FIM(整容)- 評価のポイント・項目・具体例・注意点・点数・採点方法など

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FIM(Functional Independence Measure)の整容評価は、口腔ケア、洗顔、手洗い、整髪、髭剃りまたは化粧の5項目を評価し、患者の日常生活動作の自立度を測るための重要な指標です。
本記事ではFIM(整容)の評価ポイントや項目、具体例などについて解説します。


FIMにおける整容の評価について

FIM(Functional Independence Measure)の整容評価は、口腔ケア、整髪、手洗い、洗顔、ひげ剃りまたは化粧の5つの項目を基に、日常生活動作(ADL)の自立度を評価します。
各動作について、完全自立から全介助までの7段階で介助量を評価し、爪切りや着替え、清拭、入浴は含めません。

評価基準に基づいて、介助が必要な項目の割合を計算し、患者の自立度を把握することで、適切なケアプランを策定するための重要な指標となります。

FIM(整容)の評価対象の項目

FIMにおける整容動作の評価項目は…

  • 口腔ケア
  • 整髪
  • 手洗い
  • 洗顔
  • ひげ剃りまたは化粧

…になります。
それぞれ解説します。

口腔ケア

FIMの整容評価の一つである口腔ケアは、歯磨きや口内の清掃を含み、患者の日常生活における自立度を示す重要な指標です。
口腔ケアが自立して行える場合、患者は口腔衛生の維持に関して他者の介助を必要としないため、健康維持や感染予防に寄与します。
逆に、介助が必要な場合は、口腔衛生状態が悪化しやすく、口内感染症や他の健康問題のリスクが増加します。
FIM評価では、患者が口腔ケアをどの程度自立して行えるかを7段階で評価し、完全自立から全介助までを判定します。

この評価により、適切な介護計画やリハビリテーションプランを立てるための重要なデータが得られます。

整髪

FIMの整容評価における整髪は、患者が自分で髪をとかしたり、スタイリングする能力を評価します。
整髪の自立度は、見た目の清潔感を保つだけでなく、心理的な自尊心や社会的な自信にも大きく影響します。
整髪が自立して行えることは、患者の日常生活の質の向上に直結し、他者とのコミュニケーションや外出の意欲にも繋がります。
一方、介助が必要な場合は、日常生活の中で他者の助けが頻繁に必要となり、心理的な負担や依存度が増加します。

FIM評価では、患者が整髪をどの程度自立して行えるかを7段階で評価し、これに基づいてリハビリテーションやケアプランを調整します。

手洗い

FIMの整容評価における手洗いは、患者が手を洗う能力を評価する項目です。
手洗いの自立度は、日常生活の基本的な衛生状態を保つために不可欠であり、感染症の予防にも直結します。
患者が自立して手洗いを行える場合、感染症リスクが低下し、健康維持に貢献します。
逆に、介助が必要な場合は、頻繁な介助が必要となり、感染リスクが高まる可能性があります。

FIM評価では、患者が手洗いをどの程度自立して行えるかを7段階で評価し、適切な介護やリハビリテーション計画を立てるためのデータを提供します。

洗顔

FIMの整容評価における洗顔は、患者が自分で顔を洗う能力を評価します。
洗顔は、清潔を保つための基本的な動作であり、皮膚の健康状態を維持するためにも重要です。
洗顔が自立して行える場合、患者は皮膚の健康を保ち、自己管理能力を高めることができます。
介助が必要な場合は、皮膚の清潔を保つために他者の助けが必要となり、依存度が高まります。

FIM評価では、患者が洗顔をどの程度自立して行えるかを7段階で評価し、これに基づいてリハビリテーションやケアプランを調整します。

ひげ剃りまたは化粧

FIMの整容評価におけるひげ剃りまたは化粧は、患者がひげを剃ったり、化粧をする能力を評価します。
これらの動作は、日常生活における清潔感や自己表現の一部であり、患者の心理的な健康にも影響を与えます。
ひげ剃りや化粧が自立して行える場合、患者は自分の外見を整え、自己肯定感を高めることができます。
介助が必要な場合は、これらの動作を行うために他者の助けが必要となり、依存度が増加します。

