早期認知症のスクリーニングに使用される検査の一つに“かなひろいテスト”があります。
今回はこのかなひろいテストの目的や方法、採点方法や解釈、そしてカットオフ値について解説します。
かなひろいテストを臨床で役立てるマニュアルの一つとして活用できたら幸いです。
かなひろいテストとは?
かなひろいテストは、加齢による判断力、注意力、記憶力の低下を評価するための検査です。
このテストは、全文が平仮名で書かれた500字程度の物語文を2分以内に読みながら「あ・い・う・え・お」の5文字を見つけて○をつける形式で行われ、集中力と分散注意力を同時に試します。
このテストには、無意味綴と物語文の2種類があり、それぞれ異なる認知機能を評価します。
このテストは、早期認知症の診断や注意障害の評価に使用されるほか、前頭葉機能の評価にも利用されます。
無意味綴ではランダムに並べられたひらがなの中から特定の文字を識別する能力を試し、物語文では文章の意味を理解しながら特定の文字を見つける二重の課題が課されます。
結果は年代別に判定されますが、平均点以下だからといって必ずしも前頭葉機能障害を示すわけではなく、総合的な判断が必要です。
かなひろいテストは、大脳の認知機能を包括的に評価するための信頼性の高い方法です。
特に、早期認知症の診断や注意障害の評価において重要な役割を果たし、前頭葉機能の評価にも有用です。
結果の解釈には注意が必要ですが、総合的な評価を通じて患者さんの認知機能の健康状態を正確に把握することが可能です。
かなひろいテストの種類
浜松式高次脳機能スケールにおけるかなひろいテストには…
- 無意味綴:文章自体には意味を持たない
- 有意味文:文章に物語がある
…の2種類の課題があります。
以下にそれぞれ解説します。
無意味綴
無意味綴の課題では、意味を持たない文字列が提示され、被験者はその中から特定の文字を見つけて○をつける作業を行います。
これは、被験者の言語処理能力や注意深さを評価するために設計されており、単に言葉を読む能力だけでなく、文字や語句を正確に認識し、それらを記憶して再現する能力を試します。
無意味綴の課題を通じて、被験者が視覚的に文字を識別し、集中力を維持しながら注意深く作業できるかを評価します。
有意味文
有意味文の課題では、物語や意味を含む文章が提示され、被験者はその内容を読みながら特定の文字を見つけて○をつける作業を行います。
この課題は、被験者が文章の内容を理解し、情報を記憶し、それを再現する能力を評価することを目的としています。
有意味文を用いることで、言語の理解力、情報の統合能力、そしてその情報を基に記憶や推論を行う能力が試され、患者の総合的な認知機能を評価することが可能です。
かなひろいテストを行う目的について
かなひろいテストを行う目的として…
以下のように箇条書き形式でまとめます。
- 早期認知症の診断
- 注意障害の評価
- 前頭葉機能の評価
- 言語処理能力の評価
- 情報の統合能力の評価
- 運転能力の評価
…があげられます。
それぞれ解説します。
早期認知症の診断
かなひろいテストは、早期認知症の診断に使用される重要なツールです。
特に、言語処理能力や注意力の低下が疑われる場合に有用であり、無意味綴と有意味文の両方を通じて認知機能の変化を検出します。
早期段階での認知機能の低下を発見することで、適切な介入や治療を迅速に行うことが可能となり、患者の生活の質を向上させることができます。
注意障害の評価
かなひろいテストは、注意障害の評価にも広く用いられています。
特に、選択的注意力(特定の情報に集中する能力)や配分的注意力(複数の情報を同時に処理する能力)を評価することができます。
このテストを通じて、注意障害を持つ患者の注意力の程度を詳細に把握し、適切な治療やリハビリテーション計画を立てることが可能です。
前頭葉機能の評価
最近では、かなひろいテストが前頭葉機能の評価として単独で行われることが多くなっています。
前頭葉は遂行機能、計画、判断、問題解決などの高次認知機能を司る部位であり、このテストは前頭葉機能障害の有無を評価するために有用です。
前頭葉機能に問題がある場合、テストの結果が顕著に低下することが予想されます。
言語処理能力の評価
かなひろいテストは、言語処理能力を評価するためにも使用されます。
特に、言語のデコード能力や語彙理解能力を評価することができ、無意味綴と有意味文の両方が言語処理の異なる側面を測定します。
このテストを通じて、言語処理に関する問題を早期に発見し、適切な対策を講じることが可能です。
情報の統合能力の評価
物語文を用いることで、かなひろいテストは情報の統合能力やその情報を基にした記憶や推論を行う能力を評価します。
物語文を理解し、特定の文字を見つける作業は、複数の認知機能を同時に試します。
この課題を通じて、被験者の情報統合能力を包括的に評価することができます。
運転能力の評価
かなひろいテストは、高齢者の自動車運転評価にも取り入れられています。
特に、注意の持続や配分などの認知機能を包括的に評価し、運転に必要な注意力の状態を把握します。
このテストを通じて、安全な運転を維持するための適切な評価と支援が行われます。
必要物品
では、実際にかなひろいテストを行うにあたってどんな物品が必要でしょうか?
