自動車運転免許センターは、一定の病気にかかっている当事者の方やその家族等からの運転に関する相談に対応もしています。
でもこの相談対象の疾患についてはあまりよく知られていないように感じます。
今回はどの疾患が相談対象であって、どの疾患がそうでないのか…という運転適性詩相談の対象疾患について解説します。
運転適性相談とは?
全国の各運転免許センターでは、運転適性(聴力、色彩識別や運動能力)についての相談窓口が設けられています。
その相談の際、運転免許の取得や更新、申請書の申告欄に記載した内容によっては運転適性検査を受けるように促される場合もあるようです。
運転適性診断の対象
運転適性相談の対象となる方は、以下のとおりになります。
- 一定の病気にかかって、治療中の方。リハビリ中の方、身体に障害のある方等
- 身体の障害により,現在付されている免許の条件の解除又は変更を希望する方
- その他,運転に関しての適性を相談したい方
一定の病気にかかって、治療中の方
この場合の“一定の病気”についてですが、下記のような疾患が当てはまります。
- 統合失調症
- てんかん
- 再発性の失神
- 無自覚性の低血糖症
- そううつ病
- 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
- その他精神障害(急性一過性精神病性障害,持続性妄想性障害等)
- 脳卒中(脳梗塞,脳出血,くも膜下出血,一過性脳虚血性発作)
- 認知症
- アルコールの中毒者
もちろんこれらの疾患であってもその症状や程度によっては免許を受けることができます。
それを個別的に判断するための“運転適性相談”といえます。
身体の障害により,現在付されている免許の条件の解除又は変更を希望する方
この“免許の条件”は視力や聴力、AT車や車両総重量などによって運転できる条件が限定される場合があります。
身体の障害によってこの条件の解除や変更についても運転適性相談の対象となります。
その他,運転に関しての適性を相談したい方
自身の病気や加齢に伴った運転への不安や、ペーパードライバーの方も相談対象としています。
運転適性診断の方法について
では実際に運転免許センターで行われる運転適性診断はどのようなものになるのでしょうか?
運動機能障害の場合
相談者が運動機能障害の場合は、運動能力の状況確認が行われます。
主なものとしては、
- ハンドル、ブレーキ、クラッチ、チェンジレバー、ハンドブレーキ、アクセルの操作
- 補装具使用の有無
- 反応時間
…といったもののようです。
聴覚障害の場合
ちなみに相談者が聴覚に障害がある場合は、聴力検査器を使用して短音・長音の聞き分けや回数を聴き分けたかどうかを検査するようです。
検査結果によっては上述したように条件を付与する場合があるようです。
作業療法士としてはどうするか?
多くの場合、自分が関わるクライアントが上記に当てはまる疾患で、さらに自動車運転を希望している場合には免許センターでの運転適性相談を勧める場合があると思います。
その際の情報の共有や免許センター職員との連携といった対外的なコネクション形成も、自動車運転リハに関わる作業療法士にとっては必要かもしれませんね!
まとめ
今回は運転適性詩相談の対象疾患について解説しました。
この自動車運転に関しては作業療法士は強い決定権は持っていないので、「どこまで踏み込んだらいいのか?」と悩むことも多いと思います。
しかし生活支援という視点で考えれば作業療法士だからこそ介入できる部分は非常に多くあると思います。
その為にも、どの疾患が相談対象なのか、どのような診断方法が行われるのか?ということは知識として知っておく必要があるのではないでしょうか?