肩関節の可動域を測定する徒手的検査に”Palm up test”があります。
本記事ではこの検査方法や目的などについて解説します。
Palm up testとは?
「Palm up test」とは、手のひらを上に向けた状態で、肩関節の可動域を測定するテストのことです。
Palm up testの目的
Palm up testの検査目的としては…
- 肩関節周囲の筋肉や靭帯の柔軟性を評価するため
- 肩関節の柔軟性を評価するため
- 肩関節の可動域を測定するため
…があげられます。
以下にそれぞれ解説します。
肩関節周囲の筋肉や靭帯の柔軟性を評価するため
「Palm up test」は、特に肩関節周囲の筋肉や靭帯の柔軟性をチェックするために使用されます。
この検査は、肩関節の健康状態を理解するのに非常に有効であり、特にスポーツ選手や肩を頻繁に使う職業の人にとって重要です。
肩の筋肉や靭帯が柔軟であれば、肩関節の動きがスムーズになり、怪我のリスクが低下します。
このテストを通じて、患者の日常生活やスポーツパフォーマンスに影響を与える可能性のある筋肉の硬さや靭帯の緊張を評価できます。
また、肩関節の不具合を早期に発見し、適切な治療やリハビリテーションを行うための基礎情報としても利用されます。
肩関節の柔軟性を評価するため
肩関節の柔軟性を評価する際にも、「Palm up test」は役立ちます。
このテストは、肩関節の柔軟性が日常生活の動作やスポーツ活動にどのように影響するかを理解するのに重要です。
例えば、肩関節が硬い場合、腕を上げる動作や物を持ち上げる動作が困難になる可能性があります。
この検査を行うことで、肩関節の柔軟性の低下が見られる場合、それに対応するストレッチングや運動療法を提案することができます。
また、肩関節の動きの制限がある場合には、その原因を特定し、治療計画を立てるのにも役立ちます。
肩関節の可動域を測定するため
最後に、「Palm up test」は肩関節の可動域を測定するためにも使用されます。
肩関節の可動域は、日常生活やスポーツでのパフォーマンスに直接的な影響を与えるため、この測定は非常に重要です。
可動域が制限されていると、腕の動きが制限されるだけでなく、痛みの原因となることもあります。
このテストを通じて、肩関節の可動域が正常かどうかを評価し、必要に応じて関節の可動域を改善するための運動療法やストレッチを提案することができます。
また、慢性的な肩の痛みや怪我の後のリハビリテーションにおいても、この検査は進行状況の評価や治療計画の調整に役立ちます。
Palm up testの方法
Palm up testの方法ですが…
- 検査対象者の姿勢
- 上腕の位置調整
- 肩関節の動作
- 手首の操作
- 計測
…というステップで解説します。
検査対象者の姿勢
Palm up testを行う際、検査対象者の姿勢が非常に重要です。
通常、検査対象者は座位または立位で行いますが、最も重要なのは背筋を伸ばし、肩をリラックスさせることです。
この姿勢は、肩関節や上腕の自然な動きを可能にし、正確な評価を行うための基盤を提供します。
姿勢が不適切だと、検査結果に影響を与え、誤った評価につながる可能性があるため、検査開始前に正しい姿勢を確保することが重要です。
上腕の位置調整
上腕の位置調整は、Palm up testの重要なステップの一つです。
このステップでは、検査対象者の上腕を適切に位置づけ、肩関節が正しい位置にあることを確認します。
検査者は、検査対象者の上腕を90度に曲げ、肘を身体に密着させます。
この位置調整は、肩関節の自然な動きを確保し、手首や肩関節への不必要な圧力を避けるために重要です。
肩関節の動作
検査対象者は、手のひらを上に向けた状態で、肩関節を最大まで外旋させます。
この動作は、肩関節の柔軟性や可動域を評価するために重要であり、肩の筋肉や靭帯に対するストレスを検出するのに役立ちます。
正確な肩関節の動作を行うことで、肩の健康状態を適切に評価することができます。
手首の操作
検査者は、検査対象者の手首を持ち、肩関節を最大まで外旋させた状態で、手首を内側に回転させます。
この手首の動作は、肩関節の筋肉や靭帯に追加のストレッチを加え、肩の柔軟性や可動域のより詳細な評価を可能にします。
また、この動作は、特定の筋肉群や靭帯に対するストレスのレベルを測定する際にも役立ちます。
計測
最後に、Palm up testでは計測が行われます。
検査対象者が、手のひらを上に向けた状態で、肩関節を最大まで外旋させることができるかどうかを測定します。
また肩関節の可動域に加え、筋肉や靭帯の柔軟性、および動作中の痛みや不快感の有無を観察し、記録します。
参考
Janeiro J, Barreira S, Martins P, Ninitas P, Fonseca JE, Campos J, Monteiro JM. Palm-up test and range of motion in flexion and external rotation provide best correlation with disability and perceived pain in patients with shoulder complaints. Acta Reumatol Port. 2020 Apr-Jun;45(2):95-103. English. PMID: 32895351.