VRS(Verbal Rating Scale)- 慢性痛の評価方法と注意点について

検査

痛みの評価でも比較的慢性痛の評価に優れているスケールとしては“VRS(Verbal Rating Scale)”があげられます。
今回はこのVRSの方法や注意点について解説します。


VRSとは

VRS(Verbal Rating Scale)は、被験者の痛みを0~4までの5段階に分け、評価する方法です。
この方法は被験者にとって比較的理解しやすく、痛みの程度が言語化するため客観的に把握しやすい、という特徴があります。

方法

VRSの実施方法としては、痛みの5段階…つまり

  • 0:痛みなし
  • 1:少し痛い
  • 2:痛い
  • 3:かなり痛い
  • 4:我慢できないくらい痛い

…を上記の図のように順番に並べ、被験者が現段階で感じている痛みの程度を示すように口頭で指示して実施します。

点数・カットオフ

VRSはその被験者の痛みの程度を把握するための検査方法であるため、特別平均点やカットオフ値といったものは定められていません。
ただし入院時と退院時、治療介入前と後というように複数回実施することで、経時的な痛みの変化を追うことができます。

注意点

VRSを実施する上での注意点についてですが、スケールの段階が少なく痛みの変化を細かく評価しにくいという点があげられます。
逆に言えば被験者にとって理解しやすい方法ともいえるので、VASやNRSと一緒にその被験者の認知機能に合わせた方法をとる必要があります。

加えて、言語での指示理解や表出困難な被験者の場合もVRSは使用しにくい点があげられます。
例としては、重度の失語症や意識レベルが低いクライアント、重度認知症や小児…になります。

VRSは慢性痛の評価に最適?

理学療法診療ガイドラインによれば、VRSはすべての慢性痛患者が正確に回答できる…という報告があります。
スケールを少ない段階分けにすることで、比較的変化が乏しい慢性痛の「大きな変化」を追いやすい…という点が理由と考えられます。

NRSとVRSは認知症でも適応可能?

VRSは、NRSと同様にMMSEのスコアが10~17点の中等度の認知症のクライアントに対しても実施可能という報告があります。
口頭で痛みを数値化して答える…という簡単な方法だからこそ、と言えます。

セラピストにとってはその痛みによってどの「活動」や「社会参加」を阻害しているのか?という点にまで拡大して考える必要上があるだろうね!
ただ痛みの現状を「VRSで2のレベル」と判断するだけにとどまらず、その痛みの原因と今後をしっかりと把握する必要があるといえますね!

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