FIM移乗(トイレ)- 評価のポイント・項目・具体例・注意点・点数・採点方法など

検査

FIMの「トイレへの移乗」評価は、便器への移動および便器からの移動能力を評価し、補助具の使用や介助の程度に基づいて機能的自立度を測定します。
本記事ではFIM移乗(トイレ)評価のポイント、項目、具体例などについて解説します。


FIMにおける移乗(トイレ)の評価について

FIM(Functional Independence Measure)の「トイレへの移乗」は、便器への移動と便器からの離脱を評価する項目です。
この評価は7点から1点の範囲で行われ、完全自立(7点)は補助具や介助なしで自立して行える場合を示し、全介助(1点)はほとんど自分で行えない場合を指します。

例えば、ポータブルトイレを使用している場合は補助具の利用とみなされ、完全自立でも6点に留まりますし、車椅子の位置調整が必要な場合は準備が必要とされ5点以下になります。
このようにFIMの「トイレへの移乗」は、具体的な状況や補助具の使用状況によって評価され、患者の機能的自立度を詳細に反映することが求められます。

FIM移乗(トイレ)の評価対象の項目

FIMの「トイレへの移乗」は、便器への移動と便器からの移動の2つの側面から評価されます。
便器への移動では、患者がベッドや車椅子から便器へ安全かつ効率的に移動できるかを評価し、便器からの移動では、便器からベッドや車椅子に戻る能力を評価します。

これらの評価には、ベッドや車いすへの移乗の項目同様…

  • 座面から立ち上がる
  • 方向転換
  • 座る

…という3つの主要な動作が含まれます。
それぞれ解説します。

座面から立ち上がる

まず、座面から立ち上がる動作は、患者が便器から立ち上がる能力を評価します。
これは、下肢の筋力やバランス感覚が重要となり、患者が自力で立ち上がれるか、または介助が必要かを判断します。
完全に自立している場合は7点が付与される一方、介助が必要な場合はその程度に応じて点数が下がります。

例えば、軽い支えが必要な場合は4点、中等度の支えが必要な場合は3点と評価されます。

方向転換

次に、方向転換は、患者が便器に向かうために体の向きを変える能力を評価します。
この動作は、身体の柔軟性やバランスを保つ力が重要です。
患者が自力で方向転換できる場合は高い点数が付与されますが、介助が必要な場合や安全に行えない場合は点数が下がります。

方向転換がスムーズにできるかどうかは、患者の日常生活の質に直接影響を与えるため、非常に重要な評価項目となります。

座る

最後に、座る動作は、患者が便器に安全に座る能力を評価します。
この動作は、上半身の安定性や下肢の制御力が求められます。
自力で安全に座れる患者は高い点数を得られますが、補助具や介助が必要な場合はその程度に応じて点数が減少します。

例えば、ポータブルトイレを使用する場合は補助具とみなされ、6点の評価となります。

このように、FIMの「トイレへの移乗」評価では、座面から立ち上がる、方向転換、座るという3つの動作を詳細に評価することで、患者の機能的自立度を総合的に把握するんだ!
これにより、患者のリハビリテーション計画や介護方針を適切に設定し、生活の質を向上させるための具体的な支援が可能となるんですね!

FIM移乗(トイレ)の採点基準

FIM移乗(トイレ)の採点基準と具体例は次のとおりになります。

7点(完全自立)
患者は補助具や介助なしで、すべての動作(座面から立ち上がる、方向転換、座る)を自立して行える場合。
例:患者が自分でベッドから立ち上がり、方向転換をして、便器に座るまでの一連の動作をすべて独力で行える場合です。

6点(修正自立)
患者は時間がかかる、装具や自助具、服薬が必要、または安全性の配慮が必要な場合。
例:患者がポータブルトイレを使用して自立している場合は、補助具とみなされるため6点となります。

5点(監視または準備)
患者には監視、準備、指示、促しが必要な場合。患者が移動する際に安全を確保するために誰かがそばにいて監視する必要がある場合です。
例:患者が自力で立ち上がれるが、転倒の危険性があるため、近くで見守る必要がある場合です。

4点(最小介助)
患者は手で触れる以上の介助は必要ないが、「75%以上」を自分で行う場合。
例:患者が立ち上がる際に軽く支えてもらうだけで自力でほとんどの動作を行える場合です。

