運動感覚の伝達メカニズムについて

講座

運動感覚とはどのように脳まで伝達するのでしょうか?
本記事ではこの運動感覚の伝達メカニズムについて解説します。

運動感覚の伝達メカニズム

運動感覚の伝達メカニズムは、次のステップによって成り立っています。

  1. 筋紡錘などによる感覚入力
  2. 求心性伝導路によって脳への伝達
  3. 感覚統合と他の感覚との連携
  4. 運動野による運動命令
  5. 遠心性指令による運動制御

以下にそれぞれ解説します。

筋紡錘などによる感覚入力

まず最初に、”筋紡錘”と”皮膚伸張受容体”といった感覚受容器から身体の位置や動きに関する情報を受け取ります。
これらの感覚受容器によって、筋肉の長さや速度の変化が感知されます。

運動感覚における主要な受容器である筋紡錘には…

  • 一次終端
  • 二次終端

…の2つのタイプがあります。

一次終端
:筋肉の長さと速度の変化に反応し、手足の位置と動きの感覚に寄与します。

二次終端
:主に長さの変化を感知し、位置の感覚に影響を与えます。

求心性伝導路によって脳への伝達

筋紡錘で感じ取った運動感覚に関する情報は、感覚神経終末から”Ia求心性線維”という速い感覚神経で脊髄へ送られます。
脊髄では、シナプスを介して”α運動線維”という運動神経に伝わり、筋肉の収縮や弛緩を制御します。
また、脊髄上行路を通って脳へも情報が投射されます。

感覚統合と他の感覚との連携

四肢の運動に関する信号は、脊髄から”頭頂連合野”に送られます。
ここで運動感覚は、視覚や聴覚など他の感覚と統合されます。

これにより、運動の速さ、方向、タイミングなどの情報を総合的に評価し、動作を調整します。
例えば、ボールを投げる際には、運動感覚と視覚情報が結びついて正確な投球を実現します。

運動野による運動命令

頭頂連合野で統合された情報は、前頭葉の”前頭連合野”に送られ、どうすべきかを判断します。

遠心性指令による運動制御

前頭連合野での判断をもとに、運動野で運動の命令が実行され、運動器へと伝わります。
脳から筋肉に送られる遠心性指令は、筋肉の収縮を制御します。
これにより、身体の動きや姿勢が調整され、運動感覚が維持されます。

遠心性指令は、重さや力の感覚にも関与し、身体のバランスや運動の効果を調整します。

まとめ

運動感覚は、筋紡錘からの求心性入力と脳からの遠心性指令の組み合わせによって成り立っています。
これらの情報は協力して、身体の位置、動き、力の感覚を提供し、他の感覚情報とも統合されて、正確な運動制御を可能にします。

参考

The kinaesthetic senses

身体障害でも特に中枢性の障害へのリハビリの際に、このメカニズムは非常に役立つ知識になるだろうね!
どのプロセスで障害を受けているのかを知ることで、リハビリのプログラムも変わってきますからね!

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