MoCA-J – 軽度認知障害をスクリーニングする評価方法・カットオフ値について

MoCA-J - 軽度認知障害をスクリーニングする評価方法・カットオフ値について 検査

軽度認知障害(MCI)をスクリーニングする評価、検査方法は様々ですが、この“MoCA-J”も代表的な検査方法の一つになります。
そこで本記事ではMoCA-Jの評価方法などについて解説します。


MoCA-Jとは?


https://www.youtube.com/watch?v=7-9YBnqwZzo

そもそもMoCAとは「Montreal Cognitive Assessment」の略で、軽度認知機能低下のスクリーニングを目的としています。
この日本語版が“MoCA-J(Japanese version of MoCA)”になります。

MoCA-Jの特徴

MoCA-Jの検査は以下の項目で構成されています。

  • 視空間
  • 命名
  • 記憶
  • 注意力
  • 復唱
  • 抽象概念
  • 遅延再生
  • 見当識

MoCA-Jの対象

MoCA-Jの対象としては、軽度認知障害(MCI)を主に対象としています。
また、MMSEよりも糖尿病患者の認知機能障害の評価をするのに有益との報告もあります。

MoCA-Jによる検査方法

ではMoCA-Jによる検査方法を各項目ごとにわけて説明します。

視空間・遂行機能

MoCA-Jによる“視空間・遂行機能”の検査項目は主に、

  • TMT-B
  • 図形模写(立方体)
  • TMT(11時10分)

…の3つのテストで構成されています。
合計点は5点満点になります。

命名

MoCA-Jによる“命名”の検査項目の内容は、

  • ライオン
  • サイ
  • ラクダ

…の3つのイラストを提示しそれぞれの名称を答えてもらう…という内容になります。
合計点は3点になります。

記憶

MoCA-Jによる“記憶”の検査項目ですが、

  • 「顔、網、神社、百合、赤」の5つのリストを読み上げ、対象者に復唱するように求めます。
  • 2回復唱したもらったら5分後に遅延再生を行う。

…という内容になります。
この検査項目は後の遅延再生のためのものなので特に配点はありません。

注意

MoCA-Jによる“注意力”の検査ですが、

  • a)数唱課題
  • b)注意配分
  • c)ワーキングメモリー

…の3つの項目にわけて行います。

a)数唱課題

数唱課題は、「21854」を順唱、「742」を逆唱するように求めます。

b)注意配分

「きいあうしすああくけこいあきあけえおあああくあしせきああい」のひらがなリストを読み上げ、対象者には“あ”の時に手を叩くように求めます。

c)ワーキングメモリー

対象者に100から7を順番に引くように求めます。
正答である「93/86/79/72/65」のうち4問以上正答は3点、2問or3問正答で2点、正答0問は0点という配点になります。

⑤言語

MoCA-Jによる“言語”の検査ですが、

  • a)復唱課題
  • b)語想起課題

…の2つの項目に分けられます。

a)復唱課題

以下の2つの文章の復唱を対象者に求めます。
「太郎が今日手伝うことしか知りません。」
「犬が部屋にいるときは、猫はいつもイスの下にかくれていました」
各文章それぞれ1点の配点になります。

b)語想起課題

対象者に“か”で始まる言葉を1分間にできるだけ多くあげるように求めます。
11個以上あげれれば1点の配点になります。

抽象概念

MoCA-Jによる“抽象概念”の検査ですが、「みかん・バナナ=果物」のように提示した2つの物の抽象概念を答えてもらうよう対象者には求めます。

  • a)「電車・自転車」
  • b)「ものさし・時計」

これらそれぞれの抽象概念を答えてもらい、配点は各1点になります。

遅延再生

MoCA-Jによる“遅延再生”の検査ですが、″③記憶”の項目で復唱してもらった5つの単語について記憶しているかどうかを確認します。
各単語それぞれ1点の配点ですが、配点対象は“なにも手掛かりなし”のみになります。

⑧見当識

MoCA-Jによる“見当識”の検査ですが、

  • a)年
  • b)月
  • c)日
  • d)曜日
  • e)市(区・町)
  • f)場所

…について対象者に答えてもらいます。
各項目1点の配点になります。

MoCA-Jの採点方法の注意点について

MoCA-Jによる検査終了後、検査対象者であるクライアントの教育年数が12年以下の場合は1点を加える…という点に注意が必要です。

MoCA-Jに必要な時間について

おおよそ10分程度で検査ができます。

MoCA-Jのカットオフ値について

MoCA-Jは、30点満点であり、26点以上が健常の範囲とされています。
つまり25点以下がMCIと判断されます。

MCIといった認知機能障害のスクリーニングテストの方法は様々ですが、臨床や現場での使いやすさを考えると、シンプルで短時間で行えるものがポイントだろうね!
今回紹介したMoCA-Jはまさにその方法の一つと言えますね!

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