主なものとして…
- 検査用紙
- 鉛筆
- ストップウォッチ
…になります。
それぞれ解説します。
検査用紙
かなひろいテストを行うために必要な検査用紙には、テストの課題が記載されています。
この用紙には、無意味綴や有意味文(物語文)など、テストの形式に応じた文章が印刷されており、被験者はこの文章を読みながら特定の文字を見つけてマークします。
検査用紙は、テストの信頼性と一貫性を保つために標準化されたものであり、被験者が集中して課題を遂行できるように設計されています。
鉛筆
テスト中に被験者が特定の文字をマークするために、鉛筆が使用されます。
鉛筆は、マークを正確に行うために適した書き具であり、被験者がスムーズにテストを進められるようにします。
鉛筆の使用は、マークを容易に消したり修正したりすることができるため、テスト中の誤りや変更に対応しやすいという利点もあります。
ストップウォッチ
かなひろいテストの制限時間を計測するために、ストップウォッチが必要です。
通常、テストは2分間で行われるため、正確な時間を計測することで、被験者のパフォーマンスを公平に評価することができます。
ストップウォッチを使用することで、テストの進行を管理し、時間内に課題を完了するための適切なペースを維持することができます。
適用年齢
かなひろいテストの適用年齢は、広範囲にわたり15歳から89歳までとされています。
この幅広い年齢層に対応することで、発達段階や加齢に伴う認知機能の変化を評価することができます。
しかし、40歳以下の年代別の標準値は示されていないため、若年層の評価においては標準値の設定が不十分です。
特に20歳代、30歳代に対しては、それぞれの年代で標準値を設定することが求められます。
そのため、ここではもう少し踏み込んで…
- 年代別標準値の重要性
- 若年層の評価のための標準値設定
…についても解説します。
年代別標準値の重要性
年代別の標準値は、各年齢層における認知機能の健康状態を正確に評価するために重要です。
若年層に対しても適切な標準値を設定することで、かなひろいテストの結果をより正確に解釈できるようになります。
現在、40歳以下の標準値が示されていないため、若年層の結果を評価する際には、一般的な基準や他の評価方法を併用する必要があります。
若年層の評価のための標準値設定
若年層、特に20歳代や30歳代の標準値を設定することは、臨床現場や研究において重要です。
この年代は、一般に高い認知機能を持つとされており、適切な基準がないと過小評価や過大評価のリスクがあります。
適切な標準値を設定することで、若年層の認知機能の変化や障害を早期に発見し、適切な介入を行うことが可能となります。
かなひろいテストの実施方法について
かなひろいテストの実施方法ですが、ここでは…
- 準備
- 例題の実施
- 本検査の実施
- 終了とフィードバック
…というステップで解説します。
準備
かなひろいテストの実施において、最初のステップは準備です。
この段階では、実験者がテストの目的と手順を参加者に理解させるために、テストの概要を説明します。
参加者がテストの内容や進行方法について十分に理解し、持っている疑問に対して実験者が答えることで、スムーズなテスト実施が可能となります。
この準備段階は、参加者が安心してテストに臨むための重要なプロセスです。
例題の実施
準備段階が完了したら、次に例題の実施に移ります。
例題は、参加者がテスト形式に慣れるために提供されるものであり、本テストと同じ形式ですが、より短い文章や少ない文字数で構成されています。
例題を行うことで、参加者は実際のテストで求められる作業を理解し、自信を持って本検査に臨むことができます。
このステップは、テスト結果の正確性と信頼性を高めるために重要です。
本検査の実施
本検査では、かなひろいテストの2種類の課題である「無意味綴」と「物語文」が順に実施されます。
各課題には2分間の制限時間が設けられ、参加者はその時間内にできるだけ多くの「あ・い・う・え・お」を見つけてマークする必要があります。
無意味綴
無意味綴の課題では、ランダムに並べられたひらがなの中から「あ・い・う・え・お」の5文字を見つけ、2分間でできるだけ多くマークすることが求められます。
