筋緊張の抵抗感による検査方法

リハビリの臨床での筋緊張の検査では”抵抗感”も重要な検査方法の一つです。
本記事では筋緊張の抵抗感による検査方法について解説します。

筋緊張の抵抗感による検査方法

筋緊張の”抵抗感”で検査する方法、ポイントとして…

  • 上・下肢の関節可動域の評価
  • 関節の動きと筋緊張度の評価
  • 特定の筋緊張状態の評価
  • 他動運動での抵抗感の強さ
  • 筋緊張低下の評価
  • 頸部および肩甲帯と上肢の評価
  • 下肢の筋緊張評価

…について解説します。

上・下肢の関節可動域の評価

被検者を背臥位に配置し、「緩めて!」または「だらりとして!」と指示して、上下肢をリラックスさせます。
検者は被検者の上下肢を自由に動かせるようにし、通常は骨格筋の筋活動が見られないはずです。
しかし、上・下肢の関節可動域全体を動かすと、わずかながら検者の手に可動域内での抵抗感が現れることがあります。

関節の動きと筋緊張度の評価

検者は上肢や下肢の主要な関節(屈曲、伸展、回旋)を動かし、筋緊張度を評価します。
筋緊張度は、筋の伸びの程度(extensibility)や他動的に振り動かせる度合いを確認します。
続いて、筋肉の硬さ(firmness)や柔軟性(consistency)なども主観的に評価します。
他動的な運動によって痛みが伴う場合、患者は運動に逃避的に反応し、抵抗することがあるため、できるだけ痛みを誘発しないように注意が必要です。

特定の筋緊張状態の評価

筋緊張亢進が疑われる片麻痺の場合、他動運動で肘関節や膝関節の屈曲と伸展運動を行い、患側肢が通常どちらかの筋肉で抵抗感を示すかを確認します。
このような症例では、筋緊張の段階評価が行われ、評価項目「筋緊張」に基づいて状態が評価されます(例: 0から3の評価)。

他動運動での抵抗感の強さ

片麻痺肢の筋緊張が著しく亢進している場合、他動運動で上・下肢の運動を妨げる感覚が検者の手に感じられることがあります。
パーキンソン病や脳障害の患者では、大腿内転筋の筋緊張亢進により、股関節の開排制限が頻繁に見られることがあります。

筋緊張低下の評価

筋緊張低下の場合、上下肢の関節を他動運動で比較的容易に動かすことができます。
検者は被検者の前腕や下腿の遠位部を把持し、垂れ下がった手首や足首の部分を他動的に振ると、筋緊張低下の兆候が現れ、振り子のように揺れることがあります。
特に脳血管障害の片麻痺の場合、発症直後は筋緊張の低下が見られることがあります。
大腿四頭筋やハムストリングの筋緊張低下により、反張膝が生じることもあります。

頸部および肩甲帯と上肢の評価

頸部の筋緊張を評価するために、「head-dropping test」を実施します。
これは診療台の端から頭部を少し出した背臥位で行われ、頭部を支えた後、手を離し、頭部の動きを観察します。
肩甲帯と上肢の筋緊張を評価するために、「shoulder shaking test」が行われます。
患者は立位で体幹を左右に揺さぶり、腕の振り子運動を診察します。

下肢の筋緊張評価

下肢の筋緊張の程度を評価するため、ベッドの端から両側下腿を垂らして座位姿勢をとらせます。
検者は被検者の下腿を前後に振り、振り子の運動を観察します。
異常な筋緊張の場合、振り子の動きは大きく不規則になることがあります。

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