FIM(更衣・下半身)- 評価のポイント・項目・具体例・注意点・点数・採点方法など

検査

FIM(Functional Independence Measure)の「更衣・下半身」は、患者がズボン、下着、靴下、靴などの着脱をどれだけ自立して行えるかを評価する項目です。
本記事ではFIM(更衣・下半身)の評価のポイント、項目、具体例などについて解説します。


FIMにおける更衣・下半身の評価について

FIM(Functional Independence Measure)の「更衣・下半身」は、ズボン、下着、靴下、靴、および義肢や装具の着脱を評価する日常生活動作(ADL)の項目です。
この評価は、患者や利用者が日常生活でどれだけ自立しているかを測定し、7点(完全自立)から1点(全介助)までの7段階で採点されます。

例えば、完全自立の場合は自分で衣類を取り出し着脱できるが、全介助の場合は更衣動作の25%未満しか行わないか、全く行わないことになります。
この評価は、リハビリテーション計画の策定や進行度の確認において重要な指標となります。

FIM(更衣・下半身)の評価対象の項目

FIM(更衣・下半身)の評価対象としては…

  • ズボン
  • 下着
  • 靴下(ストッキング)

…があげられます。
それぞれ解説します。

ズボンの着脱

ズボンの着脱は、FIMの更衣・下半身評価における重要な要素です。
ズボンを自分で着脱できることは、日常生活の自立度を示す重要な指標です。

ズボンの着脱は、他の衣類の着脱と比べても動作が多岐にわたるため、特にリハビリテーションの目標設定や進捗の確認において重要です。

下着の着脱

下着の着脱も、日常生活の自立度を評価する際に欠かせない項目です。
下着の着脱は、ズボンの着脱と同様に、自己管理能力と動作の協調性を評価するために重要です。

下着の着脱は、他の衣類に比べて細かな動作が多く、特に手指の巧緻性が求められるため、評価において重要な指標となります。

靴下(ストッキング)の着脱

靴下やストッキングの着脱は、更衣・下半身評価の中でも特に繊細な動作が要求される項目です。
手先の器用さや足の動かし方が重要であり、リハビリテーションの進捗を評価する際に重要な指標となります。

靴の着脱

靴の着脱は、FIMの更衣・下半身評価において、移動や外出に直接関連するため、特に重要な項目です。
靴の着脱は、バランス感覚や手指の巧緻性が要求されるため、リハビリテーションの進捗を評価する重要な指標となります。

FIMの「更衣・下半身」評価項目には、ズボン、下着、靴下(ストッキング)、靴の着脱が含まれ、これらを通じて患者や利用者の日常生活における自立度を細かく評価するんだ!
これらの評価は、リハビリテーションの目標設定や進捗の確認において重要な指標となるんですね!

FIM(更衣・上半身)の採点基準

FIM(更衣・上半身)の採点基準については以下に解説します。

7点(完全自立)

患者が他人の助けを全く必要とせず、自分自身でズボン、下着、靴下(ストッキング)、靴などの下半身の衣服をすべて着脱できる。
例:患者が引き出しからズボンと下着を取り出し、一人で履いたり脱いだりし、靴下と靴を自分で履く。

6点(修正自立)

患者が自分自身で下半身の衣服を着脱できるが、補助具の使用や特定の調整(例:長い時間がかかる、特定の技術が必要)が必要である。
例:患者が靴ベラを使って靴を履くが、全体的には一人で着替えができる。

5点(監視または準備)

患者が下半身の衣服を自分で着脱できるが、監視や待機、指示、または物理的な準備(例:衣服の取り出し、補助具の準備)が必要である。
例:介助者がズボンと下着を取り出して患者に渡し、患者が自分で着るが、見守りや指示が必要。

4点(最小介助)

患者が下半身の衣服の着脱動作の75%以上を自分で行うことができるが、25%未満の介助が必要である。
例:患者が自分でズボンを履き上げるが、ボタンを留める際に少し手助けが必要。

3点(中等度介助)

患者が下半身の衣服の着脱動作の50%以上75%未満を自分で行い、25%から50%の介助が必要である。
例:患者が下着を履くことはできるが、ズボンの前半部分を持ち上げるのに介助が必要。

2点(最大介助)

患者が下半身の衣服の着脱動作の25%以上50%未満を自分で行い、50%以上75%未満の介助が必要である。
例:患者が靴下を持つことはできるが、足に履かせるには多くの手助けが必要。

1点(全介助)

患者が下半身の衣服の着脱動作の25%未満しか自分で行えないか、全く行えない場合で、75%以上の介助が必要である。
例:患者がズボンを履くためには、ほとんどまたは完全に介助が必要で、全ての動作を他人に頼る。

この評価基準を用いることで、患者の自立度を細かく評価することができるんだ!
リハビリテーションの進行状況や必要なサポートの程度を把握することができますね!

