ホーンブローワーテスト(Hornblower’s test) – 回旋筋腱板後部(小円筋・棘下筋)損傷の評価

検査

回旋筋腱板損傷への徒手的な検査方法として“ホーンブローワーテスト(Hornblower’s test)”があげられます。
本記事では、この目的や方法、診断学的有用性について解説します。


Hornblower’s testとは?

Hornblower’s test(ホーンブローワーテスト)は、肩関節の検査の1つで、小円筋の損傷を調べるために使用されます。

Hornblower’s testの検査方法

ここでは、Hornblower’s testの検査方法について解説します。
検査の概要としては次のとおりです。

  1. 立位もしくは座位姿勢にする
  2. 肩関節90度外転、肘関節90度屈曲の姿勢にする
  3. 肩関節の外旋運動をさせて、それに対して抵抗を加える
  4. 痛みの有無を確認する

以下に詳しく解説します。

立位もしくは座位姿勢にする

ホーンブロワーテストの開始にあたり、患者は立位または座位姿勢になる必要があります。
この姿勢選択は、患者の快適さと安定性を確保するため重要です。
立位では、全身のバランスや重心の制御がより必要とされ、筋肉や関節の自然な動きを評価するのに適しています。
一方で、座位は特にバランスや下半身の問題を抱える患者にとって安全で安定した選択肢となります。

どちらの姿勢も、肩周囲の筋肉や関節に焦点を当てた検査に適しており、適切な姿勢は正確な診断に不可欠です。

肩関節90度外転、肘関節90度屈曲の姿勢にする

このステップでは、患者の肩関節を90度外転させ、肘関節を90度屈曲させます。
この特定の姿勢は、小円筋と棘下筋の活動を隔離し、評価するのに理想的です。

肩関節の外旋運動をさせて、それに対して抵抗を加える

患者が指定された姿勢をとった後、肩関節の外旋運動を行います。
あくまで自動運動なので、患者に自分で腕を外側に回すよう指示します。
同時に、セラピストは患者の外旋運動に対して穏やかな抵抗を加えます。

この抵抗は、小円筋と棘下筋の強さと機能を評価するために重要です。
この運動により、これらの筋肉の障害や弱さがある場合には、通常よりも外旋が困難または不可能になる可能性があります。

この段階は、肩の筋肉の強度と機能性を正確に評価するために欠かせない部分です。

痛みの有無を確認する

最後のステップとして、外旋運動中およびそれに続く抵抗中に、患者に痛みが生じるかどうかを確認します。
このテストで痛みが生じる場合、それはこれらの筋肉の損傷や障害を示唆している可能性があります。

Hornblower’s testの注意点

ホーンブロワーテストを実施する際の注意点として…

  • 患者が痛みを感じた場合は、テストを中止する
  • 肩関節を内旋させる際、肘を体側に引かないように注意
  • 肩関節を内旋させる際、肩関節を前方に突き出さないように注意

…があげられます。
以下にそれぞれ解説します。

患者が痛みを感じた場合は、テストを中止する

ホーンブロワーテストの際、最も重要な注意点の一つは、患者が痛みを感じた場合にテストを即座に中止することです。
このテストは肩関節の筋肉、特に小円筋と棘下筋に特有のストレスを加えるため、痛みは潜在的な損傷や障害の存在を示唆する可能性があります。
痛みの発生は、筋肉の過度の伸展、炎症、あるいは損傷の兆候である可能性があるため、患者の安全と快適さを確保するためには、痛みが生じた時点でテストを停止することが重要です。

この対応は、患者に不必要な苦痛を避け、さらなる損傷のリスクを最小限に抑えるために不可欠です。

肩関節を内旋させる際、肘を体側に引かないように注意

ホーンブロワーテストでは、患者が肩関節を内旋させる際に肘を体側に引かないようにすることが重要です。
肩関節を内旋させる動作は、肩の筋肉、特に回旋筋群に焦点を当てるために必要ですが、肘を体側に引くと、テストの精度が低下し、誤った結果を引き起こす可能性があります。
肘が体側に引かれると、肩関節の動きに影響を与え、筋肉の真の機能性や強度を正確に評価することが困難になります。

このため、患者が肩関節を内旋させる際は、肘が体側に寄らないように指導し、適切なフォームを維持することが重要です。

肩関節を内旋させる際、肩関節を前方に突き出さないように注意

患者が肩関節を内旋させる際に肩関節を前方に突き出さないようにすることも、ホーンブロワーテストの重要な注意点です。
肩関節を前方に突き出すと、テストの目的である特定の筋肉群のアクティベーションが妨げられる可能性があります。
このような動きは、小円筋と棘下筋に対して不正確なストレスを加え、テスト結果の信頼性を低下させる可能性があります。
また、肩関節を前方に突き出す動作は、肩の他の部分に不必要な圧力をかけることがあり、潜在的な痛みや不快感を引き起こすこともあります。

したがって、患者が肩関節を内旋させる際には、肩関節が前方に移動しないように注意し、適切な技術を用いることが重要です。

Hornblower’s testの診断学的有用性

著者 信頼性 感度 特異度 陽性尤度比 陰性尤度比
Lasbleiz S,et al(2014) 棘下筋腱炎 NR 0 94.1 0 1.06
棘下筋全層損傷 NR 12.5 96,8 3.87 0.9
Walch G,et al(1998) 小円筋断裂・脂肪変性 NR 100 93 14.29 0.93

もちろん他の検査と併用することが重要だろうね!
バイアスを避けるためにも、複数の検査を組み合わせて行うことが求められますね!

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