この課題は、参加者の基本的な注意力と文字認識能力を評価するために設計されています。
無意味綴の課題を通じて、意味を持たない文字列の中で特定の文字を正確に識別する能力を測定します。
物語文
物語文の課題では、意味を持つ文章を読みながら「あ・い・う・え・お」の5文字を2分間で見つけることが求められます。
参加者は、文章の意味を理解しつつ、特定の文字を見つけてマークする作業を行います。
物語文の課題は、言語理解力、情報の統合能力、注意力を同時に評価することを目的としています。
終了とフィードバック
各課題の終了後、実験者は参加者に対してフィードバックを提供します。
このフィードバックには、課題の進め方に関するコメント、発見された困難点、そして改善点の提案が含まれます。
フィードバックを通じて、参加者は自分のパフォーマンスについて理解を深め、次回以降のテストに向けて改善点を把握することができます。
このプロセスは、参加者の学習と成長を支援するために重要です。
制限時間について
かなひろいテストの制限時間は2分間で設定されています。
この短時間内に、被験者はできるだけ多くの「あ・い・う・え・お」を見つけてマークする必要があります。
この制限時間は、被験者の注意力、集中力、そして迅速な認知処理能力を評価するために設けられており、2分という限られた時間の中でのパフォーマンスがその人の認知機能を反映します。
無意味綴りと物語文それぞれの課題に対する採点項目
無意味綴りと物語文それぞれの課題に対する採点項目は以下のとおりになります。
無意味綴
項目 | 説明 | 最大値 |
---|---|---|
正答数 | 拾い上げた「あ・い・う・え・お」の数 | 60 |
到達数 | 2分間に到達したターゲットの数 | 60 |
正答率 | 正答数を到達数で除して算出した割合(正答数/到達数×100) | 100% |
見落とし数 | 到達数 – 正答数 | 60 |
有意味文
項目 | 説明 | 最大値 |
---|---|---|
正答数 | 拾い上げた「あ・い・う・え・お」の数 | 61 |
到達数 | 2分間に到達したターゲットの数 | 61 |
正答率 | 正答数を到達数で除して算出した割合(正答数/到達数×100) | 100% |
見落とし数 | 到達数 – 正答数 | 61 |
内容把握 | 物語の内容を把握し、あらすじを説明できるかどうか | N/A |
有意味文の場合は、採点方法として大きな違いは物語の内容把握への評価です。
2分間でターゲットの文字を拾い上げた後、物語のあらすじを説明できるかどうかを評価します。
あらすじの説明ができている場合は「十分」、やや曖昧な場合は「不十分」ほとんど説明できていない場合は「不可」の3段階で判定します。
かなひろいテストの採点方法と解釈について
かなひろいテストの採点方法と解釈ですがここでは…
- 正しくチェックできた仮名の数を数える
- 誤り数を数える
- 物語文の内容を把握しているかの判定をする
- 年齢別換算表を参照する
…というステップ別で解説します。
正しくチェックできた仮名の数を数える
かなひろいテストでは、まず無意味綴と物語文それぞれで正しくチェックできた仮名の数を数えます。
無意味綴には60個、物語文には61個の「あ・い・う・え・お」が含まれており、被験者が正確にマークした数を確認します。
この数値は、被験者の注意力や視覚的認識能力を反映する重要な指標となります。
正しくチェックできた仮名の数が多いほど、被験者の認知機能が正常であると評価されます。
誤り数を数える
次に、チェックした仮名の中に誤りがある場合、その数も数えます。
誤りには、対象外の文字をマークしたり、見落としによるミスが含まれます。
誤りの数が多い場合、被験者の注意力や集中力に問題がある可能性があります。
誤り数の評価は、テストの信頼性を高め、被験者の注意障害や認知機能の低下を検出するための重要な要素です。
物語文の内容を把握しているかの判定をする
物語文の課題では、被験者が読み終わった部分までの内容をどれだけ把握しているかも評価します。
