継続力には行動そのものをマネジメントすること【行動変容的アプローチについて】

目標を達成するために努力をしても、それが続かず三日坊主…そして「自分は意思が弱い」と考えてしまう経験、多くの人があると思います。
でも継続力は決して意思や根性は関係ありません。

「物事が続かない理由」のパターンを知り、どのようにマネジメントするかが重要になります。

今回はこの継続力を行動変容の観点で解説します。

物事が続かない2つの理由とは?

何かを始めてもそれを継続し続けることができない…。
その理由としてあげられるのは次の2点が主と言われています。

  • やり方がわからない
  • やり方はわかっているが「継続の仕方」がわからない

では、それぞれ解説します。

やり方がわからない

例えばDM(糖尿病)の方が血糖値をコントロールするため、しっかりとした食事制限をはじめるとします。
でもそもそもその「食事制限の方法」を理解していないと、なんとなく始めても継続することは非常に難しくなってしまいます。

ただ、このように「やり方がわからない」という場合、DMの食事制限の場合は、

  • 病院での指導
  • 本で調べる
  • インターネットで調べる

といった解決方法が身近にあるため、まったく“情報が全くない”ということはないと思います。

やり方はわかっているが「継続の仕方」がわからない

そうなると、多くの「継続できない」理由、つまり“やり方はわかっているけど、どうしても継続できない…”という場合が現代ではほとんどだと思います。
この場合、多くはその「継続の仕方」に勘違いしている場合が多くあります。

物事を継続するためのやり方…つまり、その行動に注目した“マネジメントの方法”に問題があるため、結果として行動の継続が難しくなってしまうのです。

そもそも「継続力」は意思や性格は関係ない?

なかなか継続し続けることができず、「三日坊主」の状態になりがちな人は、決まって、

  • 「意思が弱い」
  • 「根性が足りない」
  • 「そういう性格だから」

といった精神論で片づけられてしまう場合が多いように感じます。
でも、物事を続ける力…継続力は決してそのような精神論とは関係ありません。

行動の2つのパターンとは?

さて、物事を継続するためにはその行動に注目した“マネジメントの方法”が重要になってきます。
そのためには2つのパターンのうちどちらか?を観る必要になってきます。
それは…

  • 「不足行動を増やす」パターン
  • 「過剰行動を減らす」パターン

…の2つになります。

それがどんな行動であっても、継続できるかどうかはこの2つのどちらかのパターンに当てはめることができます。
また増やしたいor減らしたいと考えている標的になる行動を「ターゲット行動(標的行動)」と言います。

不足行動を増やすパターンの場合

例えば、とあるセラピストが自身のキャリアアップのために新しい資格を取ろうと一念発起します。
「毎日勉強するぞ!」といった目標を掲げ、始めのうちは忙しい時間のなかがんばって勉強します。

ただ…いざその行動をしても1週間…2週間も経過すると

  • 「最近残業が多くて…」
  • 「研修が重なって…」
  • 「家の用事もしなきゃだし…」

と、いろんな理由をつけて、結局頓挫…(泣)。

残ったのは数週間前にSNSに投稿した「自分がんばります宣言」のみ…なんて人、多いかと思います(苦笑)。

この場合、マネジメント対象である『行動』に注目をすると、“机に向かう”…といった『行動』が不足している状態であることが多いようです。
やらなければならないけど、なかなか思うようにできない…という行動を「不足行動」と呼ばれています。

目標に対して時間や回数が到達していない行動は、すべて「不足行動」に分類されます。
目標達成のために足りない「不足行動」さえ増やすことができれば、結果として目標達成することができます。
(上記の例で言えば、勉強をするための「机に向かう時間」が不足行動にあたります。)

「何を当たり前のことを…」という意見もあると思いますが、この当たり前のことを「行動」という点に注目して見つめなおすことが重要と言えます。

不足行動を増やせない理由

増やすことで目標達成ができるこの「不足行動」ですが、単純に増やせない理由があります。
その理由としては、

  • すぐに成果を確認することができないから
  • ライバル行動が邪魔をするから

…が主にあげられます。
不足行動を増やせば目標達成できるとはいえ、「新しい資格を取る」といった目標達成の成果を得るには多少長い時間がかかります。
人間とは弱いもので、目に見えた成果が得られないと「大丈夫かな?」「これでいいのかな?」「方法が間違っているのかな?」と不安になってしまいます。

そこにさらに不足行動を増やすことにストップをかけてしまう誘惑…「ライバル行動」が出現することで、継続することが妨害されてしまいます。

このライバル行動は、例としては…

  • 勉強時間なのについついスマホをいじってしまう。
  • 誘われた新しいスイーツのお店で何時間も居座ってしまう。
  • くたびれたからソファーでウトウト寝てしまう。

といった「ついつい…」してしまうような行動のことを言います。

ライバル行動が強力な理由

この不足行動を増やすことをストップさせてしまう、「ついつい…」とってしまうライバル行動、これ非常に強力で厄介者なんです。
その理由としては、「簡単に結果(しかも快感)が得られてしまう」ということです。

  • 勉強時間なのに…ついついスマホをいじってしまう→楽しい!
  • 勉強しなきゃいけないのに…ついついケーキを食べてしまう→おいしい!
  • ついついソファーでウトウト寝てしまう→気持ちいい!

自分が望んでいる結果を簡単かつすぐに手にいられる行動、それがライバル行動なのです。
それに対して、時間がかかりなかなか臨んだ結果が得られない不足行動はどうしても継続することが難しくなってしまいます。

過剰行動を減らすパターン

ではもう一つの「過剰行動を減らす」パターンを考えてみます。

そもそもこの『過剰行動』とは、

  • 夜食を食べてしまう
  • タバコを吸ってしまう
  • お酒を飲んでしまう

といった減らしたい・止めたい行動を指します。

目標達成を邪魔することにつながる、時間や回数が多すぎる行動はすべて「過剰行動」に分類されます。
当然ながら、目標達成のためにはこの「過剰行動」を減らせばいいことになります。

ただ、この過剰行動を減らすってことはなかなか難しいんです。

過剰行動が減らない理由は?

では「減らさなきゃ…」「止めなきゃ…」と思っている過剰行動ですが、どうしてなかなか減らすこと(止めること)ができないのでしょうか?
これは前述した『ライバル行動』と同じで、過剰行動によってもたらされる結果も快楽的な結果を簡単に確実に手に入れることができることが理由にあげられます。

目の前の「美味しく楽しいもの」には誰もが弱いってことでしょうね(笑)

過剰行動は減らしにくい?

これらの過剰行動はライバル行動と同様に簡単に快感的な結果が得られる点から、減らしにくいことが多いようです。
また仮に代替手段を用意しても、「それじゃない!」と感じることがほとんどで、過剰行動を抑制するほどの力はありません。

お酒を飲んで酔っ払い楽しくなることは、ノンアルコールビールではなかなか得られない…といったことになります。

まとめ

今回は継続力を行動変容の観点で解説しました。
目標達成のための行動を継続できず、三日坊主になってしまう人ほど「気合いが足りないから」「根性がないから」と精神論に頼ってしまいがちです。
足りないのは気合いでも根性でもなく、「行動に注目する」ということがご理解できたかと思います。

目標達成のために必要な、足りない「行動」を増やし、邪魔をする「行動」を減らす…。
「ターゲット行動のコントロール」と「ライバル行動のコントロール」というマネジメントが必要と言えます。

まずは目標達成のために、「不足行動を増やすパターン」なのか「過剰行動を減らすパターン」なのかを知ることが解決のための一歩と言えますね!

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