ハイパーアブダクション テスト(Hyperabduction test)は胸郭出口症候群の検査の一つになります。
本記事では検査目的や評価方法について解説します。
ハイパーアブダクション テストとは?
ハイパーアブダクション テストとは、胸郭出口症候群の検査のひとつになります。
目的
この検査を行う目的としては…
- 胸郭出口症候群の診断
- 上棘下筋の機能障害を評価するため
- 肩甲骨の運動制限を評価するため
…などがあげられます。
ハイパーアブダクション テストの検査方法
ここではハイパーアブダクション テストの検査方法について解説します。
検査の流れとしては次の通りになります。
- 背中を伸ばしたまま座位姿勢になる
- 橈骨動脈の拍動を確認する
- 頚部を中間位に保持したまま、肩関節90度以上外転、外旋させる
- この肢位を1分間続ける
- 橈骨動脈の拍動、手のしびれの有無を確認する
- 橈骨動脈の拍動の減弱or消失、神経症状の訴えがある場合は陽性とする
以下に詳しく解説します。
1.背中を伸ばしたまま座位姿勢になる
被験者は背をまっすぐ伸ばしたまま座位姿勢をとります。
2.橈骨動脈の拍動を確認する
検者はこの肢位で、被験者の橈骨動脈の拍動を確認します。
3.頚部を中間位に保持したまま、肩関節90度以上外転、外旋させる
被験者は頸部を中間位に保持したまま、検者は…
- 肩関節90度以上外転
- 肩関節60度外旋
…させます。
4.この肢位を1分間続ける
3.の肢位を1分間保持します。
5.橈骨動脈の拍動、手のしびれの有無を確認する
橈骨動脈の拍動と手のしびれなどの神経症状の有無を確認します。
6.橈骨動脈の拍動の減弱or消失、神経症状の訴えがある場合は陽性とする
橈骨動脈の拍動の減弱や消失、または神経症状を訴えた場合、陽性とします。
ハイパーアブダクション テストの診断学的有用性
ハイパーアブダクション テストにおける診断学的有用性については次の通りになります。
著者 | 信頼性 | 感度 | 特異度 | 陽性尤度比 | 陰性尤度比 |
---|---|---|---|---|---|
Gillard J,et al(2001) 脈拍消失 | NR | 52 | 90 | 5.2 | 0.53 |
症状再現 | NR | 84 | 40 | 1.4 | 0.4 |
Rayan GM,et al(1995) 脈拍減少または消失 | NR | NR | 43 | NA | NA |
神経症状 | NR | NR | 83.5 | NA | NA |
NR:報告なし NA:該当なし
![](https://therabby.com/wp-content/uploads/2023/12/rabby-ot.png)
腕をあげる動作でしびれが出現する胸郭出口症候群は、ADLに大きな支障をきたすからね!
だからこそ、しっかりと評価する必要があるでしょうね!
![](https://therabby.com/wp-content/uploads/2023/12/rabby-pt.png)
参考
O., J., Gagey., N., Gagey. (2001). The hyperabduction test. Journal of Bone and Joint Surgery-british Volume, 83(1):69-74. doi: 10.1302/0301-620X.83B1.10628