腕橈骨筋は手首の伸展と前腕の屈曲に重要で、上腕二頭筋や上腕筋と相乗して肘関節の動きを支えます。
本記事では腕橈骨筋について解説します。
腕橈骨筋の起始・停止
起始 | 上腕骨の外側顆上隆起 外側上腕筋間中隔 |
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停止 | 橈骨の茎状突起(の近位) |
腕橈骨筋の起始部は、上腕骨の外側下部…もう少し正確には、外側顆より上2/3と、外側上腕筋間中隔の前面になります。
そこから肘関節の外側面を滑り、前外側肘部に入ります。
その腕橈骨筋の筋繊維は、前腕の橈骨部分を下方に走行し、前腕のほぼ中央に厚い腱を形成します。
この腱は前腕の残りの部分を横断し、橈骨茎状突起のすぐ近くに停止します。
腕橈骨筋の神経支配
神経支配 | 橈骨神経(C5-C6) |
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腕橈骨筋は橈骨神経によって支配されています。
この橈骨神経は、腕神経叢の後索から伸びる主要な神経の一つで、根元値がC5からC6にかけての脊髄神経から由来しています。
腕神経叢は、首の領域にある一連の神経網で、腕、肩、手へと信号を送る多くの神経の起源となっています。
橈骨神経はこの叢から分岐し、腕を通って前腕に達し、腕橈骨筋を含む前腕の複数の筋肉に支配しています。
腕橈骨筋の血液供給
血液供給 | 橈骨動脈 橈骨反回動脈 橈骨側副動脈 |
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腕橈骨筋への血液供給は…
- 橈骨動脈
- 橈骨反回動脈
- 深上腕動脈の橈骨側副枝
…から供給されます。
それぞれ解説します。
橈骨動脈
橈骨動脈は前腕の主要な血管の一つで、上腕動脈から分岐し、前腕の側面を通って手首へと走ります。
この動脈は、腕橈骨筋を含む前腕の複数の筋肉へ血液を供給することにより、筋肉の活動中に必要な酸素と栄養素を提供します。
橈骨動脈はまた、手の構造への血液供給にも寄与し、手の健康と機能を支えます。
橈骨反回動脈
橈骨反回動脈は、橈骨動脈の主要な枝の一つで、前腕の深部を通って腕橈骨筋のような特定の筋肉に血液を送ります。
この動脈は、特に前腕の筋肉が激しい活動を行っている時に、追加の酸素と栄養素を供給する役割を果たします。
橈骨反回動脈は、手首の動きや力を生み出す筋肉の効率的な機能を支えるために重要です。
深上腕動脈の橈骨側副枝
深上腕動脈の橈骨側副枝は、上腕部に位置し、腕橈骨筋を含む前腕の筋肉へと血液を運ぶ小さな血管です。
この副枝は、筋肉への追加の血液供給を提供し、特に腕の使用が増加した時に筋肉が必要とする酸素と栄養素を確保します。
深上腕動脈の橈骨側副枝は、筋肉の回復と成長にも寄与し、運動後の修復プロセスをサポートします。
腕橈骨筋の主な働き
機能 | 肘関節:前腕屈曲(半回内時) |
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腕橈骨筋の主な働きとしては、肘関節の屈曲になります。
ここではもう少し深堀りして…
- 腕橈骨筋の屈曲機能
- 筋肉の効率と配向
- 補助的な機能と偏心収縮
…というテーマでそれぞれ解説します。
腕橈骨筋の屈曲機能
腕橈骨筋は、上腕二頭筋と上腕筋と共に肘の屈曲に関与し、手のひらが地面に対して垂直な半回内の位置で最も効率的に働きます。
この三つの筋肉は相乗して前腕の屈曲を行い、腕橈骨筋は特に前腕が半回内の位置にある時に強力な屈筋として機能します。
その近位付着点が肘近くにあり、遠位付着点が手首近くにあることから、肘を支点としたてこ機構を利用して前腕を効果的に屈曲させることができます。
筋肉の効率と配向
腕橈骨筋の効率は筋繊維の配向と前腕の位置によって最適化されます。
この筋肉は前腕が半回内の位置、すなわち手のひらが垂直に近い状態で最大の力を発揮します。
これは、筋繊維が直線状に並ぶことで力の伝達が最も効率的に行われるためです。
一方、上腕二頭筋は前腕が回外された状態、上腕筋は前腕が回内された状態でそれぞれ最大の力を発揮します。
これらの筋肉の特性は、特定の活動や動作において最適な機能を提供します。
補助的な機能と偏心収縮
腕橈骨筋は前腕の回外と回内の動きも補助し、前腕が仰臥位や中間回内位にある時に、それを調整する役割を果たします。
さらに、この筋肉は反復的な活動中に前腕の伸展をスムーズにするために偏心的に収縮することがあり、これは特に物を持ち上げる動作やハンマーを使うような動作で重要です。
偏心収縮により、筋肉は伸びながら力を発揮し、動作のコントロールと効率を高めることができます。