FIM評価では、患者がひげ剃りや化粧をどの程度自立して行えるかを7段階で評価し、適切な介護やリハビリテーション計画を立てるためのデータを提供します。

FIMの整容評価は、口腔ケア、整髪、手洗い、洗顔、ひげ剃りまたは化粧の5つの動作を通じて患者の日常生活動作(ADL)の自立度を評価し、適切な介護やリハビリテーション計画を立てるための重要な指標となるんだ!
これにより、患者さんの健康維持や心理的な自尊心の向上を支援するんですね!

FIM(整容)の採点基準

FIM(整容)の採点基準は以下のとおりになります。

7点 (完全自立)

補助具や介助なしで自立して行える。
具体例: 患者が全ての整容動作(口腔ケア、整髪、手洗い、洗顔、ひげ剃りまたは化粧)を完全に自分で行い、他者の助けを全く必要としない。

6点 (修正自立)

装具や自助具、薬の使用が必要、または安全性の配慮が必要だが、介助なしで行える。
具体例: 患者が電動歯ブラシや拡大鏡を使用して口腔ケアを行う、整髪の際に特別なヘアブラシを使うなどしているが、実際の動作は全て自分で行っている。

5点 (監視・準備)

監視、準備、指示、または促しが必要。
患者がひげを剃る際に、家族が近くで見守りつつ、必要に応じて声掛けや指示を行うが、実際のひげ剃り動作は患者が自分で行う。

4点 (最小介助)

手で触れる程度の介助が必要で、「75%以上」を自分で行う。
具体例: 患者が手洗いを行う際、手を水に近づけたり、石鹸を取るなどの補助が必要だが、手をこすって洗う動作は患者自身が行う。

3点 (中等度介助)

手で触れる以上の介助が必要で、「50%〜75%未満」を自分で行う。
具体例: 患者が整髪を行う際、家族が髪をとかす動作の半分以上を補助しなければならないが、残りの動作は患者が自分で行う。

2点 (最大介助)

「25%〜50%未満」を自分で行う。
具体例: 患者が洗顔を行う際、家族がほとんどの動作(顔に水をかける、タオルで拭くなど)を行う必要があり、患者はわずかな部分しか自分で行わない。

1点 (全介助)

「25%未満」しか自分で行えない。
具体例: 患者が口腔ケアを行う際、ほとんど全ての動作を介助者が行い、患者自身はわずかな協力(口を開けるなど)しかできない。

なお、爪切りや着替え、清拭、入浴などの項目は整容に含めないんだ!
また、4点〜1点を評価する場合は、上記の5項目をそれぞれ“20%”と判断し、自分でできている項目数を乗算して介助量を算定し評価するんですね!

整容における採点の考え方

この整容項目での採点の考え方をもう少し深掘りします。
整容の採点方法としては、5項目のうち何項目を行っているか?が基本となります。具体的には以下の5項目をそれぞれ20%として評価します。

  • 口腔ケア(20%)
  • 洗顔(20%)
  • 手洗い(20%)
  • 整髪(20%)
  • 化粧または髭剃り(20%)

これら5項目を平均し、整容の採点方法を以下の2つの視点で考えます。

  • 5項目のうちいくつ行えているか?
  • 各項目の介助量を考え、全体の介助量に換算する

以下にそれぞれ解説します。

5項目のうちいくつ行えているか?

例えば、5項目のうち3項目行えていれば:

3/5 = 60%(介助量は40%)

FIMの運動項目において、25%≦介助量<50%の場合は3点(中等度介助量)と判断されます。

各項目の介助量を考え、全体の介助量に換算する

各項目ごとに介助量を考え、全体の介助量に換算する必要があります。
以下の事例で考えてみます。

  • 口腔ケア:歯磨きは歯ブラシを自分で準備して磨くことができるが、磨き残しがないか、看護師の確認と助言が必要→5点
  • 洗顔:自分でタオルを準備し拭いている→7点
  • 手洗い:手洗い動作自体は両手を使用して可能だが、トイレの後、促しが必要→5点
  • 整髪:頭髪は後頭部を濡らしてもらい、乾かしてもらう→4点
  • 髭剃り:自分で電気シェーバーを準備し剃ることができるが、剃り残しを確認してもらう必要がある→5点