正確に内容を把握している場合は10点、一部に不正確な部分がある場合は5点、まったく内容を把握していない場合は0点と採点されます。
これにより、単に文字を認識するだけでなく、文章の意味を理解し記憶する能力も評価することができます。
この評価は、言語処理能力や情報の統合力を測るための重要な指標です。
年齢別換算表を参照する
最後に、年齢別換算表を参照して得点を補正します。
この換算表は、異なる年齢層の被験者の認知機能を公平に評価するために使用されます。
ただし、平均点以下のスコアが直ちに前頭葉機能障害を示すわけではないことに注意が必要です。
総合的な判断を行うために、他の評価結果や臨床情報と併せて考慮することが重要です。
かなひろいテストの平均、カットオフ値について
ここではかなひろいテストの…
- 平均値
- カットオフ値
- 年代別の影響と解釈
…について解説します。
平均値
かなひろいテストの平均値は、無意味綴と物語文の間で異なります。
物語文の方が無意味綴に比べて平均で2~6個の正解数が少ないとされています。
これは、物語文が文章の意味理解を伴うため、より複雑な認知処理を必要とするからです。
また、40歳までの若年層と70歳以上の高齢層を比較すると、正解数はおおよそ半分になるとされています。
標準偏差は10前後で、40歳以上の年代による差はないとされており、年齢が高くなるにつれて認知機能が低下する傾向が見られますが、標準偏差の安定性から年代差が大きくないことがわかります。
カットオフ値
かなひろいテストのカットオフ値は、特に自動車運転の適性評価として重要です。
この場合、カットオフ値は85%以上とされています。
つまり、テストにおいて85%以上の正答率を達成することが、適性評価の基準となります。
これは、高齢者の運転適性を評価する際に、注意力や認知機能の健全性を確保するために設定された基準です。
カットオフ値を設定することで、運転に必要な認知機能の最低限のレベルを確認し、安全運転を支援することができます。
年代別の影響と解釈
かなひろいテストの結果は、年代別の平均値とカットオフ値を参考にして解釈されます。
若年層と高齢層では正解数に大きな差が見られ、加齢に伴う認知機能の低下を示唆しています。
特に高齢者においては、自動車運転の適性評価など、安全性に関わる分野での活用が重要です。
年代別の平均値やカットオフ値を基に総合的な評価を行うことで、個々の認知機能の健康状態をより正確に把握し、適切な対応策を講じることが可能となります。
かなひろいテストの正答率の出し方
かなひろいテストの正答率は、見つけた文字の数を元に計算します。
まず、テストに含まれている全ての文字の数と、正しく見つけた文字の数を確認します。
その後、正答率は「見つけた文字の数 ÷ 全ての文字の数 × 100」の式で求められます。
例えば、全体で50個のあいうえおの文字があり、そのうち35個を見つけた場合、正答率は「(35 ÷ 50) × 100 = 70%」となります。
重複して数えることを避け、時間内に多くの漢字を正確に見つけることが大切です。
かなひろいテストの解釈について
かなひろいテストの結果解釈についてですが、その点数結果が初回の評価結果と再評価の結果とでどれほど変化していたか、カットオフ値に対して上回っているか、下回っているかという「点数結果」は判断基準ですがあくまで一つになります。
生活を支援する作業療法士としては、被験者がかなひろいテストに臨む際に、その作業過程の中でどのような反応を示したか?と把握し、解釈する視点も必要になります。
臨床において”よくある例”としてここでは…
- ミスが多いのにドンドンと問題に取り組む
- 後半につれて正解数が低下する
- 無意味綴りと比較して物語文の正解数低下が目立つ
- 問題を解くことが出来ずにストップする
…について解説します。
ミスが多いのにドンドンと問題に取り組む
かなひろいテストにおいて、ミスが多いにもかかわらず問題に積極的に取り組み続ける場合、認知や行動の脱抑制が起こっている可能性があります。
脱抑制とは、衝動的な行動や計画性の欠如を特徴とし、日常生活では慎重さに欠けた行動を引き起こすリスクが高まります。
