高度な感覚である”複合感覚”。
本記事ではこの複合感覚について解説します。
複合感覚とは?
複合感覚とは、複数の体性感覚が統合する過程で起こる感覚…を指します。
表在感覚や深部感覚などの複数の感覚を頭頂葉で統合することで、二点識別感覚、皮膚書字覚、立体認知、二点同時刺激識別感覚などの知覚を生み出します。
複合感覚の種類
複合感覚とは、複数の刺激をまとめて感じる高度な感覚です。
そしてこの複合感覚には、次のようなものがあります。
- 二点識別感覚
- 皮膚書字覚
- 立体認知
それぞれ簡単に解説します。
二点識別感覚
二点識別感覚とは、皮膚に同時に加えられた2つの刺激を2つであると識別する感覚です。
例えば、指先に2つの針を当てて、2つの針が刺さっていると感じるかどうかを調べることができます。
この感覚は、表在感覚や深部感覚などの複数の感覚を頭頂葉で統合することで生み出されます
皮膚書字覚
皮膚書字覚とは、皮膚に書かれた文字や数字を認識する感覚です。
複合感覚の一種であり、表在感覚や深部感覚などの複数の感覚を頭頂葉で統合することで生み出されます。
脊髄を圧迫している部位を探す際に使用されることもあります。
立体認知
立体認知とは、物体の形状や位置関係を把握する能力のことです。
立体認知は、視覚的な情報だけでなく、触覚、聴覚、嗅覚、味覚などの感覚情報も統合されています。
立体認知は、空間認識能力の一部であり、空間認識能力が高い人は、立体認知能力も高い傾向があります。
立体認知は、脳の頭頂葉や側頭葉などの部位で処理されます。
立体認知には、物体の回転や移動、物体の形状や大きさの変化などを認識する能力も含まれます。
複合感覚の伝導路
複合感覚の伝導路は、表在覚・深部覚それぞれの伝導路を経由した感覚情報を頭頂葉で統合することで感知することができます。
複合感覚の検査とは?
複合感覚の検査方法には、次のようなものがあります。
- 皮膚の2点を同時に触れて、識別ができるか
- 皮膚に書かれた数字や文字を充てることができるか
- 使い慣れたものをさわっただけでその名前を当てることができるか
複合感覚が障害されている場合、皮質障害など視床より上位の障害が疑われます。
複合感覚障害とは?
複合感覚障害とは、触覚や痛覚などの感覚が正常であるにもかかわらず、複合感覚が障害されている状態です。
複合感覚障害の原因
複合感覚障害の原因は…
- 脳梗塞
- 脳出血
- 外傷
- 腫瘍
- 椎間板ヘルニア
- 糖尿病
- 関節リウマチ
- 帯状疱疹
…などが考えられます。
これらの疾患によって、感覚受容器や末梢神経に障害が生じ、感覚が鈍くなったり、激しい痛みやしびれが出現したりすることがあります1。