FIM(社会的交流)- 評価のポイント・項目・具体例・注意点・点数・採点方法など

検査

FIMの「社会的交流」項目は、個人が他人と適切に交流し、集団に参加する能力を評価するものです。
これにより、社会的適応力を総合的に把握し、適切な支援や介助を提供する基準となります。

本記事ではFIM(社会的交流)評価のポイント、項目、具体例などについて解説します。


FIMにおける社会的交流の評価について

FIM(Functional Independence Measure)の「社会的交流」項目は、個人が他人と適切に交流し、集団に参加する能力を評価するものであり、他人との折り合い、集団への参加、自己認識などの観点から評価されます。
評価は7点制で、完全自立(7点)から全介助(1点)までの範囲で、適切な交流の頻度と状況に応じて点数が決まります。

社会的に好ましくない行為や意識障害がある場合は減点対象となり、寝たきりの状態や社会的交流がほとんどない場合は最低点の1点が付与されます。

FIM(社会的交流)の評価対象の項目

FIM(社会的交流)の評価対象の項目としては…

  • 他人との折り合い
  • 集団への参加
  • 自己認識

…があげられます。
それぞれ解説します。

他人との折り合い

FIMの「社会的交流」項目における「他人との折り合い」は、個人が自己の要求と他者の要求をどのように処理し、バランスを取るかを評価します。
これは、日常生活や治療の場での対人関係において、自己主張と他者への配慮のバランスが取れているかを測る重要な指標です。
例えば、自己の要求を一方的に押し通すのではなく、他人の意見や感情にも配慮し、適切に対応する能力が求められます。
このスキルは、対立や誤解を避け、円滑なコミュニケーションを維持するために不可欠です。

また、他人との折り合いがうまく取れることで、協力的な関係を築きやすくなり、集団での活動や共同作業が円滑に進むことが期待されます。

集団への参加

FIMの「社会的交流」項目の評価には、「集団への参加」も含まれます。
これは、個人が治療の場や社会生活の場において、他人と協力し、集団活動に積極的に参加できる能力を評価するものです。
具体的には、グループセッションや社会的なイベントにおいて、他者と協調しながら活動する能力が評価対象となります。
集団活動に積極的に参加することは、社会的スキルの向上や自己肯定感の増進に寄与します。
さらに、集団への参加能力が高いほど、個人はより多くの社会的支援を受けやすくなり、社会的孤立を防ぐことができます。

このように、集団への参加は、個人の社会的適応能力や全体的な生活の質に大きく影響を与える重要な要素です。

自己認識

「自己認識」は、FIMの「社会的交流」項目における重要な評価基準であり、個人が自身の言動が他者にどのような影響を与えているかを理解する能力を指します。
具体的には、自分が他人に迷惑をかけていないか、自分の行動や言動が他人にどのように受け取られているかを認識できるかどうかが評価されます。
この能力は、対人関係の質を向上させるために不可欠であり、自己認識が高い人は、他者との関係を円滑に保ちやすくなります。
自己認識が低いと、無意識のうちに他者に不快感を与えたり、対人関係でのトラブルが生じやすくなります。

したがって、自己認識は、社会的な交流をスムーズに進めるための基盤となる重要な能力です。

これらの項目は、個人が他人と適切に交流し、集団に参加する能力を評価するためのものなんだ!
また、「社会的に好ましくない行為」には、訓練を拒む、暴言・暴力がある、会話を無視する、過度に引きこもる、集団の中に参加しない、むやみに大きな声を出すなどが含まれ、評価の際に減点対象となりますね!

FIM(社会的交流)の採点基準

FIM(社会的交流)の採点基準は次の通りになっています。

7点(完全自立)

基準: 個人がスタッフ、他の患者、家族と適切に交流し、どのような状況でも自立して行動できる。
例: 患者が治療セッション中に他の患者と積極的に意見交換を行い、社会的なイベントでもリーダーシップを発揮する。

6点(修正自立)

基準: 個人が不慣れな環境でもほとんどの場面で適切に交流できるが、特定の状況では少し手助けが必要な場合がある。
例: 患者が新しい治療プログラムに参加する際に初めての人々と交流できるが、初回だけスタッフが簡単な説明を行うことで自立できる。

5点(監視)

基準: 緊張するような状況や不慣れな状況でのみ監視が必要で、通常の状況では自立して交流できる。
例: 患者が初めて大規模な集団イベントに参加する際、スタッフがそばで見守る必要があるが、普段の小規模なグループセッションでは自立して参加できる。

4点(最小介助・指示)

基準: 慣れた環境では75%以上の場面で適切に交流できるが、時々スタッフの軽い指示や介助が必要。
例: 患者が日常的な治療セッションで他の患者と話す際、時々スタッフから話題の切り出し方についてアドバイスを受ける。

3点(中等度介助・指示)