FIM(更衣・上半身)を採点する際の注意点

更衣(下半身)を採点する際の注意点としては…

  • 衣類の取り出しも含まれる
  • 時間がかかるの基準は3倍
  • 入浴前後の着脱は特殊な状況なので含めない
  • 義肢や装具を装着している場合はその着脱も含まれる
  • 浮腫防止のための弾性ストッキングも装具と同じ扱いとされる

…があげられます。
それぞれ解説します。

衣類の取り出しも含まれる

衣類の取り出しは、更衣の一部として採点に含まれます。
患者が引き出しや押し入れといった通常の場所からズボンや下着を取り出すことができるかを確認します。
この動作は、日常生活における自立度を示す重要な要素であり、患者が自分で衣類を取り出せるかどうかが更衣の全体的な評価に影響します。
たとえば、患者がクローゼットから自分のズボンを取り出し、それをスムーズに着用できる場合、完全自立として評価されます。

逆に、取り出しが困難で介助が必要な場合は、その程度に応じて点数が下がります。

時間がかかるの基準は3倍

更衣動作に通常の3倍以上の時間がかかる場合、修正自立(6点)として評価されます。
この基準は、患者が一人で動作を完了できるが、効率が非常に低い場合に適用されます。
たとえば、患者がズボンを履く際に非常に時間がかかり、通常の人が行う時間の3倍以上を要する場合、修正自立とされます。
この場合、動作の正確さや安全性は確保されているものの、速度が遅いために他の援助が必要と判断されます。

この基準は、患者の実際の能力を正確に反映するために重要です。

入浴前後の着脱は特殊な状況なので含めない

FIMの評価では、入浴前後の着脱は特殊な状況として評価対象外となります。
入浴後に身体が乾ききっていない状況では、更衣動作が困難になることがありますが、これは普段の更衣動作を評価するFIMの目的から外れます。
したがって、入浴に関する着脱動作は含めず、通常の状況での更衣動作のみを評価します。
例えば、入浴後の湿った身体でのズボンの着脱が難しい場合でも、通常の着替え状況を評価するため、これらの状況は採点に含めません。

この基準を理解することは、正確な評価を行うために重要です。

義肢や装具を装着している場合はその着脱も含まれる

FIMの更衣(下半身)には、義肢や下肢装具の着脱も含まれます。
これは、更衣(上半身)でも同様であり、義足やSLB、LLBなどの下肢装具の着脱が評価対象となります。
ただし、義足や装具の着脱が全介助であったとしても、評価は最大で5点までしか減点されないというルールがあります。
これは、装具の着脱が更衣動作の主な部分ではないためです。

たとえば、患者が義足の装着を全く行えない場合でも、ズボンや下着の着脱が自立しているならば、評価は5点以上となることがあります。

浮腫防止のための弾性ストッキングも装具と同じ扱いとされる

浮腫防止のための弾性ストッキングも、装具と同じ扱いとなります。
クライアントによっては、浮腫防止のために弾性ストッキングを使用している場合があり、この場合も装具の着脱と同じように評価されます。
具体的には、弾性ストッキングの着脱が全介助であっても、5点までしか減点されないというルールが適用されます。
たとえば、患者が弾性ストッキングの着脱を一人で行えない場合でも、ズボンや下着の着脱が自立していれば、評価は5点以上となる可能性があります。

このルールを理解することは、正確な評価を行うために重要です。

これらの注意点を踏まえて、FIMの「更衣・下半身」評価を行うことが重要なんだ!
そうすることで患者さんの自立度を正確に評価し、適切なリハビリテーションの計画を立てることができるんですね!

FIM(更衣・上半身)の採点ポイント

FIMにおいて、下衣の更衣動作を採点する際のポイントとしては、以下の2つが重要です。

  • 全体の何%自立して可能か(何%の介助が必要か)
  • 何動作かに工程分解して考える

この2つに加えて具体例を含めてそれぞれ解説します。

全体の何%自立して可能か(何%の介助が必要か)

FIMの評価では、患者が下半身の更衣動作をどの程度自立して行えるか、またはどれだけの介助が必要かを詳細に評価します。
例えば、患者がズボンの着脱や靴下、靴の履き替えを75%以上自立して行える場合は、最小介助(4点)として評価されます。
一方、50%以上75%未満を自立して行える場合は、中等度介助(3点)となります。
この評価は、患者の日常生活における自立度を正確に把握し、リハビリテーションの進捗を適切に評価するために不可欠です。

特に、介助の割合が25%未満である場合は、ほぼ完全に自立しているとみなされ、高い評価が与えられます。

何動作かに工程分解して考える

下衣の更衣動作は複数の工程に分解して評価することが重要です。
例えば、ズボンの着脱は、ズボンを取り出す、片足ずつ通す、引き上げる、ボタンやジッパーを閉めるといった動作に分解されます。
これらの個々の動作を評価することで、患者がどの部分で困難を感じているのか、具体的な支援が必要な箇所を特定できます。
例えば、患者がズボンを取り出し、足を通すことは自立してできるが、引き上げてボタンを閉める動作には介助が必要な場合、部分的な自立として評価されます。

こうした細かい評価を通じて、より正確なリハビリテーションの計画を立てることができます。

具体例

FIMの更衣(下半身)を採点する際の注意点を具体例を交えて説明します。
例えば、患者が自分でズボンを取り出し、片足ずつ通すことはできるが、引き上げてボタンを留める動作には介助が必要な場合、75%以上の自立とみなされ、最小介助(4点)と評価されます。
逆に、患者がズボンを取り出すことはできるが、片足を通す動作から全て介助が必要な場合、50%以上の介助が必要となり、最大介助(2点)と評価されます。

このように、動作を工程に分解して評価することで、どの部分に具体的な支援が必要かを明確にすることができます。
また、評価の正確性を高めるために、患者の動作能力を詳細に観察し、適切な支援を提供することが重要です。

FIMの更衣(下半身)の評価では、患者の自立度を正確に把握するために、動作全体の何%を自立して行えるか(何%の介助が必要か)を評価し、さらに各動作を工程に分解して考えることが重要なんだ!
これにより、患者がどの部分で困難を感じているのかを明確にし、具体的なリハビリテーションの計画を立てることができるんですね!

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