鎖骨下筋(さこつかきん)- 起始・停止・支配神経・血液供給・主な働きや作用

鎖骨下筋(さこつかきん)- 起始・停止・支配神経・血液供給・主な働きや作用 解剖学

鎖骨下筋は肩関節の安定性や動きを支え、鎖骨と胸骨をつなぐ重要な役割を果たす筋肉です。
本記事では鎖骨下筋(さこつかきん)について解説します。


鎖骨下筋の起始・停止

起始 肋軟骨、肋骨の胸骨端
停止 鎖骨の中央3分の1の前下面

鎖骨下筋の起始・停止
鎖骨下筋は、上肢を体幹に固定する重要な筋肉の一つで、第一肋骨の胸骨端から起始し、鎖骨の体部下面にある鎖骨下筋溝に停止します。
この筋肉は、主に肩甲骨を安定させたり、鎖骨を下方に引く動作に関与します。
起始部では、筋肉は強靭な腱状になっており、第一肋軟骨にも接続しています。
筋腹は上外方へ向かって広がり、最終的に鎖骨下筋溝に固定されることで、肩の動きをサポートします。

この筋肉の働きは、重い物を持ち上げる動作や、腕を体に引き寄せる際に特に重要です。

鎖骨胸筋筋膜は、鎖骨下筋を包む線維性結合組織で、鎖骨と小胸筋の間に位置します。
この筋膜は、筋肉間の摩擦を減少させ、筋肉の動きをスムーズにする役割を果たします。
また、この筋膜は、筋肉同士の境界を形成し、内部の構造物を保護する重要な役割を担っています。
鎖骨胸筋筋膜は、大胸筋の下に位置し、この領域を通過する重要な血管や神経の通路としても機能します。

腋神経叢、上肩甲動脈、鎖骨下動脈、鎖骨下静脈は、鎖骨下筋の下方を通過する重要な構造です。
これらの血管と神経は、上肢への血液の供給と神経信号の伝達に不可欠であり、この領域の構造的な配置は上肢の機能に直接影響します。
特に、腋神経叢は多くの重要な神経が集合する場所であり、上肢の感覚と運動機能を制御します。

鎖骨下筋の位置と関係性は、これらの血管と神経の保護にも寄与し、上肢の健康と機能を維持するために重要です。

鎖骨下筋は肩甲骨と鎖骨を安定化し、上肢の動きを支える重要な役割を果たす筋肉なんだ!
また、その周囲には重要な血管や神経が位置していることが強調されていますね!

鎖骨下筋の支配神経

神経支配 鎖骨下神経 (C5-C6)

鎖骨下筋の支配神経
鎖骨下筋の神経支配は、鎖骨下神経(C5-C6)によって行われます。
この神経は、脊髄の第5および第6頚神経節から発生し、上位幹から分岐する小さな枝です。
鎖骨下神経は、鎖骨下筋へ向かう途中で、肩甲上部に位置する他の構造物を迂回します。
この神経は、鎖骨下筋の収縮を制御し、肩の動き、特に肩の下方引きや肩甲骨の安定化に重要な役割を果たします。

鎖骨下神経の損傷は、これらの動作の障害や筋力の低下を引き起こす可能性があります。
神経支配の精密な配線は、筋肉の適切な機能と協調動作を保証するために不可欠です。

鎖骨下神経(C5-C6)がこの筋肉を支配し、肩の動きや安定性を調整する役割を果たしているんだ!
この神経の損傷は、肩関節の動作や筋力に影響を及ぼす可能性がありますね!

鎖骨下筋の栄養血管

血液供給 胸肩峰動脈の鎖骨枝、肩甲上動脈

鎖骨下筋の栄養血管には、胸鎖肩峰動脈の鎖骨枝と肩甲上動脈が含まれます。
胸鎖肩峰動脈の鎖骨枝は、鎖骨下筋に酸素と栄養素を供給する主要な血管の一つです。
この血管は、鎖骨近くを通過する際に鎖骨下筋へ分岐し、筋肉の各部に必要な酸素や栄養素を運搬します。
一方、肩甲上動脈も筋肉の血液供給に寄与し、特に筋肉の上部領域への血液供給を強化します。
これらの血管は、筋肉の代謝活動や修復プロセスに不可欠であり、運動中の酸素やエネルギー源の要求を満たすために重要です。

血液供給の効率は、筋肉の健康、持久力、および回復能力に直接影響を与えます。

胸鎖肩峰動脈の鎖骨枝と肩甲上動脈が鎖骨下筋に酸素と栄養素を供給ているんだ!
筋肉の健康や機能性を維持する上で重要な役割を果たしているんですね!

鎖骨下筋の機能・作用・働き

機能 胸鎖関節:鎖骨を固定し、押し下げる

鎖骨下筋の主な働きについては次の3つになります。

  • 胸鎖関節で鎖骨を安定させる
  • 鎖骨の脱臼の防止
  • 鎖骨下血管や腕神経叢の上幹を守る

以下にそれぞれ解説します。

胸鎖関節で鎖骨を安定させる

鎖骨下筋は、肩関節の安定性と動きの範囲を維持するために重要な筋肉です。
特に、胸鎖関節で鎖骨を安定させる役割は、肩の構造的な安定性と機能性に直接影響します。
胸鎖関節は、肩甲骨と上腕骨の動きを胸部と連動させ、これにより腕の広範囲の動きが可能になります。
鎖骨下筋は、この関節で鎖骨が適切な位置に保持されるように作用し、肩の動きがスムーズに行われるように支援します。

動きや負荷の際に鎖骨が安定していると、肩関節の過度なストレスが防がれ、関節の健康を長期にわたって維持することができます。

鎖骨の脱臼の防止

鎖骨の脱臼の防止は、鎖骨下筋のもう一つの重要な機能です。
鎖骨は肩の骨格の中で中心的な役割を果たし、上腕骨とともに腕を体幹につなぐ重要な橋渡しをします。
鎖骨下筋の働きにより、鎖骨はその位置を保持し、過剰な動きや力による脱臼が防がれます。
この筋肉が適切に機能することで、日常生活やスポーツ活動中の鎖骨の不安定性や脱臼リスクが軽減され、肩の健康が支えられます。

鎖骨下血管や腕神経叢の上幹を守る

鎖骨下血管や腕神経叢の上幹を守る機能は、鎖骨下筋が持つ防御的な側面を示します。
この筋肉は、鎖骨やその周辺の重要な血管と神経を物理的な損傷から保護するバリアのような役割を果たします。
鎖骨が骨折した場合、鎖骨下筋は骨片が周囲の軟組織や血管、神経に損傷を与えるのを最小限に抑えるのに役立ちます。

また、この筋肉は、肩を動かす際に腕神経叢や血管が適切な位置に保たれるように支援し、これらの重要な構造が適切に機能し続けることを確保します。

不安定な肩関節のために様々な機能を担っているんだろうね!
これらの機能は、肩の健康と動作の正確さを維持する上で不可欠であることが示唆されていますね!

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