FIM(更衣・上半身)- 評価のポイント・項目・具体例・注意点・点数・採点方法など

検査

FIM(更衣・上半身)は、患者が上半身の衣服を自立して着脱できるかを評価するツールで、リハビリテーションの進行度や目標設定に役立ちます。
本記事ではFIM(更衣・上半身)の評価のポイントうや項目、具体例などについて解説します。


FIMにおける更衣・上半身の評価について

FIM(Functional Independence Measure)の「更衣・上半身」は、腰より上の衣服の着脱動作を評価し、日常生活動作(ADL)の一部として患者の自立度を測定する重要な項目です。
具体的には、衣服を「かぶる」「片袖を通す」「もう一方の袖を通す」「衣服を引きおろす」の4つの動作に分け、それぞれの動作を自分でどれだけできるかを7点満点で評価します。

評価は、完全自立から全介助までの範囲で行われ、義肢や装具を装着している場合もその着脱動作が評価対象となるため、リハビリテーションの目標設定や進行度の把握において非常に役立ちます。

FIM(更衣・上半身)の評価対象の項目

FIM(更衣・上半身)の評価対象としては…

  • 衣服を「かぶる」
  • 「片袖を通す」
  • 「もう一方の袖を通す」
  • 「衣服を引きおろす」

…の4つの動作になります。
それぞれ解説します。

衣服を「かぶる」

FIMの「更衣・上半身」評価において、衣服を「かぶる」動作は重要な評価項目です。
この動作は、頭を通して衣服を身につける際の基本的なステップであり、独立して行うことができるかどうかが評価されます。
衣服をかぶる動作は、身体の柔軟性やバランス感覚、手の機能が必要とされ、特に肩や腕の可動域が影響します。
自立して衣服をかぶることができる場合、患者の自立度が高いと判断されますが、介助が必要な場合はその程度に応じてスコアが変わります。

この評価は、日常生活の中での自己管理能力を示すため、リハビリテーションの進行度や目標設定において非常に重要です。

「片袖を通す」

「片袖を通す」動作は、FIMの「更衣・上半身」評価における次の重要な項目です。
この動作では、片方の腕を袖に通す際の動作を評価し、患者の片側の腕や肩の機能、動作の調整能力を測定します。
このプロセスには、手の巧緻性や肩の可動域、腕の力が関与し、自立して行えるかどうかで評価が決まります。
独立して片袖を通すことができる場合は、患者の上肢機能が良好であると判断されますが、介助が必要な場合は、その程度に応じてスコアが調整されます。

この評価は、患者の上肢の動作能力とリハビリテーションの進行度を理解するための重要な指標となります。

「もう一方の袖を通す」

「もう一方の袖を通す」動作は、FIMの「更衣・上半身」評価においても重要な評価ポイントです。
この動作では、片袖を通した後、もう一方の袖を通す際の動作を評価し、両側の腕や肩の機能、協調性を測定します。
この動作には、両腕の同期した動きや体のバランス、手の器用さが求められ、自立して行えるかどうかが評価の基準となります。
もう一方の袖を自立して通すことができる場合、患者の上肢全体の機能が良好であると見なされますが、介助が必要な場合は、その程度に応じてスコアが調整されます。

この評価は、両側の上肢の機能と日常生活での独立性を理解するための重要な指標です。

「衣服を引きおろす」

「衣服を引きおろす」動作は、FIMの「更衣・上半身」評価において最後の重要な評価項目です。
この動作では、衣服を全体的に引きおろして正しく身につける際の動作を評価し、患者の全体的な上肢と体幹の協調性、バランス感覚を測定します。
このプロセスには、衣服を均等に引きおろすための力加減や体の位置調整が求められ、自立して行えるかどうかで評価が決まります。
独立して衣服を引きおろすことができる場合、患者の全体的な動作能力が良好であると判断されますが、介助が必要な場合は、その程度に応じてスコアが調整されます。

この評価は、患者の全体的な身体機能とリハビリテーションの進行度を理解するための重要な指標です。

更衣・上半身の評価は、これらの4つの動作に分割して、自分でどれぐらいできるかを評価するんだ!
前開きでもかぶりで着脱が困難な服でも、日常着ているものであればその服の介助量で評価されるんですね!

