認知症の進行はどのような原因によって左右されるのでしょうか？
本記事ではこの認知症の進行について解説します。
認知症が進行する原因について
.認知症の原因については、まだ完全に解明されていませんが、脳内の神経細胞が死滅することによって起こると考えられています。
また、脳内に異常なたんぱく質が蓄積されることが認知症の原因の一つであるとされています。
これらの原因によって、脳内の神経細胞が破壊され、脳の機能が低下していくことが認知症の進行につながります。
認知症の進行について
認知症は、疾患によって進行の速度やパターンが異なりますが、一般的には段階的な進行が特徴的です。
大まかには…
- 前兆（経度認知障害）
- 初期（軽度）
- 中期（中度）
- 末期（重度）
…の4段階にわけることができます。
以下にそれぞれ解説します。
前兆（経度認知障害）
認知症の前兆で、物忘れのような記憶障害があるものの、日常生活に支障をきたすほどではない状態。
本人または近い家族や友人が変化に気づくこともあります。
ただし、脳内に不要なたんぱく質が異常に蓄積されることが主原因であるため、そのまま放っておくと高い確率で認知症へと移行します。
初期（軽度）
記憶障害が主な症状で、直前の出来事を忘れたり、同じことを何度も聞き返すようになります。
また、頻繁に物をなくしたり、またはおかしな場所に置き忘れたり、日常作業をこなすのに時間がかかったり、判断力の低下がみられるようになります。
中期（中度）
記憶障害が加速し、新しい出来事が覚えられなくなります。
また、住所や電話番号が言えなくなったり、場所や日付がわからなくなったり、簡単な計算ができなくなるような症状も現れます。
自己管理が難しくなり、日常の活動で支援が必要になります。
末期（重度）
かなり重度の認知障害が現れます。
日常生活のほぼ全ての活動で支援が必要になります。
コミュニケーション能力が低下し、時には言葉を理解できなくなり、話すことができなくなる場合もあります。
また、身体機能の低下が徐々に進んでいきます。
認知症の進行速度は個人によって異なる？
認知症の進行速度は個人によって非常に異なります。
複数の因子が進行速度に影響を及ぼします。
主なものに…
- 認知症のタイプ
- 症状の発症時の年齢
- 同時に存在する他の健康問題
- 遺伝的要因
- 生活習慣と環境
- 既存の認知能力
…などがあげられます。
それぞれ解説します。
認知症のタイプ
認知症には、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症など、さまざまなタイプがあります。
それぞれのタイプによって進行速度が異なるため、正確な診断が必要です1.
症状の発症時の年齢
認知症の症状が発症する年齢によって進行速度が異なります。
一般的に、症状が早い年齢で発症するほど進行が早い傾向があります。
同時に存在する他の健康問題
認知症以外の健康問題がある場合、認知症の進行速度が早くなることがあります。
たとえば、高血圧や糖尿病などがある場合は、認知症の進行を促進する可能性があります。
遺伝的要因
認知症の進行速度には遺伝的要因が関与しており、特にアルツハイマー病ではAPOE遺伝子のε4アレルがリスクを高め、発症を早めることが知られています。
しかし、この遺伝子だけがリスクを決定するわけではなく、他の遺伝的要因も影響を与えます。
例えば、前頭側頭型認知症（FTD）などの希少な形態ではC9orf72、GRN、MAPTなどの遺伝子の変異が関与します。
生活習慣と環境
生活習慣や環境も認知症の進行速度に影響を与えることがあります。
たとえば、喫煙や運動不足、ストレスなどは認知症の進行を促進する可能性があります。
既存の認知能力
認知症の進行速度は、既存の認知能力によっても異なります。
認知症の初期段階であっても、既に認知能力が低下している場合は、進行速度が早くなることがあります。