パチニ小体 – 構造・特徴・機能・位置や分布

パチニ小体は、皮膚や臓器に存在する感覚受容体で、振動や圧力などの機械刺激を感知し、身体の外部環境に対する感覚情報を提供する重要な役割を果たします。

パチニ小体とは?

パチニ小体(Pacinian corpuscle)は、皮膚やその他の臓器に存在する感覚受容体の一種です。
振動や圧力などの機械的刺激を感知する役割を果たします1)

パチニ小体の構造

パチニ小体はカプセル状の構造であり、内部には複数の同心状の薄層(lamellae)が存在します。
その外観は「タマネギの皮」のように特徴的になっています。
これらの薄層は、結合組織層や線維芽細胞によって囲まれ、感覚ニューロンの終末が存在する中央には球根状の腔があります。

パチニ小体の認識の歴史

パチニ小体の機能についての理解は進化しており、初期の理論では終末神経節や電気器官と関連づけられたこともありました。
しかし、現在では主に神経終末として認識されています。

パチニ小体の機能・働き

パチニ小体は、皮膚の表面での刺激や圧力変化、振動などの感覚を伝える役割を果たします。
その特性から、足裏のパチニ小体は歩行において重要な情報を提供するとされています。

パチニ小体の特徴

パチニ小体の特徴ですが、ここでは…

  • 機械受容
  • 速順応性

…について解説します。

機械受容

パチニ小体は、機械受容として知られる特性を持ちます。
これは、外部からの機械的な刺激に対して敏感に反応することを意味します。
具体的には、振動や圧力などの刺激がパチニ小体に加わると、その細胞膜が変形され、ナトリウムイオンが細胞内に流入します。
このナトリウムイオンの流入によって、受容器電位が発生し、細胞内で電気的な信号が生じます。
これにより、神経終末が活動電位を発火させ、感覚情報が神経系に伝達されます。
この機械受容のメカニズムによって、パチニ小体は振動や圧力の変化を感知し、私たちの体に周囲の環境からの重要な情報を提供する役割を果たしています。

速順応性

パチニ小体は、速順応性と呼ばれる特性を示します。
これは、刺激の開始時と終了時に敏感に反応し、刺激が持続すると徐々にその反応が鈍くなる性質です。
例えば、振動や圧力の急な変化に対して敏感ながら、刺激が一定の圧力で持続する場合にはその刺激にはほとんど反応しなくなります。
この速順応性の特性によって、連続した感覚刺激に適切に対応し、継続的な情報を効果的に伝達します。
例えば、手で物を持つ際の圧力や振動、歩行時の足裏への圧力変化など、日常の動作における感覚情報を適切に処理するために重要な役割を果たします。
速順応性は、パチニ小体が瞬時的な刺激に対する高い感度と、持続的な刺激に対する適切な適応能力を両立させるための適応戦略と言えます。

パチニ小体の位置や分布

パチニ小体は手のひらや指、足の指間部、爪床、背部などに分布しており、地域によって遺伝的に決定される可能性もあるようです。
また、膵臓、胸腺、リンパ節、前立腺、膀胱壁など、他の臓器にも存在することがあります1)

参考

1)Ectopic lamellar Pacinian corpuscle within the thymus. Atypical or abnormal location

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