この場合の各項目の介助量は以下の通りです。

  • 口腔ケア:5点で介助量は0%
  • 洗顔:7点で完全自立のため介助量は0%
  • 手洗い:5点で介助量は0%
  • 整髪:4点で最小介助のため、介助量は25%
  • 髭剃り:5点で介助量は0%

全体の介助量を計算すると:

(0 + 0 + 0 + 25 + 0) / 5 = 5%

整容全体としては5%の介助量になります。運動項目において、介助量が25%の場合は4点(最少介助)となります。

あくまで各項目を%に数値化して判断するという癖をつける必要があるだろうね!
他の運動項目でも同じことがいえますね!

FIM(整容)の注意点

では、FIMにおいて整容動作を評価する際にどのような点に注意すればよいでしょうか?
ここでは…

  • 爪切りや着替え、清拭、入浴などの項目は整容に含めない
  • 髭剃りと化粧の評価が必要ない場合は4項目
  • 準備と介助の区別が重要
  • 自助具の使用

…について解説します。

爪切りや着替え、清拭、入浴などの項目は整容に含めない

FIMの整容評価において、爪切りや着替え、清拭、入浴などの項目は評価の対象外です。
これらの項目は、それぞれが独立したADL(Activities of Daily Living)として評価されるべきものであり、整容とは異なる日常生活動作と考えられています。
例えば、入浴は全身の清潔を保つための動作であり、整容の一部とみなされることはありません。
着替えや清拭も同様に、衣類の選択や着脱、体の清潔を保つための動作であり、整容の範囲外です。

このように、整容に含まれるのは口腔ケア、洗顔、手洗い、整髪、化粧または髭剃りの5つの項目に限られます。

髭剃りと化粧の評価が必要ない場合は4項目

髭剃りと化粧の評価については、これらが必要ない場合、他の4項目(口腔ケア、洗顔、手洗い、整髪)のみで評価を行います。
男性で髭剃りが不要な場合や女性で化粧を行わない場合、これらの項目は評価から除外されます。
その場合、残りの4項目それぞれが25%の重みを持つことになります。

具体的には、例えば、口腔ケア、洗顔、手洗い、整髪の4項目で評価を行い、そのうち何項目を自立して行えるか、各項目の介助量を考慮して全体の評価を算定します。
このアプローチにより、個々のニーズや習慣に応じた正確な評価が可能となります。

準備と介助の区別が重要

整容の評価では、準備と介助を正しく区別することが重要です。
準備とは、例えば歯磨き粉をつけてもらう、タオルを準備してもらう、洗面道具を準備してもらう、自助具を準備し装着してもらうなどの行為を指します。
一方、介助とは、実際の動作そのものに対する助けを意味します。
例えば、歯磨き自体を手伝ってもらうことは介助に該当します。
準備の段階で他者の助けが必要であっても、実際の整容動作を自立して行える場合、その部分は自立とみなされます。

この区別により、患者の実際の自立度をより正確に評価することが可能です。

自助具の使用

自助具の使用についても、評価において重要な要素となります。
自助具を使用している場合、その準備や装着が自分でできるかどうかが評価に影響します。
例えば、電動歯ブラシや特殊なヘアブラシなどの自助具を使って整容を行う場合、その自助具を自分で準備し、正しく使用できるかがポイントです。
自助具を他者に準備してもらい、それを使って整容を行う場合は、準備に対する助けが必要と判断されます。
逆に、自分で自助具を準備し使用できる場合は、その部分も自立と評価されます。

この違いにより、患者の自立度が正確に反映されます。

FIMの整容評価は、患者の日常生活における自立度を評価するための重要な指標となるからね!
整容は、患者さんが日常生活を営む上で基本的な動作であり、自己管理や衛生の維持に直結しますものね!

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