高次脳機能障害のひとつである注意障害の検査方法にはCATやTMT等があげられます。
でも、聴覚による注意障害を検査するのに特化した方法として、「AMM(audio motor method)」があげられます。
今回はこのAMMの特徴や方法、注意点や平均値などについて解説します。
AMM(audio motor method)とは?
AMM(audio motor method)とは、“聴覚-運動メソッド”とも呼ばれる注意障害の検査方法のひとつになります。
1986年に鹿島らが発表しました。
AMMは選択性注意障害に特化している?
AMMは注意障害のなかでも、“選択性注意障害”の検査に特化した方法になります。
この選択性注意障害とは、様々な刺激のなかから、目的情報のみを検出することができなくなる障害です。
AMMの検査目的について
AMMは選択性注意障害に対しての検査でも、特に
- 聴覚刺激に対しての選択性注意
- 聴覚刺激に対しての持続性注意
…の両方の要素を検査することを目的としています。
AMMの検査方法
AMMの検査方法としては、
- テープレコーダーを使用し、5種類の類義語音「ト、ドボ、コ、ゴ」を1音/秒の速度で5分間提示
- 目標語音「ト」に対して何らかの合図による反応を求める
…という方法になります。
AMMの注意点
AMMの検査を実施するにあたっての注意点としては…
- 5種類の類義語音「ト、ドボ、コ、ゴ」はランダム配置していること
- 目標語音である「ト」は1分間に10回、計50回出現するようにすること
…があげられます。
AMMの結果と解釈について
上述した方法によってAMMの検査を行い、正答率(母数は50)と的中率(母数は総反応数)を算出します。
AMMの平均値
AMMの平均値についてですが、
年齢 | 平均値 | 的中率 |
---|---|---|
64歳以下 | 89.8% | 91.4% |
65歳以上 | 72.4% | 65.0% |
…とされています。
AMM=ADT?
AMMを発表した鹿島らと同じグループである加藤(1995)の論文では、ADT(auditory detection test:聴覚性検出テスト)と言い換えられているのでAMMと同義だと考えられます。
注意障害はその状況や被験者の心理的状態によっても現れ方が変わってくるので、様々な検査バッテリーを使用したり、実際のADL場面などで評価を行う必要があるからね!
AMMは聴覚刺激に対しての選択性注意能力が検査ができるといった、その検査とどの障害に対しての検査なのかをしっかりと把握し、多角的に評価をしていく必要があるんでしょうね!