アシドーシスの状態のクライアントって、糖尿病などの代謝障害、COPDといった呼吸器障害を背景に持つ場合があるのでリハビリテーションセラピストが対応する場面も多くあると思います。
今回は、アシドーシスの定義や種類などについて解説します。
アシドーシスとは?
アシドーシスの定義としては…
生体の血液の酸塩基平衡を酸性側にしようとする状態
…になります。
血液の酸塩基平衡は基本的にはpH7.4になるように保たれています。
アシドーシスは二次的な代償変化が起こらなければ、酸血症となると考えられる体液酸塩基平衡の異常状態を言います。
*反対の平衡を塩基性側にしようとする状態をアルカローシスと言います。
アシデミアとは?
血清pHが7.4未満になった(低下した)状態を“アシデミア”と言います。
アシドーシスの種類について
アシドーシスがその原因によって次の2種類によって分類されます。
- 代謝性アシドーシス
- 呼吸性アシドーシス
以下に詳しく解説します。
代謝性アシドーシス
代謝性アシドーシスとは…
- 酸性物質が排泄されない
- 不揮発性酸性物質が過剰に産生されている
- 重炭酸イオンが排泄されている
…などの理由から起きるアシドーシスになります。
代謝性アシドーシスの症状
代謝性アシドーシスの状態になると…
- 吐き気
- 嘔吐
- 疲労感
…といった症状がみられます。
代謝性アシドーシスの原因
代謝性アシドーシスは主に…
- 糖尿病性ケトアシドーシス(ケト酸の蓄積)
- アセタゾラミド、アルコール、アスピリンなどの薬や物質
- 乳酸アシドーシス(ショック時または特定の薬の使用時に起こる乳酸の蓄積)
- 下痢や回腸瘻造設術による消化管からの重炭酸塩などの塩基の喪失
- 重度の腎疾患
- エチレングリコールやメタノールなどの毒物
- 尿細管性アシドーシス(腎臓の機能不全の一種)
…などが原因としてあげられます。
代謝性アシドーシスの治療法
代謝性アシドーシスは、主にその原因によって治療法が異なってきます。
例で言えば…
- 糖尿病の場合:インスリンによる血糖コントロール
- 中毒の場合:血液中からの有害物質の除去
…となります。
呼吸性アシドーシス
呼吸性アシドーシスとは…
呼吸不全によって二酸化炭素が体内に蓄積したために起こるアシドーシス
…になります。
呼吸性アシドーシスの症状
呼吸性アシドーシスの状態になると…
- 頭痛
- 眠気
…といった症状がみられます。
呼吸性アシドーシスの原因
呼吸性アシドーシスは主に…
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺気腫や慢性気管支炎を含む)、重度の喘息、肺炎、肺水腫などの肺疾患
- 睡眠呼吸障害(例えば、睡眠時無呼吸症)
- ギラン-バレー症候群や筋萎縮性側索硬化症など、胸部の神経や筋肉の病気で呼吸が困難になるもの
- アルコール、オピオイド、強い鎮静薬などの過剰摂取
…などがあげられます。
呼吸性アシドーシスの治療法
呼吸性アシドーシスの場合は、呼吸機能が主な原因になるのでなによりも肺機能の改善を優先し治療を展開していきます。
喘息や肺気腫などの肺疾患がある場合は、気道を広げる薬(サルブタモールなどの気管支拡張薬)が有効になります。
薬やその他の物質による鎮静状態に陥った患者は、ときに解毒剤で回復する可能性があります。
また重度の呼吸障害がある、もしくは肺機能が著しく損なわれている場合は、その理由にかかわらず、呼吸を補助する人工呼吸器が必要になります。
まとめ
今回はアシドーシスの定義や種類などについて解説しました。
作業療法士は呼吸疾患のクライアントに関わる機会も多くあります。
しっかりとした知識を持って、対応することが望まれます。
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