FIM(更衣・上半身)の採点基準

FIM(更衣・上半身)の採点基準としては、次の通りになります。

7点(完全自立)

全ての動作が一人で可能。
例:Tシャツを自分でかぶり、片袖を通し、もう一方の袖を通して、最後にTシャツを引きおろすまで全ての動作を自立して行える。

6点(修正自立)

一人でできるが、通常の3倍以上の時間がかかる、または特殊な部品または補装具が必要。
例:肩に可動域制限があるため、特別に改良された衣服を使うことで自立して更衣を行えるが、通常よりも時間がかかる。

5点(監視または準備)

監視(例として待機、指示、または促し)または準備(装具の装着、衣類や特殊な更衣用具の準備)が必要。
例:更衣を行う際に監視者がそばで指示を出すか、装具の準備をする必要があるが、実際の更衣動作は自分で行える。

4点(最小介助)

更衣の75%以上を自分で行う(介助量<25%)。 例:自分でシャツをかぶり、片袖を通し、もう一方の袖を通すが、最後の衣服を引きおろす部分で少し介助が必要。

3点(中等度介助)

更衣の50%~75%未満までを自分で行うことができる(25%≦介助量<50%)。 例:シャツをかぶるところまでは自分で行えるが、片袖を通す際に介助が必要で、もう一方の袖と引きおろす動作も介助が必要。

2点(最大介助)

更衣の25%~50%未満を自分で行う(50%≦介助量<75%)。 例:シャツをかぶる動作のみ自分で行えるが、片袖を通す、もう一方の袖を通す、引きおろす動作の多くに介助が必要。

1点(全介助)

更衣動作の25%未満しか行わない。
例:全ての動作において介助が必要で、自分ではほとんど何もできないため、全面的に介助を受ける。

FIM(更衣・上半身)の採点方法は、患者が衣服をかぶる、片袖を通す、もう一方の袖を通す、引きおろす各動作をどれだけ自立して行えるかに基づして評価するんだ!
これにより、患者さんの自立度や必要な介助の程度を詳細に把握し、リハビリテーション計画を適切に立てることができるんですね!

FIM(更衣・上半身)の注意点

ではFIM(更衣・上半身)を評価する際の注意点とはなにがあげられるでしょうか?
ここでは…

  • 入浴前後の着脱は特殊な状況
  • かぶりシャツと前開きシャツの選択
  • 義肢や装具の着脱
  • 評価の公平性
  • 具体的な評価プロセス

…について解説します。

入浴前後の着脱は特殊な状況

FIMの「更衣・上半身」評価において、入浴前後の着脱は特殊な状況とされ、通常の評価対象外となります。
これは、入浴前後の着脱は通常の更衣とは異なる環境や動作条件が含まれるためです。

例えば、濡れた身体や滑りやすい床など、入浴後の状況は日常の更衣とは異なるため、これを通常の評価に含めると正確な自立度を測定できない可能性があります。
ただし、患者が日常的に入浴前後しか着替えない場合、その状況で評価を行う必要があります。

このような特殊な状況を考慮することで、患者の実際の生活状況に即した評価を行うことが可能です。

かぶりシャツと前開きシャツの選択

FIMの「更衣・上半身」評価では、患者がかぶりシャツと前開きシャツのどちらを日常的に着ているかによって評価が変わります。
かぶりシャツは、頭を通す動作が必要であり、前開きシャツはボタンやファスナーを扱う必要があります。
評価者は、患者が主に着ている衣服の種類を基に自立度を評価します。
これは、日常的に使用している衣服が患者の生活実態に即しているため、その自立度を正確に反映するためです。

したがって、患者がどの種類のシャツを着ているかを確認し、それに基づいて適切に評価を行うことが重要です。

義肢や装具の着脱

義肢や装具を装着している場合、その着脱もFIMの「更衣・上半身」評価の対象となります。
義肢や装具の着脱は、患者の更衣自立度に影響を与えるため、評価に含めることが求められます。
ただし、これらの着脱が更衣の主な動作ではないため、義肢や装具の着脱が全介助であっても、評価は最大で5点までしか減点されないというルールがあります。
これは、義肢や装具の使用が患者の生活の一部であることを考慮しつつ、着脱の難易度を過度に評価に反映させないための措置です。

このルールにより、より公平で正確な評価が可能となります。

評価の公平性

FIMの「更衣・上半身」評価を行う際には、公平性を保つことが重要です。
評価者は、患者の個々の状況や使用する装具、日常的な衣服の種類を考慮し、正確に評価を行わなければなりません。
例えば、特定の補装具が必要な患者とそうでない患者を同じ基準で評価することは不公平となります。
また、日常的にかぶりシャツを着ている患者を前開きシャツの基準で評価することも避けるべきです。

このような注意を払うことで、評価の信頼性と有用性を高めることができます。

具体的な評価プロセス

FIMの「更衣・上半身」評価を行う具体的なプロセスには、患者の生活環境や日常的な行動パターンの詳細な理解が必要です。
評価者は、患者がどのような環境で更衣を行っているのか、どのような衣服を使用しているのかを観察し、評価に反映させます。
また、義肢や装具の使用状況も評価に含めるため、これらの装具の種類や使用方法についても理解しておく必要があります。
これにより、評価者は患者の自立度を正確に把握し、適切なリハビリテーション計画を立てることができます。

このプロセスを通じて、患者の生活の質を向上させるための支援が可能となります。

これらの注意点を理解し、適切に評価を行うことが重要なんだ!
各項目を理解しておく必要があるでしょうね!

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