このような場合、被験者は自己評価や自己制御が困難であり、結果として安全性や社会的な適応に問題が生じる可能性があります。
後半につれて正解数が低下する
テストの後半に正解数が顕著に低下する場合、注意機能の「持続性」の低下が考えられます。
持続性とは、一定の時間にわたって注意を集中し続ける能力であり、この能力が低下すると長時間の注意を要する課題に対してミスが増加します。
このようなパターンは、仕事や学習など、長時間の集中を必要とする活動において、パフォーマンスの低下やエラーの増加を引き起こす可能性があります。
無意味綴りと比較して物語文の正解数低下が目立つ
無意味綴りと比較して物語文の正解数低下が目立つ場合、注意機能の「転導性」や「多方向性」の低下が考えられます。
転導性とは注意を移動させる能力、多方向性とは複数の情報源に同時に注意を向ける能力です。
病院の訓練室のような制限された環境では集中できるが、日常生活では多数の情報を処理する必要があるため、問題が起きやすくなります。
この状況は、複雑な環境での情報処理やマルチタスクに困難を感じる原因となります。
問題を解くことが出来ずにストップする
かなひろいテスト中に問題を解くことができずに途中で止まってしまう場合、重度の認知機能障害の可能性があります。
この場合、被験者はテストの内容を理解できず、適切に反応することが困難です。
こうした状況では、かなひろいテストだけで大脳限局性を評価することは難しく、より詳細な認知機能評価や他の診断ツールを使用する必要があります。
かなひろいテストとMMSE下位項目
一般的にMMSEは認知症スクリーニングに使用されますが、前頭前野機能の検出力が低いとされています。
それに対して、大杉らはMini-Mental State Examination(MMSE)の下位項目が前頭前野領域機能の評価におけるかなひろいテストにどの程度影響を与えるか…について2012年に調査報告しています。1)
これは2009年1月から8月までにAクリニックに通院した高齢者1017名を対象に、MMSEの11の下位項目とかなひろいテストの正答数を分析による報告です。
分析の結果、かなひろいテストに有意な影響を与えたMMSE下位項目(標準偏回帰係数)は…
- 計算(0.30)
- 遅延再生(0.18)
- 口頭指示(0.15)
- 場所の見当識(0.11)
- 遅延再生(0.18)
…の5項目だったようです(すべてP<0.01)。 これらの結果から、MMSEの下位項目を詳細に検討することで前頭前野機能の障害を推測できる可能性が示唆されています。 ではそれぞれ少し解説します。
計算 (標準偏回帰係数:0.30)
この項目は計算能力を測定し、係数が0.30と最も高いことから、計算能力がかなひろいテストの成績に最も大きく影響していることが示されています。
つまり計算能力が高いほど、かなひろいテストの成績が良くなる傾向があるということが言えます。
遅延再生 (標準偏回帰係数:0.18)
遅延再生は記憶力を試す項目で、特に情報を記憶し、時間が経過した後にそれを再生する能力を測定します。
標準偏回帰係数が0.18であることは、記憶力がかなひろいテストの成績に中程度の影響を与えることを示しています。
口頭指示 (標準偏回帰係数:0.15)
口頭での指示にどれだけ従えるかを評価するこの項目は、かなひろいテストに中程度の影響を与えることが示されています。
つまり指示理解能力がテストの成績に影響することが分かります。
場所の見当識 (標準偏回帰係数:0.11)
この項目は、個人が自分がいる場所をどの程度正確に把握できるかを評価します。
標準偏回帰係数が0.11であることは、この能力がかなひろいテストの成績に小さながらも統計的に有意な影響を与えることを意味します。
図形模写 (標準偏回帰係数:0.09)
図形を観察し、それを正確に模写する能力を測定するこの項目は、かなひろいテストの成績に比較的小さいが有意な影響を与えています。
これらの結果は、これらの特定の認知機能がかなひろいテストの成績にどのように影響を与えるかを示しており、特に計算能力の影響が顕著であることが明らかになりました。
また、これらの項目のP値が0.01未満であることは、その統計的有意性を強調しています。