ストループテスト – 目的・方法と前頭葉との関係について

ストループテスト - 目的・方法と前頭葉との関係について 検査

色名語とそれが書かれた色名が異なる色名語を答えるというストループテスト(stroop test)。
遂行機能や選択的注意機能の検査として非常に有用とされています。

今回はこのストループ効果とストループテストの目的、やり方について解説します。


ストループテスト(stroop test)とは?

ストループテストとは、認知心理学の分野で用いられるテストの一つです。
ストループ効果を利用した検査であり、色名呼称における色と語の干渉効果課題を中心とした神経心理学的検査になります。

そもそもこのストループ効果(stroop effect)とは、1935年に心理学者の“ジョン・ストループ”によって報告された、文字色と文字意味の注意・切りかえに関する機能が干渉しあう現象を言います。
つまり情報処理過程における視覚情報(色)と言語情報(文字)が不一致したとき、その二つの情報が一致している時に比べると反応が遅くなる…ということになります。

検査目的について

基本的にその検査目的としては、

  • 遂行機能
  • 選択的注意機能

…といった前頭葉に関わる領域の働きの検査を目的としていることがあげられます。
以下にそれぞれ解説します。

遂行機能について

遂行機能は、目標指向の行動を計画し、実行し、調整する能力を指します。
ストループテストでは、この機能は被験者が異なる刺激(例えば、色の名前が異なる色で書かれている単語)に反応する際の速度と正確性を通じて評価されます。
このテストでは、衝動制御や認知の柔軟性、そして複数の情報を同時に処理する能力が問われます。

たとえば、赤色で書かれた「青」という単語を読む際に、色ではなく単語の内容に基づいて反応することが求められるため、これは遂行機能の複雑さを示しています。

選択的注意機能について

選択的注意機能は、関連性のある情報に注意を集中し、関連性のない情報を無視する能力を指します。
ストループテストでは、被験者は文字の意味ではなく、文字の色に基づいて反応するよう求められます。
これにより、注意を分散させる誘惑に対する抵抗力が試されます。

例えば、単語「緑」が赤色で書かれている場合、被験者は単語の意味を無視し、その色に注意を集中させる必要があります。
このプロセスは、注意の選択と維持の能力を評価し、日常生活での多くの課題において重要な役割を果たします。

ストループテストのやり方について

まず基本的なストループテストの方法について説明します。
下の動画に表示される文字の色をできるだけ早く声に出して読んでください。

このように色と言語の情報の不一致を上手に処理できるかどうかをみるのがストループテストということになります。

ストループテストと脳機能

ストループテストは、いったい脳のどのような領域を刺激し、活性化することになるのでしょうか?
fMRIや光トポグラフィーを利用した研究によってわかったことは、ストループテストによって脳の…

  • DLPFC(前頭葉の46野・9野)
  • ACC(前部帯状回)

…の活動を促すことが分かっています。

それぞれ解説します。

DLPFC(前頭葉の46野・9野)について

DLPFCは、複雑な認知機能、特に作業記憶や計画、理性的意思決定に関与しています。
ストループテスト中、被験者は異なる色と単語の意味を整理し、認知的干渉を処理する必要があります。
このプロセスは、DLPFCの働きを活発化させ、その結果、遂行機能の評価やトレーニングに役立てられます。

DLPFCは、ストループテストにおいて特に重要であり、衝動制御や認知の柔軟性を示す役割を果たしています。

ACC(前部帯状回)について

ACCは注意制御、感情の処理、自己調整に重要な役割を担っています。
ストループテストにおいて、ACCは特に色と単語の不一致を処理する際に活性化されます。
これは、認知的干渉やエラーの検出に関わり、テスト中に生じる心理的ストレスや困難に対処する過程を反映しています。

ACCの活動は、ストループテストを通じて認知的課題への対応性や注意力の維持において重要な役割を果たし、注意機能や遂行機能の調整に対する洞察を提供します。

古くから知られているこのストループ効果ですが、最近の脳トレブームも後押しして最注目されているようだね!
作業療法プログラムでも取り入れると面白いかもしれませんね!

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