包括的作業分析とは？【特徴と注意点について】

作業分析を大きく分類したうちの一つに「包括的作業分析」があります。

今回はこの包括的作業分析の特徴とこの分析法を行うにあたっての注意点などについてまとめてみました。

包括的作業分析の特徴について

この包括的作業分析の特徴についてですが…

…といった8点があげられます。
以下にそれぞれ解説します。

包括的作業分析はそもそも作業療法の教育プログラムのなかで発展してきました。

包括的作業分析は分析対象の作業がどんなものであれ、その作業が持つ固有の特徴を分析していくことで、理解を深める分析法といえます。

包括的作業分析によってその作業の特徴が分析されていくことは、クライアントの評価や治療的介入の際に利用する作業を提供する際のヒントにもなります。

作業を分析し、臨床に発展させる…という能力は作業療法士の専売特許と言えます。
でも逆にこの能力、技法は基礎的なモノとも言い換えることができます。

分析対象の作業の特徴を理解するために、それを構成する多くの項目を分析しなければいけません。
このことから、結構大変な分析法ともいわれます。

包括的作業分析は、あくまでも「作業自身の特徴」を分析的に理解していくためにあります。
そこに特別な疾患や治療方法は想定されていない…というのも特徴です。

「分析項目が多い」の項目から通じる事です。
あまりにも膨大な分析を行わないといけない点からも、制限が多い臨床ではうまく利用することができないこともしばしば…。
ここが課題ともいえますね。

包括的作業分析は、スタンダードな方法や体系化されているわけではありません。
分析を行う人によってばらつきがでてきてしまう…という属人的な部分も課題でしょうね。

では、この包括的作業分析法を行う際の注意点ですが…

…の6つがあげられます。
これらについても、解説します。

その作業自身を分析する作業療法士自身が熟知しているってことが前提です。
そうでないと、どうしても分析項目を拾い上げることができなくなってしまいますからね。

その作業に関わる環境やプロセスについても理解していないとやはり分析にひずみができてしまいます。

できる限りその作業を経験していると分析しやすさが違うと思います。
とはいっても世の中のあらゆる作業を経験するとなると現実的ではないですからね、

やはり「知っておく」…なにより「興味を持つ」ってことがスタートとも言えます。

例えば「陶芸」を包括的作業分析するとします。
そうすると、その方法や道具、環境はもちろん、陶芸で何を作るのか？という点まで様々になります。

これらすべてを網羅するのも現実的ではありません。
そのため、「湯飲み茶わんを板づくりでつくる」…といったように、ある程度限定的にして分析することが望ましいと言えます。

この点も作業療法独自の強みと言えます。
ある程度場面設定を対人面から設定することで、患者さんに必要な作業や環境と言ったモノまで分析的にみることができます。

その場所が作業療法室でも患者さんの部屋でも、できる限り患者さんがその分析対象の作業を行う場面に近いような場面設定が必要になります。

今回は、包括的作業分析の特徴と注意点について解説しました。

包括的作業療法は非常に多くの項目とプロセスから構成されている点から、あまり臨床的とは言えないのかもしれません。
でも、世の中のあらゆる作業を、作業療法士が作業分析することで患者さんへの作業療法的介入に役立たせることができると考えられます。