筋緊張の低下とは? – 定義・原因・評価方法について

臨床でよく言われる”筋緊張の低下”とはどのような状態でしょうか?
本記事ではこの定義や原因、診断や評価方法について解説します。

筋緊張の低下とは?

筋緊張低下は、筋肉の緊張が通常よりも低下している状態を指します。
これは、大脳基底核、小脳、脊髄後索、脊髄後根、末梢神経、筋の病変などの要因によって引き起こされます。

筋緊張の原因について

筋緊張低下は様々な要因によって引き起こされます。
ここではその原因として…

  • 神経系の障害
  • 筋肉の疾患
  • 薬物の副作用
  • 加齢
  • 先天性の異常

…について解説します。

神経系の障害

神経系の障害は最も一般的な筋緊張低下の原因の一つです。

脳や脊髄に損傷が生じる”中枢神経系障害”の場合、正確な筋緊張の制御が難しくなります。
脳卒中、脊髄損傷、あるいは神経変性疾患がこれに該当します。
これらは運動ニューロン活動の低下による筋紡錘からの求心性入力の減少ではなく、中枢の伸張反射回路での利得調節の障害によるものと推定されている。

また筋肉を制御する末梢神経への損傷である”末梢神経系障害”が生じると、神経が筋肉に正確な信号を送れず、筋緊張低下が生じます。
例えば、周囲の神経病変やニューロパシーが挙げられます。

筋肉の疾患

加えて筋緊張低下は筋肉自体に問題がある場合もあります。

これは筋肉が徐々に弱くなる疾患である”筋ジストロフィー”では筋緊張が低下します。
筋肉が炎症を起こす”筋炎”でも正確な制御が難しくなります。

廃用や非使用

筋肉が十分に使われない廃用症候群の場合も、筋緊張低下が生じることがあります。
これは長期の病気や骨折などに伴う制限された運動が原因となります。

薬物の副作用

一部の薬物は筋緊張を低下させる副作用を持つことがあります。
例えば、筋弛緩薬や特定の抗うつ薬がこれに該当します。

加齢

年齢とともに筋肉や神経組織が変化し、筋緊張低下が生じることがあります。

先天性の異常

一部の個体は生まれつき筋緊張が低い状態であり、これが先天性の異常として考えられます。

筋緊張の低下の原因は様々だから、診断や既往歴、内服薬などをチェックする必要があるだろうね!
筋緊張の低下が突然行ったのか、徐々に起こったのかも調べることも重要でしょうね!

筋緊張低下の診断と評価

リハビリテーションの臨床において、筋緊張低下の診断と評価はどのように行えばよいのでしょうか?
ここでは…

  • 筋の硬さ (consistence)
  • 他動運動における関節の抵抗, 振れの度合 (passivite)
  • 関節の可動性 (extensibilite)

…について解説します。

筋の硬さ (consistence)

皮膚の上から筋をつまんだときの筋の弾力性をみます。
筋緊張低下がある筋は弾力性に乏しく、つきたての餅をつまんだような感じがするのが特徴です。

他動運動における関節の抵抗, 振れの度合 (passivite)

近位部を固定して遠位部の関節をある程度の速さで振ったときの四肢の振れ具合をみます。
筋緊張低下があると抵抗が小さく、振れが大きくなります。
通常は手関節でみることが多いです。

関節の可動性 (extensibilite)

他動的に関節を動かしたときの可動域をみます。
筋緊張低下があると、可動域は異常に増大します。
例えば、背臥位で股関節を過屈曲させると踵が耳介に触れる(heel-to-ear sign)、坐位で体幹を前屈させると二つ折りになって胸腹部と大腿前面が触れる(double folding)、上肢を水平内転させると頸部に密着して巻きつく(scarf sign)などの現象がみられます。

これらの検査は筋緊張の程度を質的に評価する方法だけど、定量的に検査するには”MAS(Modified Ashworth Scale)”があげられるね!
セラピスト間での共通言語としてはMASを使用するとスムーズなのかもしれないですね!

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