片麻痺の上肢機能障害評価【主な4つの検査法について】

講座

脳卒中を発症し、片麻痺症状がある場合には現段階でどの程度の運動状態なのかを把握する必要があります。
そこで今回は、片麻痺による上肢機能に対して行われる主な4つの検査法について解説します。

脳卒中の片麻痺に対しての上肢機能検査について

脳卒中の片麻痺でも、主な上肢の機能検査としては…

  • ブルンストロームテスト
  • 上田による片麻痺機能テスト
  • 脳卒中上肢機能検査(MFT)
  • フレンチャイ上肢テスト(FAT)

…の4つがあげられます。
以下にそれぞれ解説します。

ブルンストロームテスト

片麻痺の機能検査として広く使われているのがこのブルンストローテストではないでしょうか?
このブルンストロームテストはスウェーデンの理学療法士であった“シグネ・ブルンストローム(Signe Brunnstrom)”により考案されました。
用いられている尺度としては順序尺度で、脳卒中の運動麻痺の回復過程をStageⅠ~Ⅵの順序により判断できます。

しかしこの6段階評定にはやや曖昧さや欠点なども指摘されてもいます。

上田による片麻痺機能テスト

“上田式12段階片麻痺機能検査”とも呼ばれている検査方法で、前述したブルンストロームによる6段階の回復順序を基礎に12段階に細分化してより感度を高め、ブルンストローム検査の欠点を補完するために開発されました。
上田式による片麻痺の評価は、上下肢合わせて11のサブテストで構成されています。

またこの各サブテストは「不可能」「不十分」「十分」の3段階で評価されます。

脳卒中上肢機能検査(MFT)

脳卒中上肢機能検査(Manual Function Test:MFT)は脳卒中によって上肢機能障害を呈したクライアントの神経学的回復時期における経時的変化を測定・記録する検査です。
もともと東北大学医学部付属リハビリテーション医学研究施設・鳴子分院の中村隆一氏によって開発されました。
MFTは8つの項目で構成されている上肢機能検査であり、32のサブテストによって行われます。

これらのテストは「不可:0点」「可:1点」に点数化され、経時的に検査することで数字での変化を追うことができます。

フレンチャイ上肢テスト(FAT)

フレンチャイ上肢テスト(Frenchay Arm Test:FAT)は脳卒中片麻痺の上肢機能の回復を評価するとともに、予後予測にも利用できる検査方法です。
5つのサブテストで構成されており、その内容も「ものさしを抑えて線を引く」「円柱(シリンダー)を持ち上げる」「洗濯バサミを操作する」「水が半分は行ったグラスを持ち上げる」「髪をとかす」といった日常生活に関連した具体的な動作テストで測定するのが特徴と言えます。

しかしこのFATは上肢の機能としての能否を検査は可能でも“質”の部分では評価しきれないという点で批判的な意見もちらほらみられます。

まとめ

今回は片麻痺の上肢機能障害に対しての主な4つの評価方法について解説しました。
片麻痺の上肢機能検査は、クライアントの麻痺側上肢の現段階の機能を把握するためであり、さらにその回復段階の変化を経時的に捉えるためでもあります。
こういった検査によって片麻痺のクライアントの上肢機能を客観的にスコア化することで、その改善策や生活への適応介入につなげていくことができると言えます。

上肢機能を評価することで、その手が実用手になるか補助手になるかの予測も立てられるからね!
脳卒中に限らず、上肢機能検査の代表的なものとしてはSTEFもあげられますね!

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