3点(中等度介助)
患者には手で触れる以上の介助が必要で、「50%〜75%未満」を自分で行う場合。
例:患者が立ち上がる際にしっかりと支えられ、便器への移動の一部を介助してもらう場合です。

2点(最大介助)
患者は「25%〜50%未満」を自分で行い、それ以外の動作は介助が必要な場合。
例:患者が便器に座るためにほとんどの動作を介助してもらい、わずかな部分だけ自分で行う場合です。

1点(全介助)
患者は「25%未満」しか自分で行わない場合。
例:患者がベッドから便器への移動をほとんど全て介助者に依存し、自分ではほとんど動けない場合です。

これらの採点基準に基づいて、患者の移乗動作を評価し、適切なリハビリテーションや介護計画を立てることが可能となるんだ!
具体的な状況や補助具の使用状況に応じて評価が行われるんですね!

FIM移乗(トイレ)評価の注意点

FIM移乗(トイレ)評価の注意点として、ここでは…

  • 評価対象の理解
  • 補助具の使用
  • 車椅子の位置調整
  • 介助の程度
  • 日中と夜間の差
  • 尿器やおむつ介助の場合

…について解説します。

評価対象の理解

FIMの「トイレへの移乗」の評価対象は、便器への移動と便器からの移動です。
具体的には、患者がベッドや車椅子から便器に移動し、再び戻る能力を評価します。
この評価には、トイレに近づく、離れる、ドアを開けるなどの動作は含まれません。
それらは「移動」の評価対象となります。
また、ズボンを下ろす、お尻を拭くなどの動作は「トイレ動作」の評価対象となります。

例えば、患者が自分でズボンを下ろし、お尻を拭くことができるかどうかは、別の評価項目として扱われるため、「トイレへの移乗」には含まれません。

補助具の使用

患者がトイレへの移乗において補助具を使用する場合、それは「修正自立」に該当し、6点の評価となります。
補助具には手すりやポータブルトイレなどが含まれます。
例えば、患者が便器に移乗する際に手すりを使用して自立して行える場合でも、補助具を使用しているために完全自立(7点)ではなく、修正自立(6点)と評価されます。
この点数は、補助具なしでの完全な自立とは区別されます。

車椅子の位置調整

車椅子の位置調整は「準備」に該当し、5点の評価となります。
例えば、患者が自分で便器に移乗する際に車椅子の位置を調整してもらう必要がある場合、それは準備として扱われます。
この場合、患者が自分で移乗動作を行えるとしても、準備が必要なために完全自立の点数にはなりません。

このように、車椅子の位置調整が必要な場合は5点以下の評価となります。

介助の程度

介助の程度により、点数が変わります。
例えば、患者が便座から立ち上がる際にお尻を軽く支えてもらうが、その他の動作は自分でできる場合、それは「最小介助」とみなされ、4点の評価となります。
もし患者が立ち上がる際にしっかりと支えが必要な場合、それは「中等度介助」として3点の評価になります。

介助の程度によって点数が変わるため、具体的な支援の内容を詳細に評価することが重要です。

日中と夜間の差

日中と夜間で介助の程度が異なる場合、低い方の点数を採用します。
例えば、日中は自力で便器への移乗ができるが、夜間は介助が必要な場合、夜間の介助が必要な点数が適用されます。
このルールは、患者の一日のうちで最も制限の多い状況に基づいて評価を行うためです。

このように、日中と夜間の差を考慮することで、より現実的な評価が可能となります。

尿器やおむつ介助の場合

トイレを使用せず、尿器やおむつ介助によって排泄を行っている場合は、トイレ移乗動作を行っていないと判断され、1点と採点されます。
例えば、患者が寝たきりで尿器やおむつを使用して排泄を行っている場合、それはトイレへの移乗が不要なため、25%未満の動作しか行っていないと見なされます。

この場合、1点の評価が適用されます。このように、排泄方法によっても評価が変わるため、詳細な観察と評価が必要です。

FIMの「トイレへの移乗」評価では、便器への移動と便器からの移動を詳細に評価し、補助具の使用や介助の程度によって点数が異なるんだ!
また、日中と夜間の介助の差や尿器やおむつの使用も考慮し、最も制限の多い状況に基づいて評価を行うんですね!

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