日常生活に影響を及ぼす可能性が高い”半盲”。
本記事ではその半盲を起こす可能性がある脳疾患や視神経障害などについて解説します。
半盲の原因
半盲(Hemianopsia)とは、視野の一部が見えなくなる症状のことです。
原因は様々で、脳のどの部分が障害されているかによって、見えなくなる範囲や形が異なります。
ここでは主な原因である…
- 脳卒中 (Stroke)
- 脳腫瘍 (Brain Tumor)
- 外傷 (Trauma)
- 多発性硬化症 (Multiple Sclerosis)
- 脳の外科手術
…について解説します。
脳卒中 (Stroke)
脳卒中は、脳の一部への血流が遮断されることで、脳組織が損傷を受ける病気です。
視覚を処理する脳の領域に血栓や出血が生じると、視覚経路が遮断され、同名半盲(両目の同じ側の視野が欠ける状態)を引き起こすことがあります。
特に後頭葉に影響が及ぶ場合、この症状が顕著です。視野の欠損は、日常生活に大きな影響を与えるため、早期の治療が重要です。
脳卒中の予防には、生活習慣の改善や適切な医療管理が効果的です。
脳腫瘍 (Brain Tumor)
脳腫瘍は、脳の中で異常な細胞が増殖することによって発生します。
視覚経路に近い場所に腫瘍ができると、腫瘍が視交叉や視神経を圧迫し、視野が狭くなる半盲が引き起こされます。
下垂体腫瘍は特に視交叉に影響を与えるため、視野障害を伴うことがよくあります。
腫瘍の位置や大きさによって、視野欠損の範囲が異なり、手術や放射線治療が必要となる場合もあります。
早期の診断が治療の成功につながります。
外傷 (Trauma)
頭部に強い衝撃を受けると、脳の視覚経路が損傷を受け、半盲が生じることがあります。
頭部外傷は、交通事故や転倒、スポーツによる打撃などが原因で起こり、脳の後頭葉や視覚中枢に影響を及ぼす場合があります。
損傷の程度により、視野の一部が失われることがあり、回復の程度は外傷の重症度によって異なります。
リハビリテーションや視覚支援機器の使用が、生活の質を向上させるのに役立ちます。
多発性硬化症 (Multiple Sclerosis)
多発性硬化症は、自己免疫系が脳や脊髄の神経を攻撃する病気で、視神経炎や視覚経路の損傷を引き起こすことがあります。
この疾患では、免疫系が視神経を含む中枢神経を攻撃し、炎症を引き起こすことで、視力低下や視野の異常、痛みが生じます。
半盲の症状も見られることがあり、症状の進行具合は個々の患者によって異なります。
治療には、ステロイドや免疫抑制薬が用いられ、症状の進行を遅らせることが目指されます。
脳の外科手術
脳腫瘍の摘出手術や他の神経外科手術によって、視覚経路が損傷し、半盲が発生することがあります。
特に、視覚に関連する領域や神経に接近した腫瘍の手術は、視覚障害のリスクが高まります。
手術後のリハビリテーションや視覚補助機器を使用することで、視覚障害を克服するサポートが行われることがあります。
手術は命を救うために必要なことが多いですが、視覚機能への影響は慎重に考慮されるべきです。