記憶障害の発生メカニズムについて

“記憶障害”とはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?
本記事では記憶障害の発生メカニズムについて解説します。

記憶のプロセスと各段階での障害

記憶障害の発生メカニズムを、ここでは記憶のプロセスである…

  1. 知覚 (Perception)
  2. 符号化(記銘、Encoding)
  3. 貯蔵(保持、Storage)
  4. 検索(想起、Retrieval)

…の段階別でそれぞれ考えてみます。

知覚 (Perception)

まずは記憶障害の最初の段階である情報の受け取り(知覚)に問題がある場合です。
つまり痛みや感覚がないなどの単純な知覚障害を指します。
知覚機能が障害されると、人から何か言われている気がする、物音がうるさく感じたりすることがあります。

原因の背景として例えば、感覚器官自体の損傷や機能の低下、情報の不適切な処理が知覚の障害があげられます。
結果、記憶の材料が不足する可能性があります。

符号化(記銘)

その次の段階である、情報の符号化(記銘)の段階で問題が発生する場合です。
記憶障害における符号化の障害は、情報を外部から取り込んで内部の記憶に変換する過程で問題が生じる状態です。
符号化は、外部刺激の持つ情報を人間の内部記憶に適切な形で変換するプロセスであり、感覚記憶から始まり選択的注意が関与し、その後、短期記憶に情報が移されます。

この符号化の障害では、関連性の形成や必要な他の過程(タイムスタンプや検索)に問題が生じ、記憶の定着に支障をきたす可能性があります。
アルツハイマー病の患者では、記憶の符号化に関する障害がよく見られます。

貯蔵(保持)

記憶障害における貯蔵の障害とは、記銘されたことが記憶として保たれないことです。
つまり、情報を長期記憶に保持することが難しくなる障害です。

神経変性疾患などで脳の構造が変化すると、情報の安定性が損なわれ、長期記憶の形成や維持に支障を来すことがあります。
一般的にイメージされている記憶障害はこの貯蔵の段階での障害と言われています。

検索(想起)

記憶障害における想起障害とは、脳の中にある情報を思い出せない状態を指します。
たとえば、俳優の名前が出てこない、以前行った地名が思い出せないなどが想起障害に該当します。
情報が適切に保存されていない場合、または情報を関連付けて思い出す能力が低下すると、記憶の想起が困難になります。

また、記憶の想起には再生、再認、再構成の3つの方法があります。
この種類によって想起障害の表出も変わってきます。

まとめ

本記事では記憶障害の発生メカニズムを記憶のプロセスの各段階別に考えてみました。
記憶障害のメカニズムは、これらのプロセスの一つまたは複数での障害によって引き起こされます。

これらの記憶障害を引き起こす原因としては、異常な脳の機能、神経変性、脳損傷、ストレス、薬物の影響、睡眠不足、栄養不良など、様々な要因がこれらのプロセスに影響を与え、記憶障害を引き起こす可能性があります。

記憶のプロセスを知っておくことで、その記憶障害がどの段階の障害なのかを知ることができるだろうね!
そのためにはしっかりと患者さんの訴えや生活の様子を評価する必要がありますね!

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