圧迫感があるなど、具体的な言葉を用いて痛みの性質を詳細に描写します。
これにより、患者の主観的な痛みの経験を理解しやすくなります。

痛みの時間的変化を選択する

被験者は3つの小区分から、痛みの時間的変化に関する最も適切な選択を行います。
これにより、痛みが発生したり変動したりするパターンを理解することができます。
例えば、継続的な痛み、周期的な痛み、または急激な痛みの増減などが考えられます。

これを通じて、痛みのパターンや周期性を把握し、適切な治療戦略を検討できます。

痛みの強さを選択する

被験者は4つの小区分から、現在感じている痛みの強さに関する最も適切な選択を行います。
これにより、痛みの程度を客観的に評価することが可能です。
例えば、軽度、中等度、重度などの程度を選択することで、痛みの強さを明確に把握し、適切な鎮痛対策を立てるのに役立ちます。

マクギル疼痛質問表 (MPQ)の結果の解釈のポイント

では、マクギル疼痛質問表(MPQ)の結果を解釈する際には、どのようなコツが必要になるでしょうか?

ここでは…

  • 個別性を重視する
  • 痛みの特徴を詳細に把握する
  • 時間的変化に注目する
  • 痛みの強さを客観的に評価する
  • 患者の報告と臨床的評価を組み合わせる

…に焦点を当てて解説します。

個別性を重視する

患者ごとに痛みの経験は異なります。
MPQは患者の主観的な痛みを捉えるものであるため、結果を解釈する際にはその個別性を理解することが必要です。

患者が選択した言葉やカテゴリに意味があり、それが治療戦略に影響を与える可能性があります。

痛みの特徴を詳細に把握する

MPQは痛みの性質や感覚を細かく評価するための質問表です。
患者が選んだ言葉やカテゴリが痛みの特徴を反映しています。

これにより、治療方針をより具体的に立てることができます。

時間的変化に注目する

痛みが時間とともに変化するかどうかを詳細に把握することも重要です。
持続的な痛み、周期的な変化、急激な変化など、時間的な側面が治療の選択に影響を与える可能性があります。

痛みの強さを客観的に評価する

患者が選択した痛みの強さのカテゴリを用いて、痛みの程度を客観的に評価します。
これは治療の進捗をモニタリングし、必要に応じて治療計画を調整するために重要です。

患者の報告と臨床的な評価を組み合わせる

MPQの結果だけでなく、患者の臨床的な状態や他の検査結果なども使用し総合的に評価することも重要になります。
これにより、より包括的な診断と治療計画が立てられます。

つまり、MPQの結果を解釈する際には患者中心のアプローチを心がけ、痛みの経験を理解することが重要です。
患者とのコミュニケーションを大切にし、治療方針を患者のニーズに合わせて適切に調整していくことが良い結果への鍵となります。

あくまで患者さん中心に行うって点が他の痛みの評価と異なる部分かもしれないね!
これからの医療には重要な考え方でしょうね!

マクギル疼痛質問表 (MPQ)の注意点

マクギル疼痛質問表(MPQ)を使用する際には、以下の注意点が考慮されることが望ましいとされています。

  • 主観的な性質
  • 文化的な違い
  • 言葉の解釈
  • 痛み以外の要因
  • 治療効果のモニタリング
  • 患者との共有決定

以下にそれぞれ解説します。

主観的な性質

MPQは患者が自己報告する主観的な情報に基づいています。
患者の主観的な感覚や言葉の選択は個人差があります。

解釈の際には、これを理解し、患者とのコミュニケーションを大切にすることが重要です。

文化的な違い

MPQは言葉を使用して痛みを評価するため、文化的な背景や言語の違いが影響を与える可能性があります。
異なる文化背景を持つ患者に対しては、十分な配慮が必要です。

言葉の解釈

MPQで使用される言葉やフレーズは、患者によって異なる解釈がされる可能性があります。
医療提供者は患者とのコミュニケーションを通じて、正確な情報を得るよう心がける必要があります。

痛み以外の要因

患者の痛みは病気だけでなく、感情や精神的な要因にも影響されることがあります。
MPQの結果を解釈する際には、痛み以外の要因も考慮することが重要です。

治療効果のモニタリング

MPQは痛みの評価に用いられますが、治療効果をモニタリングする際には他の評価方法と組み合わせて使用することが望ましいです。
痛みの緩和だけでなく、患者の生活の質や機能性も含めた総合的な評価が必要です。

患者との共有決定

MPQの結果を患者と共有し、治療計画を立てる際には、患者との共有決定が重要です。
患者が自身の痛みや治療について積極的に参加することが、治療の成功に繋がります。

これらの注意点を考慮することで、MPQをより効果的に使用し、患者の痛みに対する適切なアプローチを見つけることができます。

MRQは痛みの評価ツールの一つだけど、患者さんと共同して痛みをモニタリングすることで、自己管理や指導に役立たせることができるかもしれないね!
既存のツールをどう活用するか?はセラピストの腕次第でしょうね!

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