筋力増強訓練とは? -リハビリの臨床における目的・メカニズム・原則について

リハビリにおける筋力増強訓練とはどのような目的で行われるのでしょうか?
本記事では筋力増強訓練について解説します。


筋力増強訓練とは?

筋力増強訓練は、筋肉の収縮を通じて筋力を向上させるため、適切な負荷をかけた運動を行います。
簡単に言えば、筋肉の力を向上させるためのトレーニング方法です。

筋力増強訓練の目的

リハビリにおける筋力増強訓練の目的は大きく分けると…

  • 筋肉量と筋力の向上
  • 骨密度の維持と転倒予防
  • 基礎代謝の向上と体脂肪減少
  • サルコペニアとフレイルの予防
  • 糖代謝とインスリン抵抗性の改善

…があげられます。
それぞれ解説します。

筋肉量と筋力の向上

筋力増強の主要な目的の1つは、筋肉量を増やし、筋力を向上させることです。
適切なトレーニングを通じて、筋繊維の増加や強化が促進され、筋肉の大きさやパフォーマンスが向上します。

これにより、日常生活の活動性や身体的なパフォーマンスが向上します。

骨密度の維持と転倒予防

筋力増強は、骨密度の低下を防ぎ、骨の健康を促進する役割を果たします。
強化された筋肉が骨に加えるストレスは、骨密度を維持し、転倒時のリスクを低減させることができます。

これにより、高齢者の転倒予防や骨折リスクの軽減が期待されます。

基礎代謝の向上と体脂肪減少

筋力トレーニングは基礎代謝を高め、エネルギーの消費を促進します。
これにより、体脂肪の減少を助け、体組織のバランスを改善します。

筋肉の増加によるエネルギー消費の増加が、体脂肪の低減に繋がります。

サルコペニアとフレイルの予防

筋力増強は、加齢に伴う筋肉量の減少であるサルコペニアや虚弱(フレイル)の予防に有効です。
定期的なトレーニングは筋力を維持し、身体的な弱さや機能の低下を防ぐことができます。

糖代謝とインスリン抵抗性の改善

筋力増強は、糖代謝やインスリン抵抗性の改善にも寄与します。
筋肉の増加により、グルコースの代謝が向上し、インスリンの効果も改善されます。

これが糖尿病やメタボリックシンドロームの予防や管理に役立ちます。

筋力強化訓練=筋肉を鍛える…だけではないってことも把握しておく必要があるだろうね!
筋力が向上することでの生活上の副次的な効果も期待できるって点をきちんと伝えておくことも重要でしょうね!

筋力増強のメカニズムとは?

筋力増強のメカニズムは、筋肉の収縮によって生じる力の増加に関連しています。
そもそも筋肉は、神経系との連携によって収縮します。
この筋肉の収縮は、筋繊維内のアクチンとミオシンというタンパク質の相互作用によって引き起こされます。

ここでは筋力増強のメカニズムにおいて…

  • 筋肉断面積の増加
  • 神経筋接合部の効率化
  • 筋繊維のタイプの変化
  • 筋肉の協調性の向上

…について解説します。

筋肉断面積の増加

筋力増強における筋肉断面積の増加は、筋繊維の増加や肥大化によって実現されます。
トレーニングにより筋繊維が拡大し、これによって収縮時に発生する力が増加します。

断面積が増加することで、より多くの筋肉繊維が働き、パフォーマンスや力の発揮が向上します。

神経筋接合部の効率化

神経系と筋肉の接合部である神経筋接合部の効率化は、神経が筋肉に信号を送る効果を指します。
この効率化により、収縮時により多くの筋肉繊維が活性化されます。

トレーニングによりこの効率が向上するため、より多くの筋肉繊維が収縮に関与し、力の発揮が増します。

筋繊維のタイプの変化

筋肉の遅筋繊維と速筋繊維の変化は、筋力増強のプロセスで重要です。
速筋繊維は力をより速く生成しますが、遅筋繊維は持久力に特化しています。
トレーニングにより、速筋繊維が発達し、より多くの力を発揮できるようになります。

これにより、筋力の向上やスピードの増加が見込まれます。

筋肉の協調性の向上

筋力増強の過程で、筋肉の協調性が向上します。
複数の筋肉が効率的に協力して力を発揮するため、動作の安定性やパフォーマンスが向上します。

トレーニングによって筋肉の協調性を高めることで、日常生活やスポーツでの動きの改善が期待されます。

どのようにして筋力が増強するのかってメカニズムを理解することで、リハビリプログラムの内容も指導も変わってくるだろうからね!
トレーニングを指導していても”瞬発性か持久力か”って部分は結構混在していること、多いでしょうね!

筋力増強の3原則について

筋力増強の条件として…

  • 過負荷の原則
  • 漸進性の原則
  • 特異性の原則

…の3つがあります。
それぞれ解説します。

過負荷の原則

筋力増強のためには、通常の日常生活よりも高い負荷を筋肉にかける必要があります。
これを過負荷の原則と呼びます。負荷を増やすためには、重りを増やしたり、トレーニングの回数や強度を増やしたりします。

この原則により、筋肉は負荷に応じて成長し、強化されるため、効果的な筋力増強が可能となります。

漸進性の原則

筋力を向上させるためには、トレーニングの負荷を徐々に増やしていく必要があります。
この漸進性の原則により、身体は徐々に新たな負荷に適応し、成長します。

トレーニングを継続するうちに、筋肉はより多くの負荷に対応できるようになり、持続的な成長や強化が実現されます。

特異性の原則

特異性の原則は、特定の筋肉を強化するためには、その筋肉に対して直接的なトレーニングが必要であることを示します。
例えば、特定の筋肉グループを鍛えるためには、その部位に特化したトレーニングを行います。

この原則を守ることで、特定の筋肉がより効果的に成長し、強化されます。

これらの原則を組み合わせた適切なトレーニングは、筋力を効果的に増強し、健康的な成長を促進します。
常に個々の目標や体調に合わせてトレーニングを調整することが重要です。

ボディビルダーに限らず、リハビリの臨床でもこの筋力増強の3原則は意識したうえで訓練に取り入れる必要があるだろうね!
そのためにも毎回の回数などを記録しておくことも重要でしょうね!

タイトルとURLをコピーしました