基準: 慣れた環境でも50%以上75%未満の場面でしか適切に交流できず、頻繁にスタッフの指示や介助が必要。
例: 患者が治療グループでのディスカッションに参加する際、スタッフが定期的に進行を手助けしないと話に入っていけない。

2点(最大介助・指示)

基準: 慣れた環境でも25%以上50%未満の場面でしか適切に交流できず、ほぼ常にスタッフの介助が必要。
例: 患者が治療の一環で他の患者と簡単な挨拶を交わすが、会話を続けるためには常にスタッフの介入が必要。

1点(全介助)

基準: 慣れた環境でも25%未満の場面でしか交流できず、ほとんどすべての時間でスタッフの全面的な介助が必要。
例: 患者が治療セッション中にほとんど他人と交流せず、スタッフが全面的に介助しても簡単なコミュニケーションしか取れない。

FIMの「社会的交流」項目は、個人が他人と適切に交流し集団に参加する能力を7点制で評価し、自立度や介助の必要性に応じて点数が付けられるんだ!
これにより、個々の患者の社会的適応力とリハビリの進行状況を把握することができるんですね!

FIM(社会的交流)評価の注意点

FIM(社会的交流)評価の注意点として、ここでは…

  • 他者との交流
  • 配慮(介助)
  • 迷惑や不快感を与える行為
  • 評価の範囲
  • 寝たきりや意識障害

…について解説します。

他者との交流

FIMの「社会的交流」評価では、個人が他者とどの程度適切に関わっているかを評価します。
評価の際には、一つの交流場面だけに注目せず、日常生活全体の交流状況を総合的に判断することが重要です。
例えば、個人が家庭内や社会的な場面でどのように他者と関わり、適切な対人スキルを発揮しているかを観察します。
この評価には、言葉のやり取りだけでなく、非言語的なコミュニケーション(ジェスチャーや表情)も含まれます。

全体像を把握することで、個人の対人関係能力をより正確に評価し、必要な支援を適切に提供することが可能になります。

配慮(介助)

FIMの「社会的交流」評価には、個人が他者と交流する際に周囲からどの程度の配慮(介助)が必要かも含まれます。
配慮(介助)には、参加を促す、激励する、言動を修正するように指摘する、先に働きかける、監視する、言動を抑制するなど多岐にわたります。
例えば、個人が新しい社会的な状況に対して不安を感じる場合、スタッフがその場に付き添い、適切なタイミングでサポートを提供することが評価の対象となります。
これにより、個人が独立して他者と交流できる範囲を広げることができ、社会的スキルの向上を促進します。

適切な介助を提供することで、個人がより自信を持って社会的な場面に参加できるようになります。

迷惑や不快感を与える行為

FIMの「社会的交流」評価では、迷惑や不快感を与える行為も重要な評価基準となります。
具体的には、訓練を拒む、暴言や暴力を振るう、会話を無視する、過度に引きこもる、集団に参加しない、むやみに大きな声を出すなどの行為が評価の際に減点対象となります。
これらの行為は、個人が他者との適切な交流を妨げ、社会的な適応を難しくするためです。
例えば、個人が集団活動中に他者に対して攻撃的な態度を取る場合、社会的交流能力が低いと判断され、低い点数が付けられます。

この評価基準により、行動の改善が必要な領域を特定し、適切な介入を行うことができます。

評価の範囲

FIMの「社会的交流」評価では、7〜5点は不慣れな環境での交流を評価し、4〜1点は慣れた環境での交流を評価します。
例えば、個人が新しい場所や人々と交流する際にどの程度自立しているかを評価する場合、7〜5点の範囲で点数が付けられます。
一方、個人が日常的に慣れている環境での交流能力を評価する際には、4〜1点の範囲で点数が付けられます。
このように評価の範囲を分けることで、個人の社会的交流能力をより具体的かつ詳細に把握することができます。

これにより、個別のニーズに応じた支援計画を立てることが可能になります。

寝たきりや意識障害

FIMの「社会的交流」評価では、クライアントが寝たきりの状態であったり、意識障害を有している場合、社会的交流場面が“25%未満”の状態と見なされ、評価結果は1点となります。
この基準は、クライアントがほとんど社会的交流を持たない状態を正確に反映するためのものです。
例えば、意識障害のあるクライアントが他者とほとんど交流できない場合、その社会的交流能力は最低限と評価されます。
この評価により、クライアントの状態を正確に把握し、必要な介護やリハビリテーションの方針を決定することができます。

適切な介護と支援を提供することで、クライアントの社会的交流能力の向上を図ることができます。

FIMの「社会的交流」評価は、他者との交流、必要な介助の度合い、迷惑や不快感を与える行為、不慣れな環境での交流、寝たきりや意識障害の状況を総合的に評価する基準なんだ!
これにより、個々の患者さんの社会的適応能力を詳細に把握し、適切な支援や介入を行うことができますね!

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