サーブリッグ分析の第1類について【上肢による9つの動作を分析します】

講座

作業分析の方法でもある“サーブリッグ分析”。
今回はこの第1類と呼ばれる9つの動作について作業療法の視点で解説します。

サーブリッグ分析第1類について

人間の作業行動を18の基本動作に分解し、分析を行うサーブリッグ分析。
この“第1類”に分類される動作としては…

  • 延ばす:Transport empty [unloaded] (TE)
  • つかむ:Grasp(G)
  • 運ぶ:Transport Loaded(TL)
  • 位置を決める:Position(P)
  • 組み立てる:Assemble(A)
  • 分解する:Disassemble(DA)
  • 使用する:Use(U)
  • 放す:Release load (RL)
  • 調べる:Inspect(I)

…の9つの動作があげられます。
これらの9つの動作は主に上肢を使用するため、作業を遂行し完成するにあたって非常に重要な要素とされています。

延ばす:Transport empty (TE)

この“延ばす”動作ですが、OTでは「リーチ動作」と呼ばれる動作と同義のものです。
対象のものに手を近づけたり離れたりする動作を指します。
もちろんその手には何も持っていない状態です。
モノを持たずに移動し始めるときを始点とし、操作対象物に触れるor動作を止めたときが終点とされます。
*“延ばす”のサーブリッグ記号は「空の皿」の記号になります。

つかむ:Grasp(G)

“つかむ”動作ですが、これはそのままOTでも「グラスプ(Grasp)動作」ですね!
対象物を手でつかむ動作になります。
操作対象物をつかみ始める時を始点とし、つかみ終わった時を終点とします。
*“つかむ”のサーブリッグ記号は「磁石の形」の記号になります。

運ぶ:Transport Loaded(TL)

“運ぶ”動作ですが、これはモノを手でつかんだ状態のまま場所を移動する動きになります。
操作対象物を持って動き始めるときを始点とし、目的の位置まで運び終わったときor運びの動きが停止したときを終点とします。
*サーブリッグ記号は「お皿にモノを乗せて運ぶ」形の記号になります。

位置を決める:Position(P)

“位置を決める”動作ですが、これは使いやすくするためにモノの位置を修正する動作になります。
操作対象物を並べたり、所定位置に合わせるときを始点とし、並べたり、所定位置に合わせ終えた時を終点とします。
*サーブリッグ記号は「物を手の先端に置いた形」になります。

組み立てる:Assemble(A)

“組み立てる”動作ですが、そのままモノを組み合わせる動作になります。
主に両手を使用する動作と考えています。
操作対象物を組み合わせるために動き始めるときを始点とし、組み立て終わった時を終点とします。
*サーブリッグ記号は「組み合わせた形」になります。

分解する:Disassemble(DA)

“分解する”動作ですが、これもそのままの意味です。
こちらも両手を使用する動作と捉えてよいと考えています。
操作対象物を分解しはじめるときを始点とし、分解し終えたときを終点とします。
*サーブリッグ記号は「組み合わせから一本離した」形になります。

使用する:Use(U)

“使用する”動作ですが、何か器具や装置を使用しモノの状態を変化させている動作を指します。
“Use”の意味そのままですね。
対象物を操作や使用し始めたときを始点とし、操作・使用を終わった時を終点とします。
*サーブリッグ記号は「コップを上向きにした」形になります。

放す:Release load (RL)

“放す”動作はOTでの「リリース動作」と同じ動作になります。
操作対象物を手放し始める時を始点とし、手放し終わったときを終点とします。
*サーブリッグ記号は「皿を逆さにした」形になります。

調べる:Inspect(I)

“調べる”動作ですが、これはそのモノのサイズや色、形などの情報を得るために検査する動作になります。
上肢の操作によりますが、実際には視覚といった感覚、判断するための知識といった高次の機能も統合的に使用される動作と言えます。
目的物に触れるor見始めるときを始点とし、調べ終わったときを終点とします。
*サーブリッグ記号は「レンズ」の形になります。

まとめ

今回はサーブリッグ分析の第1類について解説しました。
あくまで産業工学の分野で使用される作業分析の手法ですが、作業療法の分野で応用的に利用できる視点が多くあったことがわかります。

同じ上肢を使用し操作する動作を対象としている点では、ADLやAPDLといった動作の分析に応用することができるのではないでしょうか。

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