現在では、運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上の高齢者のドライバーには、“講習予備検査(認知機能検査)”が行われます。
この検査によって自動車運転をし続けても問題ないかどうかが判断されますが、その検査内容はどのようなものになるのか気になるところかもしれません。
そこで今回は、高齢者の自動車運転における認知機能検査について解説します。
講習予備検査(認知機能検査)とは
この認知機能検査は運転免許センター(公安委員会)か委託された教習所等で受けることができます。
ただ、あくまで高齢運転者の方に自身の認知機能の状況を自覚してもらうための簡易的な検査であり、安全運転を継続することができるように支援する目的で行われる検査ですので、認知症の診断を行うものではない、ということは理解していないといけません。
講習予備検査(認知機能検査)の検査内容について
講習予備検査(認知機能検査)検査内容としては、
- 検査の準備
- 時間の見当識
- 手がかり再生
- 時計描写
…という流れになります。
以下にそれぞれ解説します。
検査の準備
実際の検査が始まる前に、以下の説明や準備の説明があります。
- 補聴器・眼鏡の着用
- 携帯(マナーモード)や時計をしまう
- 検査の必要性・諸注意・所要時間・通知方法などについての説明
その後、検査用紙の表紙への名前や生年月日等の記入の指示があるので、記入します。
時間の見当識
“時間の見当識”の検査では、検査当日の年月日、曜日、時間を回答し解答用紙に記載します。
手がかり再生
この手がかり再生の検査では、提示されたイラストを記憶し、採点には関係しない介入課題を行った後、記憶しているイラストをヒントなしに回答します。
その後、さらにヒントをもとに回答します。
課題イラスト
1度に4つのイラストが描かれたボードを提示し、それを4回繰り返します。
介入課題
4つのイラストが描かれたボード提示が終わった後、介入問題として数字に斜線を引いていく課題を行ってもらいます。
上記の検査用紙のように2回指示があります。
解答(ヒントなし)
まず提示されたイラストをヒントなしで思い出して解答します。
特に回答する順番は問わないようです。
解答(ヒントあり)
その後、解答用紙に記載されているヒントをもとに記入していきます。
時計描写
白紙の解答用紙に「11時10分」、「1時45分」、「8時20分」、「2時45分」のいずれかの時計の絵を描きます。
結果は3段階
講習予備検査(認知機能検査)の検査結果によって以下の3つに分類されます。
- 第1分類・・・記憶力・判断力が低くなっている方(認知症のおそれがある方)
- 第2分類・・・記憶力・判断力が少し低くなっている方(認知機能が低下しているおそれがある方)
- 第3分類・・・記憶力・判断力に心配ない方(認知機能が低下しているおそれがない方)
検査結果が第1分類ですと、医師による適性検査を受ける義務が発生します。
まとめ
今回は高齢者の自動車運転における認知機能検査について解説しました。
あくまで認知症の診断ではなく、スクリーニング的に行う検査ですが、その内容はHDS-R,MMSEやCDTなどを基につくられているようです。
自動車運転支援に関わる作業療法士も、この講習予備検査(認知機能検査)でどのような課題が提示されているかを知ることも必要になってくるのかもしれませんね!