第3脳神経(動眼神経)の麻痺による眼球運動障害は、視界を制御する重要な神経の障害で、複視や瞳孔の異常などが生じます。
本記事ではその原因・症状・対処法について解説します。
第3脳神経とは?
第3脳神経とは、動眼神経とも呼ばれる脳神経の一つです。
眼球の動きや瞳孔の反応を制御する役割があります。
第3脳神経(動眼神経)の麻痺の原因
臨床で第3脳神経の麻痺が生じる原因としては…
- 動脈瘤
- 頭部外傷
- 脳卒中
- 髄膜炎
…などが考えられます。
第3脳神経(動眼神経)の麻痺による眼球運動障害の症状
では、この第3脳神経である動眼神経が障害されることで生じる眼球運動障害の症状としてはどのようなものがあげられるでしょうか?
主なものとしては…
- 上方・内方・下方への運動障害
- 複視
- 眼瞼下垂
- 瞳孔拡大
…があげられます。
以下にそれぞれ解説します。
上方・内方・下方への運動障害
動眼神経は外眼筋のうち上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋の4つを支配しています。
そのため、麻痺が起こると眼球の上方・内方・下方への運動が障害されます。
複視
物が二重に見える症状である複視も動眼神経麻痺によって生じる場合があります。
これは眼球運動や瞳孔の反応が損なわれることで起こります。
眼瞼下垂
瞼を引き上げる眼瞼挙筋は動眼神経によって支配されています。
この動眼神経が麻痺すると、眼瞼下垂(ptosis)が起こる場合があります。
瞳孔散大
瞳孔が大きくなり、光に反応しなくなる症状である瞳孔散大も動眼神経麻痺によって生じます。
動眼神経麻痺への治療法
動眼神経麻痺の治療法は原因によって異なりますが、一般的には薬物治療や手術などが行われます。
薬物治療では、ステロイド剤や抗ウイルス剤などが用いられます。
手術では、動眼神経の圧迫を解除するために動脈瘤の除去や脳ヘルニアの減圧などが行われます。
動眼神経麻痺の予後について
予後は、原因によって異なりますが、一般的には2~3週以内に回復し始め、3~4カ月以内に完全回復するといわれています。
ただし、脳の障害が重度の場合は、後遺症が残ることもあります。
動眼神経麻痺とくも膜下出血
動眼神経の近くには脳動脈瘤が発生しやすい傾向があります。
つまり動眼神経麻痺とくも膜下出血が合併する場合、破裂した動脈瘤は同側の内頸動脈と後交通動脈の分岐部に位置すると考えられます。