認知症には記憶や言語、判断力や情緒といった特徴的な初期症状があります。
本記事ではその症状について解説します。
認知症の初期症状について
認知症の初期症状は、人によってもその認知症の種類によっても様々です。
一般的に見られる症状としては次のようなものがあげられます。
- 記憶障害
- 言語の問題
- 判断力の低下
- 情緒的変化
- 理解力や思考力の低下
- 方向感覚の喪失
- 行動の変化
記憶障害
認知症の最も代表的な症状で、物忘れが起こります。
最初は、日常生活での小さな忘れ物が増えることが多く、進行すると、家族や友人の名前や顔を忘れることもあります。
また、同じ話を何度も繰り返したり、同じ質問を何度もすることもあります。
言語の問題
また認知症では言葉の意味を理解することが難しくなります。
最初は、適切な単語を思い出せなくなることが多く、進行すると、文章を理解できなくなることもあります。
そのため自分の思いをうまく言葉にできなくなることもあり、会話についていくのが難しくなったり、話すことに支障をきたすこともあります。
判断力の低下
認知症の方は、物事を正しく判断することが難しくなります。
例えば、お金の計算ができなくなったり、危険な行動をとることがあります。
最初は、買い物の支払いが難しくなることが多く、進行すると、信号や踏切を渡るタイミング、乗り物の運転などのシチュエーションでも素早い状況理解や判断が必要なため注意が必要です。
情緒的変化
加えて怒りっぽくなったり、不安感やうつ病のような情緒的な変化が現れることがあります。
最初は、楽しみだった活動をやめてしまうことが多く、進行すると、人付き合いを避けるようになり、やる気がなくなり無関心になることもあります。
理解力や思考力の低下
認知症の方は、物事を素早く適切に理解し、判断することが難しくなります。
特に信号や踏切を渡るタイミング、乗り物の運転などのシチュエーションでは素早い状況理解や判断が必要なため注意が必要です。
高齢者の方の交通事故や交通トラブルが多い原因は、この理解力や思考力の低下によるものです。
急かされなければ適切な理解や判断ができることもありますが、やはり周囲のサポートは必須になります。
方向感覚の喪失
認知症の方は、道に迷ったり、家に帰れなくなることがあります。
最初は、家の周りで迷うことが多く、進行すると、自宅の場所やトイレがどこかもわからなくなります。
さらに進行すると最終的には、近所の人や家族もわからなくなります。
行動の変化
認知症の方は、行動が変わることがあります。
最初は、同じ行動の繰り返しや、物事の順序がおかしくなることが多く、進行すると、徘徊や暴力などの行動異常が現れることがあります。
認知症の初期症状について知っておくべき理由
リハビリセラピストが認知症の初期症状について知っておくべき理由として…
- 早期発見と介入
- 適切なサポートと計画の提供
- 原因特定と他の可能性の排除
…という観点から解説します。
早期発見と介入
認知症の初期症状を早期に認識することで、できるだけ早く介入し、治療を開始することができます。
早期介入は、症状の進行を遅らせる可能性があり、生活の質をできるだけ長く維持する助けになる可能性があります。
適切なサポートと計画の提供
初期症状を知っておくことで、患者とその家族に対して適切なサポートを早期に提供することができます。
これには、日常生活での活動の調整、治療計画の立案、将来への準備などが含まれます。
例えば、財務計画、生活環境の安全性の向上、法的文書の整備などを計画的に進めることが可能です。
原因特定と他の可能性の排除
初期症状が認知症かどうかを特定することは、他の治療可能な病状との区別を可能にします。
たとえば、うつ病やビタミンの欠乏、薬物反応、甲状腺機能異常など、認知機能の低下を引き起こす可能性のある他の条件も同様の症状を引き起こすことがあります。
早期にこれらを排除することで、より適切な治療計画の策定につながります。