脳卒中の片麻痺の回復程度に対しての評価方法に“FMA(Fugl-Meyer Assessment)”があります。
今回はこの評価の目的や方法、注意点について解説します。
Fugl-Meyer評価法(Fugl-Meyer Assessment:FMA)とは?
Fugl-Meyer 評価法(Fugl-Meyer Assessment:以下FMA)とは、脳卒中片麻痺クライアントの回復の程度を“定量的”に評価するための総合評価指標の一つです。
臨床や研究において幅広く使用されています。
FMAによる評価の目的
そもそもFMAを実施して評価する目的とはどのようなものでしょうか?
結論から言えば、脳卒中片麻痺クライアントの運動機能やパフォーマンスの回復を定量的に評価することと言えます。
そのことで治療効果の判定にもつながり、よりどのような介入がクライアントにとって効果的で有益かを比較検討することができます。
FMAの準備物と所要時間
FMAを実施するにあたって、以下の準備物が必要になってきます。
- 評価用紙
- 打腱器
- 紙
- 鉛筆
- 缶
- テニスボール
- ストップウォッチ
- ゴニオメーター
- 綿ボール
- シリンダ(空き缶や瓶)
- アイマスク
- 椅子
- ベッドサイドテーブル
また、FMAを実施する際に、平均的な所要時間は30分程度と言われています。
時間がかかることを事前にクライアントに伝えておく必要があります。
また、クライアントの疲労度などに合わせて実施する配慮も必要かもしれませんね!
*最大2時間かかったとの報告もあるようです。
FMAの評価項目
FMAはクライアントの上肢、下肢それぞれの…
- 運動機能
- 感覚機能
- バランス機能
- 関節可動域
- 関節痛
…といった5つの項目で構成されています。
評価の得点
各項目に対しては、
- 全くできない:0点
- 不十分:1点
- 十分可能:2点
の3段階で評価します。
FMAの満点は226点であり、各項目ごとは以下のような内訳になります。
- 運動機能:100点(上肢:66点、下肢:34点)
- 感覚機能:24点
- バランス機能:16点(座位6点、立位8点)
- 関節可動域:44点
- 関節痛44点
FMAのメリット・デメリット
脳卒中のクライアントの機能回復程度を定量的に評価できるFMAですが、メリット、デメリットそれぞれは以下のとおりになります。
メリット
- 特別な物品を使用しないため実施の障壁が低い
- 評価用紙に沿って検査を進めるだけなので比較的スムーズに実施できる
デメリット
- 詳細なマニュアルがないため、動きの程度の判定基準が曖昧
- 評価項目が多いため、時間がかかること、検者の経験が問われること
- 認知障害や意識障害、高次脳機能障害などは項目に含まれないため、包括的な評価にはならないこと
上肢や下肢のみといった部分的評価は可能?
FMAの各項目や運動機能のみ、バランス機能のみ…という部分的な評価として行うことも問題ないようです。

患者さんの回復程度をきちんと数値化し、客観的に把握することはセラピスト側にとっても必要なことと言えるからね!
FMAのような詳細に評価するツールを使い、機能のbefore-afterをしっかりと定量的に把握することで、介入に対してのエビデンスの確立だけでなく、患者さんのモチベーションの向上にもつながっていくと考えられますからね!
